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仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

大事なこと

2023年03月29日 | 苦しみは成長のとびら

『中外日報』(2023.3.22日号)に「次の世代を担う」というコーナーがあり「無力さの自覚が大切 自死向きあう関西僧侶の会 福井 智行氏」というインタビュー記事が掲載されていました。「いいこというなー」と思ったので、その部分だけ転載します。

 

 大阪府門真市の福井智行・真宗興正派称名寺住職(48)は「自死に向きあう関西僧侶の会」の設立メンバーの一人だ。自死問題に関わる姿勢について「二人の何もできない人間」と自覚することを大切にしている」と話す。(中略)

 

 

活動を通して痛感するのは、宗教者として「人を救いたい」と思うことの危うさだという。長く活動していれば「福井さんのおかけ」などと感謝されることもある。それは喜びだが、「油断すると、だんだんとその気持ち良さを理由に活動するようになったり『私か救った』という虚栄心が出てきたりする。私にとってはそれが一番の難関』。

 そうではなく、「自分には何もできない」という無力さを自覚する立場に「恐れずに」立った上で、「しかし、その中で何かできることはないかと模索する姿勢が大切だと思う」と強調する。

 希死念慮を持つ人や自死遺族は「とても弱っている」。しかし「弱い人間ではない。今は弱っているが、ちゃんと自分で歩いていく力がある。そのような敬意を持ち、その力を回復させる場を提供することが重要だ」と説明した。

 

(以下省略)

 

大事なことです。

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ポジティブ心理学③

2022年12月22日 | 苦しみは成長のとびら

『ポジティブ心理学 科学的メンタル・ウェルネス入門』(講談社選書メチエ・2021/1/12・小林正弥著)からの転載です。

 

「第2波ポジティブ心理学」

 ポジティブ心理学はいまやポジティブな感情や体験だけを扱っているわけではない。一部には何でもポジティブな状態が良いことであり、常に明るく前向きでさえあればうまくいくという単純化した言説が見られ、ポジティブ心理学がそれを正当化する学問であるかのよう戯画化する誤解や批判さえ見かける。

 だが、近年のポジティブ心理学の主要な関心の一つは、ネガティブな経験を善福(エウダイモニア的幸福)に至る道筋の中に正しく位置付け直すことにある。その潮流の到達点とも言えるのが、イタイ・イヴザァンらの『第2波ポジティブ心理学―人生の暗黒面を包み込む』(2016年)である。回復力(レジリェンス)やトラウマ後成長がそうであったように、人生の暗黒面を直視することが人問の成長・癒やし・洞察・変容にポジティブな役割を果たすこともある。イヴザァンらはその点に注目し、失望や挫折、不快が試練となりながらも、それがポジティブな結果につながる可能性を宿していることを強調したのである。

 彼らは、ヘーゲルの弁証法の諭理を用いて、ポジティブ心理学を概念的に再構成することを主張する。(以上)

 

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ポジティブ心理学②

2022年12月21日 | 苦しみは成長のとびら

『ポジティブ心理学 科学的メンタル・ウェルネス入門』(講談社選書メチエ・2021/1/12・小林正弥著)からの転載です。

 

「幸せ」に向かう螺旋階段--「拡大―構築理論」

 

 ポジティブ感情はどのようなメカニズムで成功や幸福へと結びついていくのだろうか。その因果関係を理論化し、実験を通して実証したのがバーバラ・フレドリクソン(ノースカロライナ大学教授)である。彼女が科学的実験を通して打ち立てたのが、今ではポジティブ心理学の最も基本的な考え方の一つとして定着している「拡大―構築理論(拡張―形成理論)」だ。

 フレドリクソンは、大学生の二つのグループに、それぞれポジティブ感情とネガティブ感情を引き起こす映像を見せ、その後に広い領域と局所のどちらに視線が向くかがわかるように工夫された図を見せて、注意の向く先を調べた。すると、ポジティブ感情を引き起こされていたグループの方では、大きな構図に目を向ける人が多くなったのである。つまり注意力が[広がった]わけだ。さらに他の研究では、ポジティブ感情を抱くことで視覚的な注意の範囲が広くなっているグループの方が、言語的創造性を発揮することも確かめられている。こうしたさまざまな実験に基づく研究を積み重ねたフレドリクソンは、ポジティブ感情を持つことが人間の精神を開放し、認知や注意力、視野などを拡大し、何かに新しく気づいて考えることを可能にするという一連の心理的ステップを解明したのである。

 まずポジティブ感情を出発点とし、そこから成功の基盤となる幅広い視野や注意力、関心などを養う。これらが培われることによって、学力や仕事上の能力が高められる。能力が向上するから、実際に成功する。成功すればうれしいから、それがまたポジティブ感情を増やす。この流れが再び同じ循環を呼び起こし、さらなる視野の拡大、能力の向上、成功、喜びへとつながるllこのように、個人の中にポジティブ感情を出発点とする上向き螺旋のような発展が起きて幸福に至るというのが「拡大’構築理論」の概要だ。

