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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

キングブラザーズ「THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN」

2010-08-23 03:13:32 | 音楽(全曲レビュー)




順番的にかなりバラバラになっている全曲レビュー。
今回は4月に出たKING BROTHERSの6年ぶりのアルバム「THE FIRST RAYS OF THE NEW RISING SUN」です。


このアルバムは、正統派のロックンロールでは久々にビシッ、ときた作品であり
それはなんでかといったら
きちっと今の時代に順応してると思うんですよ。ただ王道、ってだけじゃなくて。
その点がやっぱり信頼できるなあ、っていうか
流石キンブラ、っていうか。
センスが良い。
リード曲なんて、正に今のキッズ向けですよ。
 私個人としても、中学生からファンだったバンドなので
今現在活発にライブ等ぶちかましてくれてるのは、非常に頼もしいというか、誇りに思うというか。
ちょっと言い方がおかしいか。
だけど、やっぱり嬉しいって気持ちは強いですね。
 今作は聴きやすさも上がったし、入門にはふさわしいアルバムになったと思います。
これを基点にして、更にドロドロとしたアルバムを作っても面白いかもしれませんね。
何にせよ、次は6年も懸からないと思ってます。
では、簡易ですけど以下つらつらと。





1.ACTION!!!!

うわぁー、あのキングブラザーズが帰ってきたぁー!
って感じの一曲。
イメージの範疇通り。不敵で、強引で、でも最高に痛快!
手作り感溢れる、純度100%のロック・ミュージック。
ほぼ語りに近い感じなんですけど
それでもコード感の良さを受け取れるのがいいですね。
ガッツリと持ってかれる一曲。
一曲目から既に。



2.GET AWAY

ギターもドラムもいかつく鳴り響く、重めのミドルチューン。
ある意味序盤のハイライトですね。
腹の底から出ているようなマーヤのボイスは確実に痺れるし
そこに乗っけられたサウンドも、濃厚なグルーヴが渦巻いていて、聴き応え抜群。
擬音で表現するとドシャとかガッチャ、って感じですけど
そのグシャグシャ感が逆にとても癖になる一曲。
先天性も高いと思う。



3.ロマンチスト

「退屈なのはおまえが退屈だから」

の、名フレーズも光る超直球のバラード。
これを3曲目に持ってくるというセンスが凄い。普通はもっと後とかに置くって。
いきなりトーンダウンするテンションに戸惑いつつも
これはこれで普通のロック・アルバムとは違う面白さがあるなあ、と。
ライブで聴くと思ったよりロック色強くなっててビックリしました。

結構ね、感受性磨いて、或いは考え方、視点をちょっと変えてみて。
それくらいのことで、案外見える世界なんて変わるかもよ?だとか
そういうメッセージを勝手に感じてる曲でもあります。
説教臭さが一切なく
むしろよりロックっぽいのが素敵です、ね。



4.Dbのパレード

ここからご機嫌ロックモード突入。
陽性でカラッとしたロック・チューンで聴いててひたすらに気分が良い曲です。
前向き、といいますか。


「何が本当? そんなもんはクソの役にもたたねぇよ」

このフレーズ、何気に励まされる。
自分の迷いを打ち消してくれるフレーズ。
ケイゾウは本当に格好良くなったなあ、って思った。



5.楽園

前の曲とほぼ同じタイプの曲です。メロディも似てる。
ということは、陽性モードに固めてきた、って事で。
ちようどね、アルバム的にもここが一区切りって感じなんですよ。
だから、捉え方によっちゃレコードのAB面的な風にも捉えられそう。
ってこれどこかでそう書かれてたらごめんなさい。
聴いててそう感じました。

この曲は、演奏もパキッとしていて良いんですけど
それよりも歌に比重が置かれている感じがしますね。
歌詞じゃなくて、歌そのものに。
太陽を目指して歩く旅人のイメージ、なんかを彷彿させたりも。

ある意味、前半のクライマックス、って表現がふさわしい曲ですね。



6.TFROTNRS

完全なインタールード、的な楽曲。
でもインストじゃなくて、ポエトリーですね、これは。
それまでとは違ってボソボソと暗めに呟く感じが
あからさまな落差を感じさせてくれて面白いです。
これが終わった後のギターの鳴りが最高なんだ、これまた。



7.xxxxx

タイトルの読み方が分からねえ。
でもこれがリード曲です。最もテンションが高く、それでいて今のリスナーを意識していると思われる曲。

この曲の存在感はやはりこのアルバムでもトップクラスで
ド派手なアレンジもそうだし
過剰にまくしたてるボーカルもそうだし
展開も終始忙しいし
でも、一番強烈なのはギターサウンドのような気もするし。
これらを一言でまとめると、要するに
「非常にキャッチーな曲」、って事ですよ。間違いないと思います。若いリスナーも是非。


