大阪行き

久しぶりに大阪へ行ってきた。

予定はしていなかった。年末に知人の社長さんから頼まれて、急きょ彼の家族とその友人の子供たちを連れてユニバーサルスタジオに行くのが目的であった。子供５名を含め、総勢で十人の大所帯だ。

ちなみに社長さん自身は、遅れている現場の監督指揮で東京に残って正月休み返上で仕事があり、その工事現場の不動産の運用アドバイスをしていた立場上、頼まれては断りにくかったので、止む無く参加した。

でも、それほど嫌ではなかった。久々の大阪行きだし、私の本音は松阪牛と、関西料理である。それにハリーポッターが目玉商品となっていると聞いていた、ＵＳＪにも関心はあった。

ただ、車中泊２泊で残り一泊も健康ランドでの仮眠という強行軍でもある。おかげで旅費は安く済んだ。そのせいかもしれないが、当初７名のはずが、安いと聞いた途端に数名参加者が増えたのには苦笑した。

まァ、お子さんをお持ちの家族にとって旅費は安く済めばそれに越したことはないのであろう。私は当初、三泊は覚悟したが、実質三日で帰京できたので、そのほうがありがたかった。時間もまたお金同様貴重だしね。

不慣れなワゴン車ではあったが、交代ドライバーがいるというので安心していた。ところがこれが大誤算。免許をお持ちの若奥さん、街中の運転ならともかく、夜の高速は怖くてダメとのこと。結局８割がた私が一人で運転する羽目に陥った。

おまけに、車内でＤＶＤを子供たちが観ていたのだが、それが妖怪ウォッチである。何度も繰り返し見るものだから、覚えてしまったではないかい。はい、あの「妖怪～、妖怪～、ウォッチチ！」とかいう歌である。まだ耳に残っている気がするぞ。

それはともかくも、社長さんの経費もちの食事だけは豪華であった。美味しい松阪牛のすき焼きを頂き、神戸牛のステーキも堪能した。余は満足である。

で、肝心のＵＳＪであるが、実はあまり覚えていない。深夜に東京を出て、朝一で乗り込んだせいで寝不足な私は、荷物の見張りと順番待ちを引き受け、うとうとしていたのが原因である。

おまけに本命のハリーポッターのエリアに入場できたのは、夕暮れ後であり、薄暗くてよく見えない。降り出した雨のせいで、ジェットコースターがえらく寒かったことだけは、よく覚えている。それと、足がブラブラするアトラクションであったので、子供たち、特に女の子の悲鳴（嬉しそうではあったが）がうるさくて、そっちのほうが印象に強い。

まァ、私の脳みそが今夜の夕食をどうするかに囚われていたのが本当の原因ではある。ちなみに、ここでしか売られていないという「鼻くそ味のキャンディ」は、それほど不味くなかった。

なにんやかんやで、今夜の宿である大阪スパワールドへの道中、助手席から見た大阪の街はあまり景気が良さそうには思えなかった。天王橋の近場にできた阿倍野ハルカスには行かなかったが、その周辺の新世界界隈で閉店した店が散見され、寂しい感じさえした。

以前行ったことがある、ふぐちりの店で遅めの夕食を食べ、健康ランドへ行くと予想とおり部屋は満室。仕方なく仮眠室でと思ったが、ここも満席。面倒に思い、フードコートの座敷の片隅でみんなで集まって毛布を引いて仮眠をとる。

まァ、たまにはこんな旅も良いとしよう。２９日に帰京し、少し休んでから仕事に出たのだが、ニュースを見ると帰路に使った新名神の高速道路が大渋滞であった。早めの帰京で良かったと安堵する。

まったく忙しない旅ではあったが、気分転換になったことは確かだ。子供連れであったので、あまり上品な店には行けなかったが、お肉は美味しかった。特に神戸牛なんて、東京より２割は安く感じた。

でも、景気自体も東京より２割悪く感じたのも事実。まァ二割というのは単なる勘だが、閉店したと思える店が並ぶ商店街や、安い店に人が集まる傾向などが顕著に見られたのも確かだ。

一方、人気のスポットに人が集まっているのも確かだ。それはＵＳＪなりスパワールドで実感した。同じことは東京でも感じるので、景気の二極化というか、集中化する人の流れは、地方でも同じなのだと実感できた。

政府やマスコミの発表する景気判断なんて当てにならない。やはり自分の目で見て、聞いて、感じての判断が必要なのだと思います。