日本では、何事も時間がかかる。
グローバル・スタンダードの導入が叫ばれて、何年も経つが遅々として進まない。いや、一部が急激に進んでいるのだが、それが全体に波及しているとは言い難い。
引当金が国税局の目の敵とされ、多くの引当金が損金不参入の憂き目に遭っている。大量の退職者を迎えているにもかかわらず、中小企業では退職給与引当金は廃止され、退職給付会計の導入は竜頭蛇尾に終わっている。401k?あれは資金の株式市場流入を目指したものとの性格が強すぎる。
日本はやはり製造業の国だと思う。だからこそ設備投資の費用化である減価償却制度の改正は、非常に重要な意味を持つ。そう言われてから、はや十数年。平成10年の法人税大改正で議題に上がりながら、先送りとされた減価償却制度の国際会計基準との整合化がようやく導入された。
あらためて減価償却について説明しておきます。現在の会計では、売上と費用の差から利益を認識します。100円で仕入れたものを、150円で売れば、利益は50円となります。売上マイナス費用で利益が計算されるわけです。
ところで、100万円で購入した自働包装機(機械という資産になります)をどう費用として認識するのか?この機械は10年間は稼動するものと仮定すると、その購入価額100万円を10年で除した10万円が一年間の費用と見積もることが出来ます。このような資産の費用配分のことを減価償却といいます。
実務上は、取得価額に見積もり使用年数(耐用年数といいます)から算定した償却率をかけて、減価償却費を計算します。
しかし、口うるさい奴が細かいことを言い出した。10年後に処分するときに、自働包装機は中古機械として売れる価値があるのではないか。だから、その処分価格を差し引いて減価償却は計算されるべきだと。この処分価格のことを残存価額と言います。会計上、取得価額の10%が残存価額とされてきました。
そこで、(取得価額マイナス残存価額)× 償却率で減価償却費を計算してきたのです。当然に減価償却費は減少しています。
たしかに使用可能年数を経過した後でも、売れる資産はないわけではない。でも売れれば、それは売却収入として別途利益を認識しますし、現実問題は処分費用がかかるほうが多い。
だから、先進国ではとっくの昔に残存価額を認識することを止めていました。でも、日本では大蔵省が首を振りません。残存価額を廃止すると、減価償却費が多く計算され、その結果利益が減少して、税収が減ってしまう。代わりの税収が確保されない以上、残存価額の廃止は認められない。そう言って、国際会計基準からはずれた、時代遅れの制度を温存してきました。
国際競争の厳しい現代社会です。同額の設備投資をしても、費用化される金額が少なければ、当然に原価は減り、利益が算出されて良いことのように思えるかもしれません。しかし、それは過大に税金を払うことを意味するだけでなく、なかなか費用化されない設備投資を抱えた企業には、過大な負担となり国際競争力を削ぐものとなってきました。なにせ、他の先進国が次々と費用化しているのを横目に、使えなくなって初めて全額費用化する羽目に陥った日本企業は青くなりました。
さすがにマズイと気がついたのか、あるいはバブル崩壊後ようやく景気回復の効果が出て税収が増えたことを背景に、財務省は減価償却における残存価額の廃止に踏み切りました。適用は今年平成19年4月以降の取得資産からです。過去の残存価額の累積は、来年の決算から5年間で少しずつ償却する予定です。
正直言って、5年で償却なんてせずに、一括で落としたいものです。どうゆう理論付けをしたのか知りませんが、多分本音は歳入の安定確保でしょう。十数年かけて、ようやく導入された減価償却の改正ですが、最後の最後に後ろ足で砂をかけられた気分です。あぁ腹立たしい。
グローバル・スタンダードの導入が叫ばれて、何年も経つが遅々として進まない。いや、一部が急激に進んでいるのだが、それが全体に波及しているとは言い難い。
引当金が国税局の目の敵とされ、多くの引当金が損金不参入の憂き目に遭っている。大量の退職者を迎えているにもかかわらず、中小企業では退職給与引当金は廃止され、退職給付会計の導入は竜頭蛇尾に終わっている。401k?あれは資金の株式市場流入を目指したものとの性格が強すぎる。
日本はやはり製造業の国だと思う。だからこそ設備投資の費用化である減価償却制度の改正は、非常に重要な意味を持つ。そう言われてから、はや十数年。平成10年の法人税大改正で議題に上がりながら、先送りとされた減価償却制度の国際会計基準との整合化がようやく導入された。
あらためて減価償却について説明しておきます。現在の会計では、売上と費用の差から利益を認識します。100円で仕入れたものを、150円で売れば、利益は50円となります。売上マイナス費用で利益が計算されるわけです。
ところで、100万円で購入した自働包装機(機械という資産になります)をどう費用として認識するのか?この機械は10年間は稼動するものと仮定すると、その購入価額100万円を10年で除した10万円が一年間の費用と見積もることが出来ます。このような資産の費用配分のことを減価償却といいます。
実務上は、取得価額に見積もり使用年数(耐用年数といいます)から算定した償却率をかけて、減価償却費を計算します。
しかし、口うるさい奴が細かいことを言い出した。10年後に処分するときに、自働包装機は中古機械として売れる価値があるのではないか。だから、その処分価格を差し引いて減価償却は計算されるべきだと。この処分価格のことを残存価額と言います。会計上、取得価額の10%が残存価額とされてきました。
そこで、(取得価額マイナス残存価額)× 償却率で減価償却費を計算してきたのです。当然に減価償却費は減少しています。
たしかに使用可能年数を経過した後でも、売れる資産はないわけではない。でも売れれば、それは売却収入として別途利益を認識しますし、現実問題は処分費用がかかるほうが多い。
だから、先進国ではとっくの昔に残存価額を認識することを止めていました。でも、日本では大蔵省が首を振りません。残存価額を廃止すると、減価償却費が多く計算され、その結果利益が減少して、税収が減ってしまう。代わりの税収が確保されない以上、残存価額の廃止は認められない。そう言って、国際会計基準からはずれた、時代遅れの制度を温存してきました。
国際競争の厳しい現代社会です。同額の設備投資をしても、費用化される金額が少なければ、当然に原価は減り、利益が算出されて良いことのように思えるかもしれません。しかし、それは過大に税金を払うことを意味するだけでなく、なかなか費用化されない設備投資を抱えた企業には、過大な負担となり国際競争力を削ぐものとなってきました。なにせ、他の先進国が次々と費用化しているのを横目に、使えなくなって初めて全額費用化する羽目に陥った日本企業は青くなりました。
さすがにマズイと気がついたのか、あるいはバブル崩壊後ようやく景気回復の効果が出て税収が増えたことを背景に、財務省は減価償却における残存価額の廃止に踏み切りました。適用は今年平成19年4月以降の取得資産からです。過去の残存価額の累積は、来年の決算から5年間で少しずつ償却する予定です。
正直言って、5年で償却なんてせずに、一括で落としたいものです。どうゆう理論付けをしたのか知りませんが、多分本音は歳入の安定確保でしょう。十数年かけて、ようやく導入された減価償却の改正ですが、最後の最後に後ろ足で砂をかけられた気分です。あぁ腹立たしい。