「さぁ お前がはじまる瞬間をみせてくれよ」



8.気が狂いそう

これね、歌詞見てると正直分かりすぎるくらいよく分かるというか
あれ、これ自分が普段心の中で思ってる事じゃないの、って思うというか。
「楽園」とかとは真逆の歌詞ですね。
こっちは完全に後ろ向き。
でも、それが混同しているからこそ、より人間臭さが増しているんだと思う。
どっちか片方でもそれはそれで表現として振り切ってて好きなんですけどね。
 でも、キングブラザーズはこういう方向性のがやっぱ似合う。気がする。


「俺は何処へ行けばいい
 俺は何処へ行けばいい」

最近このフレーズ聴いてると、無性に悲しくなる。のは、自分もそう思ってるから、なのかな。



9.DOOR

と、思ったらグズグズいってんじゃねえ!という希望の歌。
この妙なふり幅が面白い(笑)。
軽快さ、では多分このアルバムでは一番かな。
スキップとかが似合いそうな、適度に前向きで適度に真剣な、そんな曲。
 ちなみに、この曲は次の曲とほぼ繋がっています。



10.死神のビート

かなり王道の、昔ながらのロック、という感じで
それでもやっぱケイゾウが歌うとまともに格好良くなってしまうという。
目力ならぬ、声力ですか。
や、目力もあると思うけど。
 今時「シェイクしなよベイビー」って歌詞で普通に踊れるのはキンブラくらいのもんだと。
探せばいるかもしれないけど。
超ノリノリの剛速球ロック!
スパッと終わってるのも潔くて良い。痛快。



11.やりきれない

と、思えばみずみずしいオルタナ感溢れるギターサウンドが!
前半は雰囲気まとめてる感じですけど
後半はかなりバラバラにしてる感じで面白いね。
でも、意外とメリハリは付いてるんですよね。山→谷→山→谷、みたいな。
イントロだけである程度グッと来る。


「生きてるなら感じよう
 笑えるならおめでとう」

何かを感じる、感じられる自分になる、ってのは個人的テーマの一つだったり。
笑えるって事は
この詞の通り、おめでたいことなんですよ。それだけで。きっと。
何かを感じられる事って素晴らしいと思う。
何かを感じていられる自分でいたい。
大好きな一曲です。



12.L.O.V.E

マーヤによるファンクナンバー。
でも結構脱力系っぽかったり。いやいや、普通にカッコいいけどね?
微妙に語りにくい曲だけど
実際は意外と聴く頻度多かったり。面白さがあるからかな。詞とか声に。
ユーモアとロックの中間というか。
ライブで聴くとまた印象変わるけど。

最後の「ダンスナンバー!」の叫びは問答無用で格好良い。



13.SLOW LIGHT

これ、地味ですけどとっても良い曲ですよ。実は。
空っぽになった人が歌ってるような
でもそうでもないかな、とも思うような曖昧な感じが素敵。
ちょっと渋いイメージなんかもありますね。
音がまるでレコードで聴いてるみたいな音だ。


「よた話すらも今はただただ心地良く響く」

って詞が、まさにこの曲そのものを象徴していると思います。





13曲あるんですけど
収録時間は30分強、って事でよりシンプルになったサウンド含めて
音源としての間口は広いと思われます。
その分、ライブの間口が狭いかなあ、とは思うんですけど(笑)。
でも、やっぱ火傷する位が、ロックなんじゃないかな、って気もしてるので
そういう意味では若い世代にもまだまだ彼らの音楽を聴いてもらいたい気持ちが。

と、いってもキングブラザーズって10年選手の割には年齢若いんですよね。
まだ30代前半。
早くに注目されて、その後の停滞期間が長かった、って感じですか。
だからこそ、今この流れが続いていって欲しいですね。もう少し売れても違和感はないと思う。
正統派のロックンロールバンドですけど
実はオルタナ好きにも普通に受け入れられるんじゃないか、と。
ゆらゆら帝国とかbloodthirsty butchersとかLOSTAGE聴いてる人とかにも。
なんて事をこれ聴いててちょっと感じました。
快作だと思います。



あ、それと下半期も面白そうなライブいっぱい決まってますね。どれか一つくらいは行きたいところ。
来年以降も精力的に活動してくれると嬉しいです。10年来のリスナーとして。





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