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社員の発明、誰のもの? 社員から会社へと変える動き

2014年10月16日 21時17分08秒 | 
社員の発明、誰のもの? 社員から会社へと変える動き
朝日新聞 2014年10月16日(木) 配信

 ノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二さんが青色発光ダイオード(LED)の開発に成功したのは会社員のときだった。社員が仕事で発明した特許は今、「社員のもの」だが、政府は「会社のもの」に変えようとしている。社員の発明はいったい誰のものなのか。

     ◇

<議論のポイント>

・国際競争力を高めるには

・高額対価は必要か

・社員の間で不公平を生むか

     ◇

 〈特許法の改正論議〉社員が仕事でした発明について、現行特許法は特許を受ける権利を「社員のもの」と定める。企業は勤務規則で発明に見合う対価を社員に支払い、権利を譲り受けている。しかし産業界の批判が強く、政府は「会社のもの」に変える改正法案を早ければこの臨時国会に提出する方針。発明した社員への報奨を企業に義務づける規定も盛り込まれる見通し。

■弁護士・升永英俊さん サラリーマン発明者の夢守れ

 日本は1921(大正10)年から93年間も特許は「サラリーマンのもの

」でやってきたのに、それを変えるなんて信じがたい。知的財産活用の時代に逆のことをやろうというのだから。

 恐竜がなぜ滅んだのか知ってますか? 隕石(いんせき)が落ちて地球が寒冷化したことに耐えられなかったという説がいちばん有力ですが、人類は逆に、温暖化で滅びるかもしれない。でも中村さんの発明した青色LEDの消費電力は照明で白熱灯の6分の1しかなく、温室効果ガスを出す火力発電を減らせる。中村さんは、人類の滅亡を防ぐことに貢献するレベルの、とてつもない発明をしたんです。

 ところが、中村さんが勤めていた日亜化学工業が中村さんの発明に払った対価は2万円。一方、中村さんが会社を訴えた裁判で、東京地裁は会社が約1200億円の利益を得ると認定しました。会社は中村さんに給料を払っていたし、3億円の開発装置を与えましたが、それを差し引いても対価が2万円はありえない。

 私は中村さんに言ったんです。「日本の法律では、特許は社員のものだ。会社は発明に見合った対価を払わなければならない」と。東京地裁は会社に200億円の支払いを命じ、その後8億4千万円で和解しましたが、サラリーマン発明者が数億円稼げることを初めて示し、技術者や研究者を勇気づけたと思っています。

 中村さんが裁判を起こせたのは「特許を受ける権利は社員のもの」という法律があったからです。2004年の特許法改正ですでに裁判は起こしにくくなっていますが、特許の権利を社員から会社に移せば、サラリーマンがどんなにとてつもない発明をしても対価を請求する訴訟を起こす根拠はなくなってしまう。

 特許の権利が「会社のもの」になったら、サラリーマン研究者の夢もなくなる。今の制度は、起業する勇気のない研究者や技術者でもチャンスがあるという世界に誇るべきものです。理系の優秀な人は今でも、ベンチャー起業をしやすい米国に渡る人がいる。権利の帰属を会社に移せば、それに拍車をかけることになるでしょう。

 会社の設備を使って発明し、損失も負担しないのに社員の権利だというのはおかしいという人もいるが、会社だって発明せずに社員の発明の生む超過利益の一部を得る。もうけものじゃないですか。

 発明の対価が高すぎるということもありません。ヤンキースの田中将大投手の年俸総額は、7年で約160億円。それは、田中投手が多くのファンを集め、関連グッズを売り、莫大(ばくだい)な金を稼ぐからです。中村さんだって発明で膨大な超過利益をもたらしたんだから、一部をあげるべきです。

 製薬業界のようにチームで研究開発するところは、みんなで対価を分け合えばいい。特許による利益の一部を発明者に還元することで社員はさらにやる気になり、それが新たな発明を生み、会社はもっと利益を上げられます。

