「フィールドノート」の記事にコメントをしようとしたことのある方はすでにご存じと思いますが、このブログではコメント機能(及びトラックバック機能)は無効に設定されています。「フィールドノート」はホームページ「早稲田大学 大久保孝治研究室」のコンテンツの一つなので、一般の匿名のブログと同じ方式で運営することは難しい(だろう)というのがその理由です。ただし、ホームページの方でアドレスを公開しているので、私個人宛のメールでコメントを頂戴できれば幸いです。実際、旧知の方や面識のない方からときどきメールを頂戴し、懐かしく思ったり、驚いたりしています。
今日は、そうしたメールの中から、最近の「フィールドノート」の記事と関連するものを2つ紹介させていただこうと思います。
最初の1つは、5月3日の記事の中で書いた「ワンセグ放送の3秒の遅れ」について、今春、二文を卒業してデジタル衛星放送の会社に就職したK君からのコメント。
「先生のブログ読んでいまして、まさに今の仕事にどんぴしゃな内容だったので、筆をとらせて頂きました。ワンセグ放送の3秒遅れの件です。ご存知かと思いますが、デジタル放送というのは、テレビの映像を「0と1のデジタル信号」に変換して、家のテレビまで届ける事を言います。ですが、電波に乗ってやってきたデジタル信号は、そのままだと何がなんだか分かりません。そこでテレビに「画」として映るように、デコード(変換)する必要があります。この「デコード」に時間がかかるのです。そしてワンセグ放送は、移動媒体用に確保された電波の帯域(地上波の1ch分)に、複数のチャンネルを一緒に送るため、一つ一つのチャンネルを圧縮して小さくする必要があります。この圧縮(エンコード)にも時間がかかるのです。つまりは、今までのアナログ放送は、画の信号→電波に変調→TVの画面ですんだのですが、デジタル放送(ワンセグ放送)は、画の信号→デジタルに変換→圧縮(エンコード)→電波に変調→TVのチューナーで変換(デコード)→TVの画面というように、従来よりも手間がかかるのです。とはいっても、テレビで見る地デジは、今までのアナログ放送に比べて1秒も遅れていないと思うのですが、PCで見るワンセグが3秒も遅れるということは、そのPCに入っている変換ソフト(デコーダー)の問題なのかも知れませんね。なにぶん、ワンセグ放送はまだサービスが始まったばっかりなので…」
K君は技術部に配属されたただ一人の文系出身者だそうで、いま、無我夢中で勉強しているらしい。「勤務中ですが、『人に説明するのが一番の勉強』と上司の許可をもらってメールしていますのでご安心下さい」とのことである。
もう1つは、5月9日つまり昨日の記事で書いた「三信ビル」について、一文の社会学専修の卒業生でいまは複数の大学で非常勤講師をしているT君からのコメント。
「本日のブログに出ていた三信ビルの記事を拝見して、いてもたってもいられず、メールを差し上げた次第です。近代建築マニアでもある僕は、あちこちの取り壊しの危機にある建物を訪ね歩いているのですが、とりわけ三信ビルは日本の戦前期のオフィスビルの最高峰だと思っています。1929年に建てられたもので、写真にもあるような吹き抜けのアーチや階段の装飾など、意匠的にもすばらしいものがあります。実は3月いっぱいで取り壊しの予定だったのですが、なぜかずるずると延びてしまっています。一応保存運動も行われているのですが、他のプロジェクトと同様、保存再生実現の道のりは遠いようです。わずかに残ったテナントの中で、もし機会があったら訪れていただきたいのが「ニューワールドサービス」という喫茶店(グリル)です。1948年開業で、そのままの内装で今日まで営業を続けてきたお店です。看板料理はハンバーグ(ハンバーガー)で、ご近所の第一生命ビルを中心に展開していたGHQのコックに教えられたレシピをそのままに受け継いだものが食べられます。マクドナルドのハンバーガーなど比ではありません。コーヒーとセットで 800円なので、そんなに割高でもないと思います。ゆったりと過ごせるお店なので、足繁く通い詰めました。ただ最近は名残を惜しむ客が多いので、お昼過ぎにはハンバーガーは売り切れてしまうようですが…。他のメニューもおいしく、ポークジンジャーの定食もおすすめです。3月から4月にかけても何度か通い、「いつ閉店ですか?」と尋ねても、「いつだかこっちもわかんないんですよ」という返事が返ってきました。とりあえず5月いっぱいくらいは営業するようです。僕は、土地と建物は時代とともに移り変わっていくものという考え方なので、保存は大切だと思うのですが、取り壊しが決まったものについてはそれほど執着はしません。でももう何回か名残を惜しみに行きたいと思っています。」
