8時、起床。
一階の雨戸を開ける。
「雨戸を開けると花が目に飛び込んで来るのはいいですね。」
チーズトースト、カレー、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、珈琲の朝食。珈琲豆があと一回分しかない。「きりん珈琲」に買いにいかなくちゃ。
食事をしながら『ア・ターブル ノスタルジックな休日』(録画)を観る。BS松竹東急というマイナーな局の番組なので、観ている人は少ないと思うが、私はこの番組のファンである。週末の朝食をとりながら観るのにいい。
休日の朝の食卓で夫婦が珈琲を飲みながら語り合うところから始まる。妻が伯母の葬儀で実家に帰ったときの話をしている。たくさんいたきょうだいをまた一人失った母親が落ち込んいるのは当然として、父親が老いたという話をしている。日課の散歩をめんどくさいとしなくなったり、食器の洗い方が雑になったという。私の娘もたまにうちに来るが、歳をとるのはいたしかたないとして、「カフェにいかなくなった」とか言われないようにしよう。
その後二人は散歩に出る。今日は釣り堀に。あれっ、ここは『海のはじまり』で夏と実父が行ったのと同じ釣り堀ではないか(阿佐ヶ谷にある「釣り堀 寿々木園」である)。7月24日に放送された第4話なので、『海のはじまり』のマネではない(むしろ逆だろう)。
帰宅した二人は、祖母や母が読んでいた『暮らしの手帖』のレシピをもとに、一緒に夕食を作る。毎回、「朝の珈琲」「散歩」「夕食作り」の三部構成である。夫婦の会話の話題は毎回違う。妻役は市川実日子、夫役は中島歩。
昨日のブログを書く。
少し目を休めてから、原稿にとりかかる。
3時半頃、遅い(遅すぎる)昼食を食べに出る。
「きりん珈琲」に行く。珈琲豆の焙煎は事前に電話で頼んでおいた
テーブル席に座る。『ぶらり途中下車の旅』で取り上げられてから来店する客が増えたようである。
厚焼き玉子サンドとオレンジジュース。軽食だが、この後、「ティールーム101」に顔を出すので、これくらいでちょうどいい。
厚焼きの玉子焼きに甘めのソースがトースト合う。
食事をしながら『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の続きを読む。
それから私は計算士を引退したあとの生活について考えた。私は十分な金を貯め、それと年金とをあわせてのんびりと暮し、ギリシャ語とチェロを習うのだ。車の後部座席にチェロ・ケースをのせて山に行き、一人で心ゆくまでチェロの練習をしよう。
うまくいけば山に別荘を買うこともできるかもしれない。ちゃんとしたキッチンのついた小綺麗な山小屋。私はそこで本を読んだり、音楽を聴いたり、ヴィデオ・デープで古い映画を見たり、料理をして過ごすのだ。料理――というところで、私は図書館のリファレンス係の髪の長い女の子のことを思い出した。彼女がそこに――その山の家に――一緒にいるのもわるくない気がした。私が料理を作り、彼女がそれを食べるのだ。(「ハードボイルド・ワンダーランド――フランクフルト、ドア、独立組織――」より)
主人公の「私」は35歳で独身。計算士を引退する年齢がいくつかのかはわからないが、50歳くらいだろうか。まさか70歳ということはあるまい(相当心身に負荷のかかる仕事のようなので)。あと6カ月ほどで私も退職後の生活を始めることになるが、田舎暮らし、まして山の別荘暮しなんて考えたこともない。旅行でいくのはいいが、住みたいとは思わない。
新しい外国語と楽器を習い始めるというのも、50歳で引退ならありかと思うが、70歳では無理だ。古典ギリシャ語は大学1年生の前期の授業に出ただけで諦めた。新約聖書(原文はギリシャ語)がテキストだったが、大学3年生の夏休みにギリシャを旅行したときに少しだけ役に立った。アテネの街を散歩しているときにふらりと入った食堂で、「ネロ(水)」と言ったら、店主がびっくりして、店にいた客たちに「この東洋人はギリシャ語を話すぞ」と言った(たぶん)。店主は日本に来たことがあるそうで、「横浜のヨーコという女を知っているか?」と聞かれた(たぶん)。
一番好きな楽器はピアノで、二番目がチェロだが、自分では弾けない。若い頃から将棋はよく指した。本来が社交的なゲームだから、また人間を相手に指してみたいと思う。
料理については、いまと同じように、朝食は自分で用意し、昼食は散歩がてら外に食べに出て、夕食は妻にお任せだ。でも、万一妻に先立たれた時のことを考えて(人生はどうなるかわからない)、簡単な、しかしある程度バラエティに富んだ夕食を作れるようになりたい。
再婚はしない(たぶん)。
引退後の生活について考えながら眠りについた主人公は悪夢を見る。
誰かが私の頭にドリルで穴をあけ、そこに固い紙紐のようなものを押しこんでいた。ずいぶん長い紐らしく、紐はあとからあとから私の頭の中に送りこまれていった。私は手を振ってその紐を払いのけようとしたが、どれだけ手で払っても、紐は私の頭の中にどんどん入りこんできた。(「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド――フランクフルト、ドア、独立組織――」より))
私もたまに悪夢は見るが、こういうホラー的なものではない。
店には1時間ほど滞在した。店を出るときに頼んでおいたきりんブレンドの豆を受け取る。
御成橋通りを行く。
高齢のご主人がなくなって休業状態だった「双葉食堂」は息子さんが跡を継いで「フタバ」になった。
サービスメニューだったアジフライ定食(500円くらいだった)は他のメニューと肩を並べる値段になっている。ポークソテーがかつては一番高いメニューだったが、「スリック」のマダムはこれが好きだった。値段は据え置きだ。
空き地に猫じゃらしが群生している。正式名称はエノコロ草。漢字では狗尾草と書く。犬の尾を連想させるからだが、犬っころ草が転じてエノコロ草となったそうだ。猫じゃなくて犬なんですね。
「ティールーム101」に到着。通りからマンションの脇の通路を通って行く。
すでに4時半を回っていたが、先客が4名。私が入って満席になった。この時間にしては珍しい。先客の一人が3種のお茶の飲み比べをしていた。3つのメーカーのアールグレーを飲み比べるとかではなく、ラプサンスーチョン、バンガロー、和茶というまったく違うテイストの3種のお茶を飲み比べていた。
私はポートランド・ブレックファースト。店に入る前は紅茶のかき氷を食べて8種コンプリートにしようと思っていたが、店内の冷房がよくきいていたので、気が変わった。
シフォンケーキはラムレーズン。
閉店まで滞在した。
帰宅するとチャイが出窓のところにいた。
地域情報誌「かまにし」の最新号が届いていた。JR蒲田駅の開業120年特集だ。
空襲で燃える前の西口の駅舎の写真。初めて見た。ちょっとモダンでかわいい駅舎だったんだ。
夕食はニシン蕎麦とマッシュポテトのサラダ。
食事をしながら『ブラックペアン』第8話(録画)を観る。一週間前のものだ。妻が「今日の放送が最終回よ」というので、続けて、リアルタイムで観ることにしたが、最終回ではなかった(なんてこった)。来週が最終回で2時間スペシャルとのこと。オリンピックで休んだ分の時間調整だろうと思うが、主役の体調不良で一回「特別篇」を入れた『海のはじまり』はどうするのかしら。
風呂から出て、今日の日記を付ける。
AI相手の将棋を3番指して、1回勝った。
2時、就寝。