presented by hanamura
職人さんたちについて
呉服のことなら「よろず受け賜わる」という「悉皆屋」さん。
今回は、「悉皆屋」さんに、
着物ができるまでのお話しや、
その作業を請け負う職人についてのお話しを伺いました。
『着物1枚をつくるための工程は、
山のようにあり、そしていろいろな職人が関わっています。』
「悉皆屋」さんはそう前置きをしてからお話しはじめました。
『身近なところでは染み抜き屋さん。
染み抜き屋さんにも、小さな机でコトコトやる染み抜き屋さんから、
和服ドライのような大きなお店まであります。』
『それから、洗い張り屋さん、湯のし屋さん、
染め物屋さん、糊屋さん、仕立て屋さん…。』
『お客さんから注文をいただいたら
まず、お客さんのサイズを確認して、白生地からつけていきます。
厳密にいえば、染付けが良く仕上がるように白生地を「湯通し」して
糊を落とし、それを「湯のし」仕上げして元に戻します。
目に見えないところですが、それが一番肝心なんです。
湯通しは原則ですが、加工賃を抑えるために
最近ははっしょているところも多いようですね。』
着物を反物から仕立てたことがある人ならば、
この「湯通し」と「湯のし」を頼んだことが
あるのではないでしょうか。
しかし、「悉皆屋」さんがお話ししたように、
呉服屋さんが湯通しを省こうとしたら、
注意した方が良さそうですね。
さて、訪問着などの柄がつながっている白生地は、
「湯通し」が終わると下絵羽屋さんに持っていきます。
『白生地は下絵羽屋さんで裁断します。
上がったら、それを模様師さんのところに持って行って、
藍花(墨)で柄を描いていきます。
そのときに「もうちょっとこっちに柄をつけてくれ」
「こっちを消してくれ」とお客さんと調整します。』
『そうやって下絵を描いたものを次に糊屋さんのところに持っていき、
染めない部分に糊を置いて行くわけです。
糊屋が糊を置いて、次に染め屋が地の色を染めます』
本当にたくさんの工程があるんですね。
『最初の染めの段階だけでこうです。』
「悉皆屋」さんは、そう言って肩をすくめました。
そして、現在の職人たちのお話しをしはじめました。
『しかし、この糊屋さんが、今みんな辞めてしまっています。
昔は余裕があったのでいい仕事ができましたが、
今は在庫がなくて余裕がないから白生地を仕入れたらすぐに染め、
すぐに売るという感じなので、いい仕事ができなくなっているのです。』
『というのは、糊は天候に左右される仕事です。
糊屋が糊を置いて、
次に染め屋が地の色を染めますが、
分業のため、直接つながりがないので、
急かされたりすると天気が悪くても染め屋は染めてしまいます。
そうすると仕上がりが悪くなってしまうので、
染め屋は糊屋が悪い、糊屋は染め屋が悪いと、
お互いの責任のなすりあいをするわけです。』
まとめ役である「悉皆屋」さんならではの視点ですね。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は7月29日(火)予定です。
帯のアトリエ「花邑hanamura」ホームページへ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます