ディスカバリーチャンネルの人気番組に「名車再生」がある。
イギリスで製作された番組で、「Wheeler Dealers」が正式な番組名だそうだ。中古車ディーラーのマイクが買い付けてきたオンボロの車を、巨漢のメカニックであるエドが修理し、再びマイクが売り捌く。
エドもまたプロの修理屋なのだが、ボロボロ、錆だらけの車を再生していく、その手腕が凄い。その手際こそが、この番組の醍醐味でもある。私もエドが、ボロボロの車を解体し、分析し、治していくその過程を注視していた。
日本にだって腕のイイ車の修理を得意とする職人はいると思う。しかし、日本の場合、自動車ディーラーも、町の自動車工場も車のメーカーに仕切られている。トヨタの車なら大丈夫だが、ホンダとなると分からない。そんな職人が多いはずだ。
要するに自動車メーカーごとに、扱う車を限定しているが故に、その修理の腕前も必然的に専門化してしまう。日本では、どうしてもメーカー有利というか、メーカー主導で自動車市場が作られてきたので、修理工までもがメーカーの枠に制約されていることがある。
ただし、中古車の改造市場は例外で、警察に睨まれながらも、車のパーツを寄せ集めて、エンジンの出力を上げたり、サスペションの性能を向上させたりして、速い車へと改造していく職人は少数ながら存在する。
日本の場合、警察の許認可が大きな制約となっており、欧米のようなレストア市場は未だ十分な規模をもっていない。特に車検制度が、古い車の再生にとって大きな障害となっている。
そして、この番組のメカニックのエドは、古い車の再生(レストア)を得意とする職人なのだ。レストアの伝統は、車社会の欧米では長い伝統に支えられているがゆえに広い市場を持つ。社会の理解も、日本に比べて遥かに普及している。
ちなみにこの番組では、何度か日本車も登場している。私が観たのは、ニッサンGTR(日本ではスカイラインですね)、ミアータ(マツダのロードスター)、トヨタのMR2、ホンダのS2000などがレストアの対象とされている。
日本車も十分、名車として名を残しているだけでなく、古くなった車も再生されれば、マニアが喜んで買っていく。日本人としては、嬉しく、また誇らしくもある。
しかしながら、肝心の日本においては、このレストア自体がマイナーな概念であり、また車検制度がレストアの障害となっている。実に残念でならない。
この番組は、少し前から舞台をイギリスからアメリカに移している。そして名物メカニックのエドが番組から引退してしまい、現在は二代目のアランが活躍しているらしい。
ずいぶんと息の長い番組である。それにしたって、そろそろ日本でも、レストアが日の目を浴びてもいいと思います。その為には、車検制度の大幅改正が必要であり、そこが最大の障壁でしょうね。
トランプ大統領、日本の車検制度に噛みついてくれないかなァ~、外圧があれば、きっと役所も重い腰を上げると思うのですがね。