フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

10月18日(木) 晴れのち曇り

2007-10-19 01:44:47 | Weblog
  今日、2限の授業(社会学演習ⅠB)で失敗をした。それは授業中にやってはいけないことワースト3に入るものであった。学生の名前を言い間違えてしまったのだ。「Nさん」を「Sさん」と言ってしまったのだ。本人も周りの学生も「えっ?」という顔をしたので、名前を言い間違えたことはすぐにわかった。わかったが、間違えてしまったことに動揺して(なにしろやってはいけないことワースト3なのだから)、あわてて言い直した名前(何と言ったか思い出せない)がまた間違っていた(最悪だ!)。「あ~、へたこいた~」(小島よしお風)と心の中で呟く。誰かが「ひど~い」と声に出していった。あのな、傷口に塩をこすりつけるようなことを言うなって・・・。授業後、NさんとSさんには「ごめんね」と謝り、お詫びのしるしにイートンペンシルを2本ずつ(赤と白)さしあげる。ちなみにNさんとSさんは顔は全然似ていない。でも、おしとやかな雰囲気が似ているのだ。
  もう大分昔のことだが、あるクラスのコンパに出て、そこに出席していた学生たちの名前を順番に言っていったことがある。「先生、私たちの名前覚えてくれましたか」という質問に答えてのことだったと思う。自信満々で始めたのであるが、一人の女子学生だけ、どうしても名前が出てこない。ど忘れというやつである。どうせ忘れるなら半分くらい忘れた方がましで、たった一人だけ、それも女子学生ですからね、これこそ「ひど~い」である(他の学生ではなく、本人がそう言って、その場に崩れ落ちるような仕草をした)。しかし、これがきっかけになって、Hさん(というのだ)とは親しく話をするようになり、卒業後のつながりもあのときコンパの場にいたどの学生よりも強いように思える。
  昼食は高田牧舎のハヤシライス。さきほどの失敗のショックが尾を引いている感じで、しんみりと食べる。付け合せに出てきた容器に入ったらっきょうを気づいたら10個以上食べていた。もともと好物ではあるのだが、抑制が働かなくなっていたのであろう。お店の人もあきれたかもしれない。食後に珈琲を注文して帳尻を合わせる。キャンパスに戻る途中、古書店「ルネサンス」で以下の本を購入。

  中川六平『「歩く学問」の達人』(晶文社)
  笠井潔『物語のウロボロス』(筑摩書房)

  3限、4限の時間は研究室で授業の準備作業。5限の基礎演習は、論文の構成の仕方について話をする。頭の中に同時に存在する諸観念を、どのように選択し、選択したものをどのように配列していくかという具体的な方法論を説明し(たとえばKJ法)、Y君(クラスの男子学生は全員Y君で、女子学生は全員Yさんなのだが・・・)のレポートに教材になってもらって、論文構成法を実践的に説明する。メモをを取りながら熱心に聴いている者もいるが、内職をしているものもいる。経験的に言って、こういうところでの差は必ず出るものである。文章は才能が大きくものをいう世界だが、誰でもテクニックやコツを習得することでかなりのレベルまでは行けるものである。
  7時過ぎに帰宅。通販で購入したペリカンのスーベレーンM800(緑縞、3B)が届いていた。定価5万円のものが3万6千ちょっと購入できたのはよいのだが、書き味は水谷先生がお持ちのM800(3BかBBのやはり極太であったと思う)よりだいぶ落ちる。やはりフルハルターで購入して、森山モデルにペン先調整をお願いするべきであった。他店で購入した万年筆の調整もお願いすればやってもらえるので(もちろん有料)、そうしようかと思っている。