エアバックの破裂問題で経営危機に陥っていたタカタが民事再生法を申請した。
正直、非常に腹が立つ。民亊再生法も破産ではあるが、会社更生法と比べて経営者に甘い。会社更生法が、その再建を裁判所が指定した破産管財人が担うのに対し、民事再生法では経営者が居座ることが許される。
タカタの経営再建が遅れた最大の原因は、はっきり言えば創業者一族の甘えである。経営責任を取らずに、なんとかその場しのぎで誤魔化そうとして失敗したからこその破産である。
一番の失敗は、エアバックの欠陥を隠ぺいしようとしたことである。アメリカでは罪そのものよりも、その罪を隠ぺいしようとしたことに対するほうが罰則が重い。タカタは、2004年の破裂問題発生以後も、何度となく問題の所在をあいまいにして、結果として隠ぺいの罪を問われた。
二番目の失敗は、この問題を謝罪することを避ける経営陣の姿勢そのものである。アメリカのマスコミに叩かれ、日本でも非難の声が上がり、内々に霞が関から姿勢を問われて、ようやく謝罪の姿勢を見せた。それも、ごく短時間であり、印象は非常に悪い。
あまりの対応の悪さに、主な取引先である日本の自動車メーカーからも失望と怒りを買い、本田などは取引を止める始末であった。あげくに、救済の姿勢を見せる日本の自動車メーカーをしり目に中国系企業の傘下にあるアメリカの企業に事業を譲渡するという。
タカタは高度な技術を持つ自動車部品製造メーカーであり、その宝である製造ノウハウが海外に、しかも中国に流出してしまうのである。これは単に技術の流出に留まらない。
遅かれ早かれ、製造工場はシナに移転されるから、日本国内の雇用の喪失であり、また安い人件費を武器にしたシナ系の下請け企業に仕事を奪われ、日本の下向け企業が苦境に陥ることも確実だと云える。
しかも、会社梼Yで債務の切捨てを狙うのだが、それも第三者に委託しての会社更生ではなく、破たんさせた経営者が居残っての民事再生だと言うのだから、呆れてものが言えない。
これは、タカタの創業者一族の利益を確保したうえでの行為である。一兆円を超えるとされる債権者、株主、従業員、そして関連する下請け企業のことなど、まるで考えない恥知らずな所業であると断言できる。
もし・・・仮に2010年くらいに民事再生をとっていれば、まだまともな再建は可能ではないかと思う。だが、今年まで引っ張り、取り返しの付かない状態になってからの破産である。
経営者がこれほど卑劣では、日本の自動車メーカーなどの協力も得られまい。梼Yとは概ね悲劇ではあるが、近年の上場企業で、これほど恥知らずな梼Yは珍しいと思います。