presented by hanamura
「花邑日記」
立冬を迎えて、冷たくなった風に冬の訪れを感じます。
日が暮れるのも早くなり、気がつくと空には星が輝いています。
この季節は星がきれいに見えますね。
寒さに震えながら夜空を見上げると、星の光がいっそうきれいに思えます。
さて今日は、ようやく帯芯を綴じ終えて、
その「星」が名前につく「星どめ」と呼ばれる作業を行いました。
「星どめ」とは、「運針」や「かがり縫い」のように、
布を縫い合わせるときの技法の名前です。
帯の仕立てだけではなく、洋裁などでもつかわれるので、
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
「星どめ」は裏側になる生地の方から針を入れて、
表側に針を出さないように、
裏側と、芯のみを止めてすくい縫いします。
芯と裏側の生地を固定することで、
裏側の生地が表側にでてこないようにするのです。
帯芯を綴じておもてにひっくり返した後は、
帯のはしをまっすぐに整えます。
そして、表側と裏側は「毛抜き合わせ」にしながらアイロンをかけます。
この「毛抜き合わせ」という呼び名は、
「星どめ」という呼び名のようにユニークな名前ですね。
その名前には「毛抜き」のように、
「両側の長さをぴったりと揃える」という意味があります。
しかし、せっかく「毛抜き合わせ」にした帯のはしも、
絹のように滑らかな生地を用いた場合には、
裏側の生地が表側にででしまうことがあります。
帯を結んでいるうちに、裏側の生地が下に滑ってしまうのです。
そうして、帯のはしが揃わなくなってしまいます。
そうなることを防ぐために「星どめ」をする必要があります。
はしを「毛抜き合わせ」にして整えたあとは、
はしから3尺(約11cm)の部分に
裏側の生地と帯芯を縦に「星どめ」で押さえていきます。
そうすることで裏側の生地が表側に出ないように固定するのです。
「星どめ」の作業では、縫うときにもはしを見ながら
裏側が表側に出ることがないように、押さえなければいけません。
もちろん、表側に針をださないようすることも大切です。
しかし、「星どめ」をすると裏側には糸がどうしても残ってしまいます。
そのため、その糸が目立たないように
裏側の生地と同色の糸を用いて、裏側にでる糸の面積をとても小さくします。
大きな空に瞬く星のように小さく縫うことがポイントなんです。
「星どめ」という名前はその小さな姿からついたのでしょう。
この「星どめ」が終わると、帯が仕立て上がるのも、もうすぐです。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は11月18日(火)予定です。
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