ヌマンタの書斎

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託児制度の歪み

2015-03-19 15:08:00 | 社会・政治・一般

待合室でたまたまTVを見ていて唖然とした。

これまでも徘徊する老人などを不当に拘束する施設などの映像なら見たことがあった。だが、よりにもよって幼児を拘束する託児所があるとは知らなかった。

子供がありふれた国ではない。むしろ少子化と言われているように、子供が少なくなっている国である。当然、子供は国の宝であり、未来を担う貴重な人材である。

その子供たちが、託児所で縛られて無残な姿でいるのだから、こんな愚かな話はない。

いったい政府は何をしているというのか。公認の託児所には補助金が付く一方で、厳しい制約もある。それは、それなりに意義あることだが、いささか実情から乖離し過ぎている。

前から思っていたのだが、役人に改正法案の原案を作らせるのには限界がある。役所というものは、法律に定められた制度を実施するためにこそある。いわば現状をこそ正しいとした前提の上で仕事をする人たちだ。

それは行政の在り方として間違ってはいない。だが、今ある法律は正しい、制度は正しいとの前提で動いているので、変化する社会に法制度を変えて対応しようとしない。むしろ変化している現状を、無理やり古い法制度に適合させて対応しようとする。これは役人の本能的な対応である。

そもそも役人とは行政職であり、立法を仕事としている訳ではない。それは本来、議員の仕事として制度上定められている。しかし、我が国で実際に立法が出来る議員がほとんどいない。

むしろ議員の仕事は、市井の声を政府に届けると称して、政府を非難することだと思い込んでいる。自ら立法が出来るほどの議員など、滅多にいない。国会から地方議会まで含めて、議員の数は数多に及ぶが、法律を作る、改正する仕事をしている議員なんざ、まずいない。

そのかわりに霞が関のお勉強がよく出来るエリート官僚さんたちが、法律を作って、それを議員や経団連など政治的影響力の強い団体などに根回しし、議会の個別の委員会で賛成可決させる。後は国会なんざ素通りである。

本来の仕事を放棄している議員にも問題はある。だが、それ以上に困るのは実情を知らぬエリート官僚に立法を任せきっていることだ。彼らは部下である下級官僚の報告に基づいて法律を作る。

報告を送る下級職の官僚たちは、上司が不機嫌になるようなことは知らせない。なにせ、現状の法制度が、変化している実情に合わないということは、過去に保制度を作り、また改正してきた上級官僚たちの仕事に不備があったことに他ならない。

誰が猫の首に鈴なんざ、つけられようか。

かくして、頭のいいはずのエリート官僚たちは、本当の問題が押し隠された無難な(つまり役に立たない)改正法案しか作れない。こんな間抜けなことを繰り返してきたからこそ、幼児が託児所で縛られているような惨状が生じてしまった。

託児所の運営者や、その施設の職員を非難するは容易い。しかし、問題の根幹はそこではない。未だ公的に24時間対応可能な託児制度を作れない政府にこそ、本当の責任がある。

嫌な予測ですが、これからも託児所で悲惨な事故は起こるでしょう。今のシステムでは、社会の実情に合わせた託児システムは作れない。おそらく幾多の託児所を巡る悲劇と惨劇が繰り返されぬ限り、決して抜本的な解決はなされないと私は考えています。

コメント
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