9時、起床。
チーズトースト、目玉焼き、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。今日から平常運転。年末年始(12月30日~1月3日)に一時的に増加した体重を定着しないうちに落とさなければならない。
食事を終えて、書斎に行くと、チャイが私の椅子の上に座っている。
「暖めておきました」
こちらに移動してもらって、昨日のブログを書く。
仕事始めにゼミ論集の目次を作成する。ゼミ論集も第15集。一期生から続けてきて、これが最後のゼミ論集になる。作成した目次をゼミ生に送って、氏名と論文タイトルが間違っていないかチェックしてもらう。
作業の途中での昼食はカップ麺。時間とお金の節約、そしてダイエット効果の一石三鳥である。
今日は土曜日で通常は郵便の配達はない日だが、年賀状は届いた。返信を書いて、近所のポストに出しに行く。
今日は雲一つない晴天。
年賀状を投函した足で大井町へ。
「ポッタリー」が今日から営業開始なのでマダム(私の馴染みのカフェの中では最年長)に年始の挨拶をしようと行ったのだが、営業中の旗が出ていない。早仕舞したのかなと店の中をのぞいたら、マダムがいた。ドアのガラスをトントンと叩くと、マダムが私に気づいてドアを開けた。「初日は早仕舞いなんですか」と聞いたら、「昨日、腰を痛めてしまって、初日なので我慢して出て来たんですが、つらいので早仕舞いすることにしたんです。ごめんなさいね」とおっしゃる。あらま。それは新年早々、大変ですね。マダムの手を握って、どうぞお大事になさってくださいと励まして、失礼する(「何かお手伝いできることはありますか」と聞くべきだったと後から思った)。
「ヤマダ電機」に行ってデジタルカメラの修理を依頼する。本当によく故障する。毎日持ち歩いて使っているので、不具合も生じやすいのだ(私の扱いが乱暴なのだろう)。同じ機種をスペアーとして購入しようかとも考えたが、もう生産をやめてしまったようで、売り場には並んでいなかった。
蒲田に戻ってくる。三が日は過ぎたが、週末なので、街にはまだまだ正月気分が残っている。
炬燵から腹ばいで出る四日かな 犬茶房
2年前の新年の「いろは句会」での犬茶房さんの句である。花さんが天を付けていた。
サンロードのアーケードを歩きながら、建物と建物の間から東急線脇のくいだおれ横丁が見える。
「さつま揚げ弁当900円」というメニューに目が留まった。脇役だと思っていた薩摩揚げが主役として鶏の唐揚げや生姜焼きと肩を並べていることに驚いた。
新年最初のカフェは「テラス・ドルチェ」(年末最後のカフェでもあった)。
ブレンドとコーヒーゼリーを注文する。
キンドルを置いて新年最初のカフェでの読書。吉田篤弘『月とコーヒー』(再読)。ファンタジックで心温まる短編集である。
読初(よみぞめ)の本の大きな活字かな 細川加賀
何篇か読んだ中では「冬の少年」がとくによかった。
主人公であるヤマコシは博物館で働いている。就職して8年になる。自分に合った仕事だと思っているが、通勤に2時間ちょっとかかる。汽車の中で過ごす時間(1時間15分)を自分にとって大事なことに使おうと、家を出る前に時間をかけて作った朝食の弁当を食べることにした。「食事こそ仕事の次に大切なことだ」と考えたからである。ある月曜日の朝、雪が降っていた。ヤマコシはいつものように鞄の中から弁当とコーヒーの入ったポットを取り出そうとしたとき、視界の隅に一人の少年の姿があった。皺だらけの学生服を着て、本を読んでいた。ひたすら本を読んでいた。少年の向こうには窓越しにただ白いばかりの風景が広がっていた。しばらくして少年はヤマコシが降りる二つ前の駅で降りた。ヤマコシは弁当を食べるのも忘れてその空席をぼんやりと眺めた。少年の姿に8年前の自分を重ねていたのである。「あのころは行き帰りの電車の中で自分も本を読んでいた。いったい、いつから読まなくなってしまったのだろう」と。「本が素晴らしいのは、ページを開けば、すぐに別の世界があらわれ、ページを閉じれば、こちらの世界の音や匂いがもどってくるところだ。どうも自分はいつからか自分以外のものを閉め出していたようだ」と気づく。翌日、ヤマコシは二年ぶりに母親に近況を知らせる手紙を出してから、以前よく行っていた本屋に立ち寄った。「ずいぶん顔をみなかったね。どうしたかと思っていたよ」と店主は言った。次の日からヤマコシは汽車の中で買ったばかりの本を読み始め、ときどき窓の外の景色を眺め、合間に弁当を食べた。「あの少年にまた会えるだろうか」とヤマコシは少年を探したが、彼の姿を見ることは二度となかった。
店に入ったときはけっこう混んでいたが、店を出るときには私が最後の客になっていた。
「お帰りなさい」
夕食は塩鮭、筑前煮、にゅーめんと玉子の吸い物、ごはん。
塩鮭の塩味が日常への回帰を促す。
さようなら最後の筑前煮。
食事をしながら『孤独のグルメ』年末スペシャル(録画)を観る。映画のフィルムと映写機を車で運ぶ、八王子(イタリア料理)→飯田(焼肉)→能登(ちゃんこ鍋)の旅。
風呂から出て、今日の日記を付ける。
1時半、就寝(しかし、寝床で研究室の片付けのことを考え始めたらなかなか寝付けなかった)。