終日、あれこれと葬儀の段取り。20数年前、結婚式の段取りを決めたときのことを思い出す。あのときもあれこれ段取りに追われたが、それなりの期間があった。今回は一日二日のうちにあれもこれも決めなければならない。また、結婚式の場合は出席者の人数がはっきりしていたが、葬儀の場合は参列者の人数は不確定である。基準となる数字が不確定であることに加えて、予算を立てる上での「コース」の数が非常に多い。結婚式のときは松竹梅の3コース、せいぜい5コース程度ではなかったかと思うが、葬儀社のパンフレットには10コースくらい載っている。しかもどのコースにも各種のオプションが設定されている。私が金持ちであれば、「一番高いコースで、全部のオプションを付けて」の一言で話は済んでしまう。反対に貧乏であっても「一番安いコースで、オプションは一切不要」の一言でやはり話は済んでします。私のように金持ちでもなければ貧乏でもない中流の人間が一番あれこれ悩む仕掛けになっているのである。できれば、ベランダで猫を相手にボーっとしていたいが、なにしろ喪主であるから、そういうわけにもいかない。葬儀という制度は身近な人間を失った者をボーっとさせないためにあるのだろう。