 大きな富を生む知的財産は、いくら最新設備をそろえても生まれません。人が生み出す発明、なかでも特許による独占の利益を獲得できるような優れた発明が必要です。中村さんのような人を優遇することが日本の国際競争力の強化につながるのに、知的財産の推進を掲げる安倍政権がそれに逆行する動きをしようとしているのは本当に情けない。

 日本が知的財産時代の勝者になるためには、社員の発明を「会社のもの」にしてサラリーマン発明者の夢を奪ってはいけません。

     ◇

 42年生まれ。中村修二さんの青色LED裁判など多くの職務発明訴訟の代理人。「一人一票実現国民会議」の共同代表でもある。

■知的財産法学者・紋谷暢男さん 企業の関与大きく権利は当然

 社員が発明した特許を「社員のもの」と定めた特許法の規定は大正時代にできましたが、当時、多くの発明者は個人でした。ところが今は、特許を出願するのは95%以上が会社。チームで発明する時代です。今の制度は著しく会社の国際競争力をそいでいます。

 確かに発明をするのは会社ではなく、人間です。しかし、新しい薬や燃費がよいエンジンをつくるなどの課題の設定は会社が行い、それを解決するための人材配置や設備の購入も会社が関わります。社員は個人の発明者と異なり、会社から給与や賞与、研究費をもらい、企業内のノウハウを自由に活用して、発明をしています。

 また、特許を使った製品は売れて初めて利益を出す。量産化の設計や市場調査、販売促進は、発明者以外の社員がします。数億円の契約を取ってきた営業職の貢献だって大きい。さらに、会社は研究の失敗や製品が売れないリスクを全部負担しています。

 これらを踏まえると、社員が発明した特許は「会社のもの」と考えるのが当然です。私は1966年に法律雑誌の中で法人帰属であるべきだと主張しました。日本の学会では今でも少数意見ですが、外国では現在、常識です。

 英国やフランスは「会社のもの」です。ドイツは「社員のもの(役員除く)」でしたが5年前、会社が不要と判断しない限り、発明から4カ月後に自動的に「会社のもの」になるようにしました。米国は「社員のもの」ですが、対価の定めがなく、契約によっては1ドルももらえません。ドイツや米国も、事実上は「会社のもの」と言ってもよいでしょう。

 日本は発明の対価の面でも、世界とかけ離れています。中村さんの青色LEDは省エネに貢献する重要な発明であり、会社に大きな利益ももたらしました。ただ、会社が設備を与え、補助者を付け、留学をさせ、給料を払いながら研究をさせた以上、東京地裁の200億円の判決は考えられません。

 英国は著しい利益をもたらす発明には相応の補償金を払うように77年に法律をつくりましたが、過去の事例は09年の心臓造影剤の特許の1件だけ。純利益の3%、150万ポンド(約2億6千万円)の支払いでした。私はドイツに研究仲間が多くいますが、「日本の対価は高すぎる。大企業はどこも日本に研究所を置かなくなる」と言われました。青色LED訴訟の和解額8億4千万円も高すぎです。

 これは、「対価」という言葉がもっぱらお金のことを指し示す点に問題があります。今回の法改正で特許を最初から「会社のもの」にし、「対価」ではなく、より幅の広い「報奨」に変えるべきです。報奨金だけでなく、昇進、昇給、表彰、留学、記念品など、様々な形があってよいでしょう。

 最も自由度の高いのは米国のような契約ですが、日本には合わない。いまいる会社の制度が不満だから転職する、という雇用慣行が根付いていないからです。ですから、報奨の義務づけは必要です。ただ、報奨金の金額の水準まで国が示せば、会社の自由度が大きく損なわれるので反対です。

 社員が発明の報奨金に不満がある場合は、ドイツやフランスにならって労使紛争を解決する調停制度をつくれば、コストと時間のかかる裁判に頼らずにすみます。

 社員の発明を「会社のもの」へと抜本改正し、幅広い報奨を認める。それぞれの会社の創意工夫で、研究者や技術者のやる気を最大限引き出すことが国際競争力につながります。(聞き手は西尾邦明)