そ、そうだったのか。あのアールデコ様式のアーケードはただものではないという雰囲気が漂っていたが、やはり由緒あるビルだったわけだ。近々取り壊されてしまうのか…。「ニューワールドサービス」のハンバーガー、賞味期限(別の意味で)が迫っているようだから、ぜひ一度、食べておきたいものだ。あっ、ついでに言っておきますが、サンカマタビルのマクドナルド店、私はときどき愛用しております。
今日は、そうしたメールの中から、最近の「フィールドノート」の記事と関連するものを2つ紹介させていただこうと思います。
最初の1つは、5月3日の記事の中で書いた「ワンセグ放送の3秒の遅れ」について、今春、二文を卒業してデジタル衛星放送の会社に就職したK君からのコメント。
「先生のブログ読んでいまして、まさに今の仕事にどんぴしゃな内容だったので、筆をとらせて頂きました。ワンセグ放送の3秒遅れの件です。ご存知かと思いますが、デジタル放送というのは、テレビの映像を「0と1のデジタル信号」に変換して、家のテレビまで届ける事を言います。ですが、電波に乗ってやってきたデジタル信号は、そのままだと何がなんだか分かりません。そこでテレビに「画」として映るように、デコード(変換)する必要があります。この「デコード」に時間がかかるのです。そしてワンセグ放送は、移動媒体用に確保された電波の帯域(地上波の1ch分)に、複数のチャンネルを一緒に送るため、一つ一つのチャンネルを圧縮して小さくする必要があります。この圧縮(エンコード)にも時間がかかるのです。つまりは、今までのアナログ放送は、画の信号→電波に変調→TVの画面ですんだのですが、デジタル放送(ワンセグ放送)は、画の信号→デジタルに変換→圧縮(エンコード)→電波に変調→TVのチューナーで変換(デコード)→TVの画面というように、従来よりも手間がかかるのです。とはいっても、テレビで見る地デジは、今までのアナログ放送に比べて1秒も遅れていないと思うのですが、PCで見るワンセグが3秒も遅れるということは、そのPCに入っている変換ソフト(デコーダー)の問題なのかも知れませんね。なにぶん、ワンセグ放送はまだサービスが始まったばっかりなので…」
K君は技術部に配属されたただ一人の文系出身者だそうで、いま、無我夢中で勉強しているらしい。「勤務中ですが、『人に説明するのが一番の勉強』と上司の許可をもらってメールしていますのでご安心下さい」とのことである。
もう1つは、5月9日つまり昨日の記事で書いた「三信ビル」について、一文の社会学専修の卒業生でいまは複数の大学で非常勤講師をしているT君からのコメント。
「本日のブログに出ていた三信ビルの記事を拝見して、いてもたってもいられず、メールを差し上げた次第です。近代建築マニアでもある僕は、あちこちの取り壊しの危機にある建物を訪ね歩いているのですが、とりわけ三信ビルは日本の戦前期のオフィスビルの最高峰だと思っています。1929年に建てられたもので、写真にもあるような吹き抜けのアーチや階段の装飾など、意匠的にもすばらしいものがあります。実は3月いっぱいで取り壊しの予定だったのですが、なぜかずるずると延びてしまっています。一応保存運動も行われているのですが、他のプロジェクトと同様、保存再生実現の道のりは遠いようです。わずかに残ったテナントの中で、もし機会があったら訪れていただきたいのが「ニューワールドサービス」という喫茶店(グリル)です。1948年開業で、そのままの内装で今日まで営業を続けてきたお店です。看板料理はハンバーグ(ハンバーガー)で、ご近所の第一生命ビルを中心に展開していたGHQのコックに教えられたレシピをそのままに受け継いだものが食べられます。マクドナルドのハンバーガーなど比ではありません。コーヒーとセットで 800円なので、そんなに割高でもないと思います。ゆったりと過ごせるお店なので、足繁く通い詰めました。ただ最近は名残を惜しむ客が多いので、お昼過ぎにはハンバーガーは売り切れてしまうようですが…。他のメニューもおいしく、ポークジンジャーの定食もおすすめです。3月から4月にかけても何度か通い、「いつ閉店ですか?」と尋ねても、「いつだかこっちもわかんないんですよ」という返事が返ってきました。とりあえず5月いっぱいくらいは営業するようです。僕は、土地と建物は時代とともに移り変わっていくものという考え方なので、保存は大切だと思うのですが、取り壊しが決まったものについてはそれほど執着はしません。でももう何回か名残を惜しみに行きたいと思っています。」
そ、そうだったのか。あのアールデコ様式のアーケードはただものではないという雰囲気が漂っていたが、やはり由緒あるビルだったわけだ。近々取り壊されてしまうのか…。「ニューワールドサービス」のハンバーガー、賞味期限(別の意味で)が迫っているようだから、ぜひ一度、食べておきたいものだ。あっ、ついでに言っておきますが、サンカマタビルのマクドナルド店、私はときどき愛用しております。