読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

「クリスマスローズの殺人」

2006年11月24日 | 作家サ行
柴田よしき『クリスマスローズの殺人』(原書房、2003年)

あちこちの読書ブログでたいてい取り上げられている作家なもんで、私も一度読んでみようと思って、その少女趣味っぽい表紙絵にひかれて、この作品を借りて読んでみた。

若い独身女性がつぎつぎと殺され、遺体の周りにはどれもクリスマスローズの花びらがまかれているという連続殺人事件が起こる。

探偵のメグは突然の出費で年越しが覚束なくなり、世話になっている探偵事務所の咲和子に仕事を回してくれるように頼む。彼女から依頼された仕事は依頼者の妻の三日間の素行調査。

さっそく次の日から仕事を始める。夜になっても居間の電気はつかないし、寝室のカーテンも閉じられないのに不審を感じたメグと、彼女の助手をしてくれる売れない推理作家の太郎が姫川宅に侵入してみると、韓国に出張に出かけたはずの夫(依頼者)が浴室で大量の血を流して死んでいるのを発見する。妻の朝子はいない。ところが翌朝になると、警察が居間で死んでいる朝子を発見する。夫の姫川均の遺体はなくなっていた。

姫川均は妻がヴァンパイアであることを知って、彼女への愛情を深めるためにもヴァンパイアのことをもっと知りたがり、たまたま愛人の知恵とディズニーランドに遊びに行ったときに知り合った津川鈴がヴァンパイアであることに気づき、彼女ヴァンパイアのことについて聞こうとした。鈴は人間の均に強迫されていると勘違いし、母親の敬子が知恵のところに証拠の写真を取りに行って、知恵を殺してしまう。

しかし登場人物はみんなヴァンパイアということになっており、殺されるのだが、最後には生き返ってくる。なんか「はじめに」で断ってあるように、登場人物のほとんどがヴァンパイアであるということを前提にしないと物語自体が成立しないのだ。

もちろんこういう前提をもちだすこと自体は、むきになってとがめだてすべきことではない。要は、それでもなおかつ登場人物たちに魅力があるかどうか、物語が興味深いかどうかということにあると思うのだが、まぁどうなんでしょうね。メグが薔薇の花びらを食べて、犯人が分かったというところで、私にもめぼしがついたので、もう一つでしたね。

この作品一つでこの作家を判断してはいけないのでしょうね?!でも、もう読まないでしょう。たぶん。


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