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『自民党の統一教会汚染』

2022年10月09日 | 評論
鈴木エイト『自民党の統一教会汚染』(小学館、2022年)

それにしても、自民党と統一教会の関係がこれほどだとは思わなかった。

まず何と言っても選挙での利用だ。国会議員なら比例区で当選スレスレの候補者が支援対象になる。全国区でも6万から7万程度の集票力のようなので、当選スレスレの候補者を支援して当選させてありがたみを感じさせる。

市町レベルなら市長候補や市議会候補の運動員として動員して献身ぶりを味わわせる。

もちろん衆議院や参議院(こちらが多い)では誰を支援するかということは統一教会が勝手に決めるわけにはいかないから、自民党の指導部がその差配をしているのだろう。こんなこと誰にでもできるわけはない。

そして選挙で当選させた見返りに、その名前を利用させてもらう。こんな国会議員が自分たちを応援してくれている。自分たちの活動は公認のものだなどと言って、信者を増やすのに使う。

さらに最近目立っていると言われているのが、自分たちの世界観を国民や市民に押し付ける法律を議会で通させることだ。その世界観とは?―反・共、反・女性解放、反・男女平等、反・性教育など―などだ。

最後に、安倍元首相暗殺事件のことも書かれている。

洗脳された親がわけのわからないところへどんどん金をつぎ込んで家の金がなくなっていき、子どもである自分たちの進学費用どころか日々の生活費さえなくなって、伯父の世話にならなければやっていけない。

そんな経験をした山上が、いったい誰がその張本人なのか、いったい誰が母親にそんなことをさせているのか、そんな奴は許せない、と思い込んだ。

そこで浮かんできたのが安倍晋三元首相。たしかに祖父である岸信介が文鮮明と一緒になって作った勝共連合以来の親子3代にわたる関係があるとは言っても、この本でも記されているように、当初は安倍晋三は統一教会とは距離を置いていたという。

表立って姿を見せたのは2021年9月の『THINK TANK 2022』にトランプ元大統領に続いてビデオメッセージという形で登壇したものだけだという。これだって当日だけの公開だっという。

長年、統一教会と政治家の関係を調べている鈴木エイト氏をしてもこれくらいしか「太い絆」が見いだせないのに、自分の母親、ひいては自分の家族をめちゃくちゃにした統一教会の「後ろにいる政治家が安倍晋三だ」と考えるにいたったのだとするなら、やはり信者やその家族にしかわからない情報があったのではないかと思われる。

とにかくこの問題、国会でもメディアでもしっかり追求してもらいたい。


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