presented by hanamura
「ヤマト糊について」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/72/1dab88148fd59b43290c615b42aec5d2.jpg)
上の写真のもの、見覚えがありますよね?
青色のぷくっとしたからだに、黄色い帽子のふたを被ったすがた。
そうです、「ヤマト糊」です。
なんだか懐かしい 「ヤマト糊」。
子どもの頃に、この「ヤマト糊」で紙や段ボールなどを貼りつけ、
動物や車など、たくさんのヘンテコ(?)なものたちをつくりませんでしたか?
セメダインやボンドなどとはちがって
幼い子どもにもやさしいものでしたね。
実は、帯の仕立ての過程で「帯の“はし”をつくる」ときには、
このヤマト糊を使います。
「帯の“はし”をつくる」とは、帯反に帯心を綴じるときに、
手先やたれ下などの“帯のはし”になる部分を
まっすぐにすることです。
帯反と帯芯を綴じるときには
この“はし”を基点にして綴じていきます。
そのため、“はし”がまっすぐでないと、
仕立てあがった帯全体も歪んでしまいます。
帯の美しさにおいて「まっすぐ」なことは
とても大切なことです。
帯のつくり全体を左右する“はし”こそ
とくにまっすぐにつくる必要があるのです。
“はし”をつくる作業には、
いろいろなポイントや手順がありますが、
ここでは帯の前部分のはし(手先)に
糊を貼りつける作業を中心にしてお話しをします。
「手先」をつくることは、
帯反に帯心を綴じるときの一番はじめとなる作業です。
あらかじめ、帯反の前のはしから5分内側に針で「目どおし」※をし、
仕立てあがった帯のはしになる「出来上がり線」をひきます。
そのときに「出来上がり線」がずれないように、糸で縫い合わせておきます。
この線を内側に折り、アイロンをかけて折り目をしっかりとつけます。
帯芯は、二重にして帯反につけます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/8a/86c357d4be93cc242314704529b8cc49.jpg)
上図のように、この出来上がり線に
二重にした帯芯の1枚目のはしをぴったりと合わせます。
つぎに、「出来上がり線」の5分外側を「のりしろ」にして
「糊」を3~4箇所うすくつけ、内側に折り込みます。
ここにアイロンをかけて帯反と帯心を貼り付けます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/ed/2ae20d03e4a6ee967c4ac3585567de81.jpg)
2枚目は、内側に折られた部分を「のりしろ」にして
「糊」を3~4箇所うすくつけます。
この部分に2枚目の帯芯をはしから少しずらしてつけ、
アイロンをかけて帯反に貼り付けます。
この「糊」で貼り付けた「帯のはし」を基点として、
帯反と帯芯の長さを均等に合わせ、綴じていきます。
そして、「糊」で帯反と帯芯を貼り付けた
「帯のはし」を糸でも縫いとめます。
「帯のはし」を「糊」で貼り付け、
さらにそこを糸で縫い合わせることで
よりしっかりと固定し、
帯が歪まないようにするのです。
つまり、帯を仕立てる作業のなかで
「糊」はとても重要な役割をもっているといえます。
この「糊」の原料は、むかしも今も、
天然の「でんぷん」からつくられています。
天然の「でんぷん」は、
布にやさしく、布との馴染みもとてもよいからです。
現在、帯の仕立てに使っている「ヤマト糊」の原料も、
もちろん天然の「でんぷん」です。
子どものときに使った「ヤマト糊」のやさしさが
帯の仕立てにも使われているんですね。
ちなみにむかしは、糊をつけるための小さな「へら」が外側についていましたね。
しかし、現在のヤマト糊の「へら」はふたの内側についています。
このわけを帯教室の生徒さん(別名ものしり博士さん)が
「ヤマト株式会社」(ヤマト糊の製造会社)に(!)問い合わせてくれました。
「外につけると、へらに残ったのりが乾燥してしまうんです。」
というおはなしだったようです。
こんなところにも気配りのあるやさしい「ヤマト糊」。
「ヤマト糊」の宣伝をするわけではありませんが、
「ヤマト糊」にますます愛着がわいてしまいました。
※1月29日更新のブログ「針について」を参照してください。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は3月4日(火)予定です。
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