ヌマンタの書斎

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高木監督の解任

2007-09-03 09:24:13 | スポーツ
先週、Jリーグの下位で低迷する横浜FCの高木監督が解任された。

昨年、J2を一位で優勝してのJ1入り。元の母体は、旧・横浜フリューゲルスだけに、そのJ1復帰は多くの人たちの関心を呼んだ。ベテランの三浦和の存在もあり、注目を集めたチームであることは間違いない。

J2での戦いぶりは、一言でいえば堅守そのもの。得点は多くないが、失点を防ぐことで勝ち抜いた。これは弱いチームがとるべき理想的な戦術でもある。大型FWとして名を馳せた高木監督のオーソドックスな指導ぶりは、意外であると同時に、その将来性を期待できた。

J1に昇格にあたっても、山口素弘や久保、奥といったベテランを中心にJ1経験者を集めての補強ぶりも、それなりに期待の出来るものであった。

だが、私は少々疑問に思っていた。高木監督がサンフレッチェ時代の後輩である久保を呼び、攻撃の中心に据えると広言したのをみて、大丈夫かと危惧した。久保は、その日本人離れした身体能力で、ゴールを奪う優秀なFWだった。そのャeンシャルは本物で、前日本代表監督のジーコも大いに期待していた逸材だ。

しかし、怪我が多くそのためにワールドカップとは縁が無かった。所属のマリノスでも、一年を通じての活躍はなかった。そんな選手を攻撃の中心に据えて大丈夫なのか?

私の不安を他所に、開幕戦で久保は凄まじい得点を決めた。あれは記録と記憶に残る名ゴールだと思う。あのような凄いゴールを打てる日本人FWは、久保以外ではまずありえない。しかしながら、予想とおり久保は怪我による登録抹消で消えた。

J2時代の堅い守備は、試合を重ねるごとに綻びをみせ、期待のベテラン勢は試合にすら出れない。伸びるべき若手は、J1の速さについていけてない。単に走るだけならJ2のほうが走るかもしれない。しかし、J1はプレーの速さが違う。判断が速く、プレーも速いため、横浜FCの選手たちはついていけてなかった。

山口素や奥は素晴らしい選手だったが、いかんせん、年齢的な衰えが目立つ。序盤は問題なくても、時間が進むにつれ、瞬間的なスピードが落ちてきて、そこを相手につかれていた。

加えて、現在のJリーグは対戦相手の研究が進んでいる。序盤には通用した堅い守りも、分析されて対処法が編み出されると、後半はずたずたにされた。高木監督も、スタッフもこの対応の早さについていけてなかった。

正直言えば、オールスター戦以後、横浜FCは他のチームから鴨にされていたと思う。つまり、現在のJリーグは、質の高い選手だけでは勝てない。チームの補強に目を配れるGMと、偵察、分析といったスタッフが充実していないと、一年を通じた活躍は出来なくなっている。

監督を解任して、新監督を迎え入れるだけでは駄目だと思う。もっと基盤となるチームの総合的な能力を高めないと、J1で勝ち続けるのは難しいのだと思う。

主力選手の高齢化から低迷していたかつての強豪、アントラーズはそのあたりはしっかりしているため、じわじわと順位を上げてきている。残念ながら、横浜FCはまだまだそのレベルにはない。J2落ちを睨んだチーム戦略が問われるのだと思う。
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