フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

7月26日(金) 晴れ

2013-07-27 11:35:48 | Weblog

  8時、起床。今日は長い一日になる。

  9時過ぎに自宅を出て、大学へ。「シャノアール」で朝食をとる。

  11時から博士論文公開審査会に審査委員の一人として出席。学位申請者は早稲田大学社会科学総合学術院の庄司武史氏で、論文のテーマは「清水幾太郎の思想史的研究―形成、発展と現実への展開―」。清水の最初の著作『社会学批判序説』から最後の著作『「社交学」ノート』までを視野に入れて、清水の思想の変遷を「思想内在的に」論じたもので、400字詰原稿用紙換算で千枚に及ぶ大部の論文である。中核となるのはジョン・デューイの思想(プラグマティズム)が清水の思想に与えて影響の部分なので、私はその部分を中心に質問し、議論をした。

   3限は必修基礎演習は今日が最終回。レポート(最終版)を提出してもらい、内容について簡単に紹介(宣伝)をしてもらう。授業は今日で終わるけれど、今年度いっぱい、私は君たちの担任なので、何かあったら相談に来てださい。

    授業を終えて、「メルシー」に昼食を食べに行く。今日はタンメンではなく、チャーハンを注文。 

    5時半頃、研究室を出て、渋谷へ向かう。丸善&ジュンク堂渋谷店(東急本店7階)で開催される、拙著『日常生活の探究』(左右社)の刊行記念イベント(トークショー)に出演するためである。

   渋谷に来るのは久しぶりである。南口で出て、スクランブル交差点を渡り(ほんとに人が多い)、東急本店は左の道だったが、右の道だったかわからなくなり、信号待ちのときに隣にいた若い女性に道を尋ねようと「すみません」と声をかけたら、びっくりされたので、びっくりした。路上で他人に話しかけるのはもはや日常茶飯の行為ではなくなってしまったらしい。

   「右です。あの「BUNKAMURA」という文字の見えるビルが東急本店です」と教えてもらう。

  

   イベントは6時半から始まった。心配していたお客さんの入りもまずまずで、一安心。長谷先生の教え子や、坂井先生の放送大学の学生の方もいらしてくださっていた。それから私の教え子や、ブログを通じて交流のある方や、同業の方も来ていただけた。ありがとうございました。

  トークショーは始めての経験で、とまどうことが多かった。同業の方とのおしゃべりは日常茶飯である。数十人の人を相手に話をするのも教師であるから日常茶飯である。しかし、この2つのことを同時にやることはめったにない。誰かとおしゃべりをしながら、そのおしゃべりを他の誰かに聞いてもらうというのは、なかなか難しい。意識をおしゃべいの相手と、それを聞いている人たち(の反応)の両方にいつも向けていないとならない。しかも、今回の場合は、おしゃべりは対談でなく、鼎談であった。対談であれば、相手のおしゃべりが一段落したら、私が話す番であるが、鼎談の場合は、どのタイミングで割り込んでいったらいいか、どのタイミングで話題Aから話題Bに切り替えるか、を判断するのが簡単ではない。初心者がいきなり応用問題に取り組んでしまったようだった。

  おしゃべいの中では、長谷先生が私のブログをどう解読しているかという話や、坂井先生が社会学者は(というよりも私がだと思うが)経済学者が「残余」として扱っている部分(人間の感性)から考察を始めるところが新鮮だったという感想が、印象に残った。これについては、後日、落ち着いて考えてみたい。それにしても長谷先生の語り口と、坂井先生の語り口は、実に対照的であった。

  イベント終了後のサイン会というのも初めての経験だった。サイン会は、6月の「白鳥の湖」の公演のときに経験しているが、あのときは私がサインをもらうほうであった。本のどこに本を購入していただいた方の名前を書き、どこに私の名前を書き、今日の日付などはどこに書くのか、そういうことも知らなかった。並んでいただいた方の中にプロの編集者の方がいて、教えていただいた。

  とにかくイベントが終わり、関係者とカフェで一服してから、やれやれという気分で電車にのる。

  そういえばまだ夕食をとっていなかったことを思い出し、目黒で東急に乗り換えて、下丸子で降りて、「喜楽亭」で食事をする。夜の時間に来るのは初めてであったが、やはりお客は私一人であった。いつものチキンカツ定食。質問者の中に、「定食」について語った人がいたことを思い出す。  

  11時半、帰宅。長い一日だった。シャワーを浴びて、早々に就寝。

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