ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「嵐の惑星ガース」 E・C・タブ

2008-08-21 17:32:12 | 
連載が長すぎるのも、どうかと思う。

私が十代の頃に刊行されたのだが、通称デュマレスト・サーガだ。その第一作目が表題の作品だ。当初は面白くて夢中になった。舞台設定が見事だった。遠い未来、人類は宇宙へ飛び出し、遠く銀河の中心まで広がり繁栄を極めた。時が過ぎるうちに、銀河の辺境の地球は人類発祥の地にもかかわらず、忘れ去られた。

それでも細々と地球に暮らす人はいた。久しぶりに地球を訪れた宇宙貨物船に密航した少年は、なぜか船長に可愛がれ、銀河中心域に暮らすようなった。しかし、長じるにつれ郷里を想う気持ちが強まり、帰郷を決意する。しかし、地球はエデンの園と同様な伝説の地と化し、誰もその座標を知らない。

故郷を探し求める主人公は、偶然に精神操作に関る極秘機密事項を知ってしまい、そのため秘密組織サイクランに追われる羽目に陥る。超能力を持つでもない普通の男性である主人公は、生き残る技術の達人だった。素早い動きと狡猾な頭脳、策謀に追い込まれながらも、ギリギリのところで生き延び、逃げ出し、それでも地球を捜し求めることをやめない。

面白かったことは間違いない。ところが連載が長すぎた。16巻を読んだあたりで、私は読み続けることを止めてしまった。話は面白かったが、いつまでも地球の影が見えない展開に飽きてしまったからだ。

以来、20数年が過ぎた。偶然、古本屋で最終巻「最後の惑星ラニアン」を見つけた。ちなみに31巻になる。途中が十数巻抜けてしまったが、迷わず手に取った。このシリーズの良いところは、途中からでも楽しめることだと覚えていたからだ。なによりも、最後の顛末だけは知りたかった。

ところがだ、この31巻のエンディングは期待したものではなかった。変に思い、ネットで検索して調べてみたら、本邦未翻訳の最終巻があった。「The Return」とある。こら、東京創元社!シリーズを廃刊にしたのはともかく、せめてこの本の最終巻を刊行せい!義務だと思うぞ。

本国イギリスでの最終巻発刊(1992)から既に十年以上たっている。3年ほど前に、東京創元社は廃刊したデュマレスト・サーガを一部刊行しなおしたので、私は今でも最終巻の翻訳を待っている。原作を自力で読む気力と時間がないからだ。

ただ、なんとなく地球の座標が隠されている謎の真相には気づいている。シリーズを読んだ方は皆、おそらく同じ予想をしていると思う。日本版の最終巻の後書きで、翻訳者もそれとはなしに匂わせている。主人公を追い求める秘密組織サイクランの本拠はいずこか?どう読んでも、そりゃ地球だろう。それを確認したい!

予想とおりなら、主人公待望の帰郷は最後の戦いになるはずだ。嗚呼、知りたい、読みたい。久しく英語の原書読みはしてないので、自信はないが、あと十年待って駄目なら自分でやってみるかな。いや、東京創元社は筋を通すべきだ。極悪非道な早川とは違うと信じているぞ。
コメント (2)
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