ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

ヒットソングを創った男たち5

2022-03-30 15:15:00 | メディア
さて…「長岡さんは、80年代後半以降、アーティストものと並行して
映画音楽のお仕事も開始されます」と振られ
「斉藤由貴さんの主演映画を作っていた東宝から
主題歌の制作を依頼されたのがきっかけですが
ある時、大森一樹監督から『映画の中の音楽も作って下さいよ』と言われましてね
『判りました』とは言ったものの、映画の音楽ってすごく難しいんですよ

私が作って来たのはポピュラーな音楽なので、どうしてもメロディが立ってしまう
でも、それは映像の邪魔なんです」…と、これは、脚本家の山田太一さんが
ご自身のドラマに甲斐さんの曲を使いたいと思われても
甲斐さんの曲は映像的で、その世界が完結しているから
「ドラマの方が負けてしまいそうだ」とおっしゃったというエピソードに似てますよね?

「映像音楽というのは、作品によっては40曲くらい作る場合もありますけど
その内、1~2曲が耳に残ればいい
その2曲を立たせるために、他の曲を伏線として作ったり
時には、音楽の存在に気づかないような、目立たない曲を作らなきゃいけなかったりする訳です
慣れない内は、それがどうしても上手く行かなくて苦労しました」と長岡さん

「90年代以降は『ラストソング』(94年)や『リング』(98年)、『らせん』(98年)など
話題の映画やアニメ音楽のプロデュースも多数なさっています」との言葉に
「『優駿ORACION』(88年)という映画の主題歌を担当した時
監督の杉田成道さんに、甲斐バンド時代の話をしたら
『面白いね。そのバンドの話を映画にしたいな』と言われたことがあるんです

そうしたら本当に『ラストソング』(94年)という映画になってしまって…(笑)
『ラストソング』では、吉岡秀隆くんが歌う
同名主題歌(94年1月/作詞・作曲:吉岡秀隆)の他に、劇中音楽も担当したんですけど
この辺りから、劇伴のコツを掴めたような気がしますね」と明かされてましたが

「ワガママでワンマンなリーダーが率いる九州出身のバンド(笑)」という設定に
甲斐さんが「俺は、あそこまでひどくない!(笑)」とおっしゃった
本木雅弘さん演じるバンドリーダーのキャラクターは
杉田監督の創造なさったものだとばかり思っていたら
元バンドメンバーの方の証言が元になっていたんですね(笑)

ちなみに…「天才ギタリスト」役でいらした吉岡さんから
ギター指南をお願いされた甲斐さんは、ご自身が左利きでいらっしゃるため
KAIFIVEの田中ヤッチさんにお任せになったという経緯もあり
KAIFIVEのメンバーの皆さんと共に、福岡ドームのこけら落としライブに出演なさる際に
「吉岡くんに、生のステージを踏ませたい」とゲストに招かれたそうだけど
ずいぶんと大きな場所での初舞台で、吉岡さんの緊張はいかばかりでいらしたかと…(汗)

ともあれ…長岡さんは「その後、私は映画部に異動するんですが
それは『スワロウテイル』(96年)という、ポニーキャニオンが出資した映画の音楽が
ソニーから発売されたことがきっかけなんです
『こういうことが起きるのは、映画音楽を作れるヤツがウチの映画部にいないからだ』
ということになって『長岡、お前が行って作れ』と…
制作部から映画部に異動して、初めて手がけたのが『リング』と『らせん』の音楽でした

…と話されてますけど、その「リング」のテーマソング決定の経緯や
試写会での女子高生たちの反応を参考に、劇伴や効果音の詳細を詰められたことなどは
「Happy Go Lucky!」で披露なさってましたよね?
そう言えば…長岡さんは「リング」シリーズの最新作か何かのプロモーションで
渋谷のスクランブル交差点を「貞子」の大軍が闊歩した(笑)というニュースをご覧になって
とても喜んでいらしたことを思い出しました(笑)

そして…「近年は『ショッピングモールの歌姫』として注目されている
半崎美子さんを手がけるなど、多くのアーティストにヒット曲をもたらして来た長岡さんですが
ヒットの条件みたいなものがあれば、お伺いしたいのですが…?」と訊かれて

「私はヒット曲よりも、みんなが『いいね』と言ってくれる曲を世に出したいと思ってやって来たので
『こうすればヒットする』みたいなことは言えませんが
ディレクターが周囲の声を気にし始めた時は、たいてい失敗しますよね

レコード会社にいた頃は、会社の幹部とか、アーティストが所属する事務所の社長とか
偉い人たちから色んなことを言われましたけど
そういう意見に左右されると、ヒット曲って出ないんです
むしろ、ディレクターの独断と偏見で決めて行った方が成功するような気がしますね
今、業績を上げている企業のトップはみんなそうじゃないですか」とお答えになってますが

確かに、机上の空論…とまでは言わないものの
リサーチ結果や数字だけを元に会議室で決まった方針よりも
現場で、街の空気を感じながら作業なさる方々の判断の方が的確かなあと…?
まさに「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてんだ!」って感じ?(笑)
まあ、だからこそ長岡さんは、数々の業績が認められ「取締役に…」とのお話が出た時に
「現場を離れたくない」と独立なさったんじゃないかと…?

「では、アーティストに求められる資質はいかがでしょう
これまでの経験から、こういう人が活躍しているという共通点はありますか?」と訊かれて
「やっぱり個性じゃないでしょうか」と長岡さん
「誰かによく似ていると言われる人は続かないですよね。1人いれば十分ですから…
きっかけは『誰それに憧れて』でもいいんですけど
プロとしてやって行くには、その人の個性がちゃんと出ていないと難しいと思います

あとは運。スタンフォード大学で運を研究している人が書いた面白い論文があって
それによると、自分の人生に影響を与える出会いというのは、用意されたものではなく
偶然から生まれることが多いらしいんです
大事なのは、その偶然に気づけるかどうか…
音楽活動は1人では出来ませんから、個性に加えて
偶然の出会いを引き寄せる運が必要なんじゃないかと思います」
…と、これも「Happy Go Lucky!」でおっしゃっていた持論で返され

「音楽プロデューサーに必要なものは何だとお考えでしょうか?」との質問には
「大事なのは好奇心だと思いますね
私は、人が集まっていれば『何してるの?』って、首を突っ込みに行くんですけど
そういう好奇心がなくなったら、プロデューサー以前に人生が楽しくない
毎日が楽しくなければ、良い音楽を作れないと思うんです

あとは、人との繋がりでしょうか。色々な人と関わる仕事ですから
先ほど言ったように、出会いを大事にしたいですし
有難いことに、仕事の関係がなくなっても
親しくお付き合いさせて頂いてる方が、いっぱいいるのは、自分にとっての宝ですね」
…とお答えになっていて、何気なく耳にしている1曲1曲には、アーティストだけじゃなく
その曲に関わられた方全員の力が込められているんだなと再認識致しました
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