読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『戦国の日本語』

2015年05月11日 | 人文科学系
今野真二『戦国の日本語』(河出ブックス、2015年)

サブタイトルが「五百年前の読む・書く・話す」とある通り、室町時代後記の戦国時代(といってもいつも戦争ばかりしていたわけではない)の日本語がどんなふうになっていたのかを当時の公家の日記とかポルトガル人のイエズス会宣教師たちが作った日葡辞典やその他の出版物や秀吉たちの書簡などをたよりに読者に提供してくれた本である。

これを読むと、思っていた以上に、当時の人々が日常会話で使っていた言葉は現代の言葉とそれほど変わらない、と言っては言い過ぎならば、現代人でも理解できる言葉だったように思える。ただこの著者は、紀貫之(平安時代)と本居宣長(江戸時代)が現代人と出会ったら、私たちは本居宣長とは会話ができるだろうが、紀貫之とは意思疎通が不可能だろう、ただ本居宣長は古い日本語を研究していたから、彼なら通訳になることができるだろうと書いているから、室町時代から戦国時代の間で、日本語がかなり変化したようだ。
この本について何かコメントをすることができるほどの知識がないのが残念だが、それにしても、宣教師たちが日本で出版した活版印刷の活字は、くずし字の活字が使われており、英語やポルトガル語だったらアルファベット27文字だけでいいのに、あれだけたくさんの活字を作ったというのはたいへんなものだったと苦労が偲ばれる。

この活版印刷は天正遣欧少年使節団が持ち帰ったものだというが、これが江戸時代には姿を消してしまうのは、やはりキリシタン弾圧と関係があるのだろうか。もしこれが江戸時代にも受け継がれていれば、また違った文化が花開いたかもしれないし、逆に浮世絵などは出現しなかったかもしれない。

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