 彼女はまた、ポジティブ感情を感じている時間とネガティブな感情を感じている時間的比率をポジティビティ比と呼び、それが一定よりも大きいと幸せになる傾向が高いことを明らかにした。その閾値とされた数値は後に撤回された(九二~九三頁)ものの、ポジティビティ比が高い方が幸せになる傾向が高いという主張は今でも大きな意味を持つ(※)。

 

  ※ただし、ポジティビティ比が極端に高い場合、幸せに向かうとは言い難い。例えば、極端に高くて持続的なポジティブ感情は、双極性障害(躁うつ病)や熱狂のような心理的問題につながりかねない。また、近親者が亡くなっ  た時のようにネガティブな感情が避けがたい場面で無理にポジティブ感情を喚起しようとすれば、顔面に笑顔を貼り付けたような心理状態が生まれることもある。

 

先のセリグマンらによる楽観主義と健康・幸福の咽果関係についての研究にせよ、フレドリクソンの「拡大-構築理論」にせよ、起点にあるのは「心」だ。それを前向きで明るいものにすることが健康や能力を高めることにつながり、人に成功や幸福をもたらす。それを明らかにしたことにより、ポジティブ心理学は大きく発展すると同時に一般にも広く知られるようになったのである。(つづく)

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ポジティブ心理学①

2022年12月20日 | 苦しみは成長のとびら

『ポジティブ心理学 科学的メンタル・ウェルネス入門』(講談社選書メチエ・2021/1/12・小林正弥著)からの転載です。

 

近現代の心理学は、うつ病などのネガティブ(マイナス)な心理状態や精神疾患に目を向けてきた。これまでの心理学はそれらを治すこと、つまりネガティブな心の状態を中立的なゼロ地点に戻すことに主眼を置いてきたのだ。

 例えば、広くそのその名を知られる精神科医フロイトは、心理的な問題で悩んでいる人の深層心理を解明することでコンプレックスを軽減できるという理論を打ち立てた。その理論を出発点としてカウンセリングや精神分析を用いた治療法がいくつも派生し、うつ痼などを抱えた人の治療に用いられてきた。

 だが、それらが目指すのは、あくまでも悪化した心の状態を元に戻すことにある。ゼロ地点を超えた先にある「幸せ」やこれは「善いこと」だと思える状態、つまりポジティブ(プラス)な心理状態を得たいと思っても、フロイトがその方法や目安を提供してくれるわけではない。

 さらに、従来の科学的心理学は「心」を扱う学問であるにもかかわらず、先に述べて価値観や世界観に関わる領域には基本的に踏み込もうとしてこなかった。なぜなら近代科学そのものが、善悪の価値判断という哲学的課題から離れることで成り立っているかららだ。比喩めいた言い方をすれば、「心をこめて育てたこの木のリンゴは他のリンゴよりも値打ちがある」という価値判断があったとしても、それは万有引力によってリンゴが木から落ちることを明らかにした物理学とは無関係な話だ。心のこもったリンゴでも、大風が吹けば落ちる。こうした近代自然科学の基本的な性格は、みずからを科学として規定する心理学にも引き継がれている。

 

 無力感から脱却する方法はある。それがセリグマンの打ち出した考えである。

 精冲医学における認知行動療法を学んだ彼は、習得性無力感のモデルに基づき、人の認知の仕方、つまり人の物事のとらえ方や気の持ちように往目し、人間の心を楽観主義的な方向、ポジティブ(プラス)な方向へと変化させることでうつ痼を治すという治療方法を着想したのだ。

 それを機に、彼はポジティブな心理状態がもたらす効果を明らかにし、心理状態を良くする方法を正面から研究する必要を感じた。

 

 

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ポジティブ心理学

2022年12月17日 | 苦しみは成長のとびら

『実践につながる 新しい教養の心理学』(大浦賢治編者)からの転載です。

 

悩むことを心理学では、下記のように解釈するようです。以下転載

 

 私たちの日常では,外的・内的に発生するさまざまな衝動によって私たちの「意識」を構成している「自我」が脅かされます。精神分析学では「防衛饑制」とよばれる心のバランスの均衡を保つための防衛システムが生来的に備わっていると説明されます。(以上)

 

心理学では自我を肯定する視点から考えるようです。でも心理学の世界も流行が有るようです。以下転載。

 

ポジティブ心理学は21世紀の心理学です。20世紀までの心理学は人間のネガティブな側面を重視してきました。 20世紀は第一次世界大戦,第二次世界大戦ベトナム戦争など,戦争の世紀でした。戦争で心も身体も傷ついた人々を不安や抑うつ,甚大なストレス反応などのネガティブな状態から回復する心理的サポートが急務だったからです。

 1998年にセリグマンは,アメリカ心理学会の会長就任挨拶で,21世紀の心理学としてポジティブ心理学を提唱しました。ポジティブ心理学は一見、弱い存在である人間のもつ強み(human strengths)や潜在能力を引き出し,個人や社会を繁栄させる要因を見出し,促進することによって,人間が最大限に機能できるようになるための科学的研究です。(以上)

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