     ◇

 36年生まれ。法学博士。成蹊大学名誉教授。特許法や著作権法、種苗法など知的財産法の横断的研究や国際比較研究の第一人者。
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地域医療支えて13年 やぶ医者大賞の前川さん

2014年10月16日 21時07分00秒 | 私自身や健康
山口)地域医療支えて13年 やぶ医者大賞の前川さん
朝日新聞 2014年10月16日(木) 配信

 萩市の山あいの里に、平屋建ての市国民健康保険むつみ診療所が、ひっそりとたたずむ。常勤医師は、所長の前川恭子さん(46)1人だけだ。女性医師としての誇りを胸に、地域医療を支えて13年になった。12月には、「第1回やぶ医者大賞」を受ける。

 「やぶ医者大賞」は、兵庫県養父(やぶ)市がへき地で頑張っている医師を顕彰するために創設した。「やぶ医者」の語源が「養父にいた名医」であったことにちなんだものという。前川さんは「推薦してくれた医師が自分のことを陰で評価してくれた。受賞はめっちゃうれしい」と喜ぶ。

 東京に生まれ、1歳のころ、父を亡くした。母の郷里、萩市に戻ったが、暮らし向きは厳しかった。そんなころ、テレビアニメ「母をたずねて三千里」に登場する「お金を取らない医師」にひかれた。進路担当の先生から「自治医科大に進めば学費は不要」と教えられ、医師の道へ進んだ。

 へき地の診療所は「教育の場」でもある。毎年、山口大の医学生が実習でやって来る。問診や血圧測定をしたり、訪問診療や小学校の健診に同行したり。前川さんは、医学生たちに地域医療に携わることを求めたりはしない。だが、実習を終えた学生が「地域医療への思いが強くなった」と言ってくれたときは「うれしい」という。

 診療所に勤めながら、自身の子育てにも力を入れてきた。代わりの医師がいないため、子どもを理由に診療所を休むことは難しい。だが、前川さんは、患者たちの状態を把握したうえで、あえて休みを取ってきた。診療所におけるワーク・ライフ・バランスの実践だった。

 最初のころは「また休んで」との批判も周囲から聞こえたが、「子持ちの女医が地域で働き続ける一つのモデルケース」と信じ、方針は変えなかった。

 「いまは患者たちも受け入れてくれていると思います」と前川さん。「患者の身体の調子とか、生き方とか、考え方がわかるような距離感を大切にしたい。地域医療は私の診療スタイルに合っていると思う。これからも、ゆとりをもちながらがんばろうと思います」と話している。(佐藤彰)




僻地で働くナース達は、必要ないのかな~TT~
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iPS細胞で肌若返り成功 コーセー

2014年10月16日 20時49分05秒 | 私自身や健康
iPS細胞で肌若返り成功 コーセー
朝日新聞 2014年10月16日(木) 配信

 コーセーは15日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、67歳の日本人男性の肌の細胞を、同じ人の36歳時点の肌とほぼ同じ状態に若返らせることに成功したと発表した。
同じ人から1980年以降、定期的に提供を受けていた、36~67歳の五つの異なる年齢の肌の細胞を、京大のiPS細胞研究所でiPS細胞にした。
同社が分析したところ、老化の指標となる染色体の状態は五つのすべての年代で回復し、67歳時点のものも36歳時点とほぼ同じ状態になった。
まだ基礎研究の段階だが、将来的には、オーダーメード化粧品の開発にもつながるという。
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5000円程度の定額負担

2014年10月16日 20時33分30秒 | 私自身や健康
10月15日の会保障審議会医療保険部会で、
特定機能病院と500床以上の病院を、
紹介状なしで受診した場合に、
5000円程度の定額負担を求める仕組みでおおむね合意が得られた。

そうですね。。。。。。。。。。。。。
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