ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

朝青龍のしごき

2007-05-21 12:32:45 | スポーツ
以前から気になっていた。

場所前の稽古で、横綱朝青龍が若手を怪我させたと非難している報道があった。将来強くなりそうな若手を、横綱が厳しく鍛え上げるのは、角界の慣例だったはずだ。怪我させるほどの稽古は、稽古ではないとの論調もある。しかし、いかがなものか。

かつて、人気も実力も急上昇した力士がいた。横綱千代の富士を破り金星を挙げ、他の大関も破り、将来の横綱候補として名を上げた若手が、白いウルフこと益荒雄だった。ルックスも良く、筋肉質な体つきで、いかにも気の強そうな力士だった。

この若手を潰したのが、他でもない大横綱である千代の富士。稽古場で厳しく投げ飛ばし、仲の良かった板尾や逆鉾らに集中的に攻撃させたと聞く。そのせいか、怪我が多く、小結止まりで間も無く引退を止む無くされた。益荒雄だけではない。北勝鬨の弟を稽古場で怪我させたり、人気をたてに本気で向かってきた寺尾を土俵に叩き付けたりと、やりたい放題であった。

でも、私の知る限り千代の富士を非難する報道は、ほとんど無かった。今の朝青龍と、どこが違うというのか。

強い人は、必ずしも人格者であるとは限らない。むしろ、その逆であることが多い。強いってことは、己の我侭を押し通すことが出来ることでもある。ボクシングでもそうだが、強い者ほど我が侭で、暴れん坊が多かった。だいたいが、腕っ節が強く、喧嘩が強い奴を思い出してみれば、彼らが人格者であったことのほうが稀だと思えるはずだ。

私は品行方正で、人格者であったとしても弱い横綱はご免だ。暴れん坊でも、強ければ、それでいい。強さこそが、唯一の評価の基準で良い。一般社会では問題もあろうが、相撲などの格闘技の世界では、それで十分だと思う。嫌われたって良い、無視されない強さがあれば、人は十分生きていける。

ウサギの基準で、狼を評価するのは無理があると思う。
コメント (2)
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