やはり実質的な賃金は上がっていない。
これがアベノミクスの最大の欠点だといっていい。たしかに株価は上がったし、円安誘導による輸出振興の成果も出ている。おそらく今年の3月決算は、かなりの好成績を発表する上場企業(つまり大企業)が多いと思う。
それでも庶民の暮らしは楽にならない。少なくても公務員と大企業の従業員の給与は上がっている。それなのに好景気感に乏しいのは何故か。一つには昨年の消費税の増税が大きい。
政府は法人税の減税こそしたが、個人についてはむしろ増税(復興特別所得税など)したままだ。社会保険なんざ、国会を素通りして増額されているので、庶民の乏しい財布の中身は軽くなるばかりだ。
今年のベースアップも、大企業を中心に昨年を上回るとみられるが、昇給分も天引きされる税金や社会保険に3割から4割ちかくを取られるため、実質的な賃金はたいして増えない。
実は秘策がある。今年、あるいは来年までと年数を限って前年を上回る昇給分については、所得税、住民税をかけない。社会保険の算定基礎にも含めない。そうすれば、昇給分はまるまる庶民の懐に入る。
もちろん高額所得者(給与なら年額1500万以上)は適用除外にするなどの方策は必要だろうし、あくまで給与として支給したものに限定すべきである。そうでないと、抜け穴を考え出す連中が出る。
幸い、まだ今年の予算案は国会を通過していない。多少遅れてでも実施する価値はあると思う。ただ、財務省と厚生労働省が大反対するだろう。だから実現の可能性は薄いことは分かる。
断言するが、アベノミクスは限定的に過ぎる。確かに効果は出ているが、それが局所的なために日本全国に行き届かない。改憲などと云っている場合ではないと思いますがね。