超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

bloodthirsty butchers「NO ALBUM 無題」 全曲レビュー

2010-12-19 05:22:37 | 音楽(全曲レビュー)




年末に向けて、というか既に年末ですかね。
色々なアルバム聴き返したりして、総括記事に向け頑張ってる最中です。
振り返ってみると今年もいい作品多かったな、と。
それは音楽だけじゃなくて漫画・アニメもね。 今年中に間に合うかどうか。なんとかなんとか。


今回は、今年出たアルバムの中でも上位に位置するであろう
bloodthirsty butchersの「NO ALBUM 無題」を全曲レビューします。

今までブッチャーズを聴いてきた人には説明不要なアルバムです。
ブッチャーズらしさをフルに出してきた、新しい金字塔です。
逆に知らない人には、日本オルタナロックの最高峰の一つの(だと勝手に思っている)彼らの傑作を是非、という所。
最新作が傑作って言えるのはバンドとしてとても良い状態なんだと思う。
思ったよりライブ行けなかったけど
来年はもう少し観れたらいいな・・・。ってな訳で以下つらつらと。






1.フランジングサン

いかにもブッチャーズらしい、趣のあるミドルチューン。
題名の通り太陽のような鮮烈なサウンドが印象に残る、のっけからの快作です。
バンドサウンドと歌が丁度良い具合で混ざってたり
歌詞はといえば刹那的な部分が目立ったり。 王道の面白さが鳴っている曲です。



2.散文とブルース

どうしようもなく悲しい気分になった時に
そっと慰めて欲しい、という感じの曲で
それはこれを聴いてるリスナーにとっても同じ。
どこかフワッとしつつ、でもきちんと重さのあるアンサンブルが、聴いてて心地良く響きます。
 サビのメロディも印象に残る、叙情的な名曲です。



3.僕達の疾走

ドラマチックなサビに、ドラマチックな歌詞。
冬ド真ん中なので、今の時期にも良いと思う。吉村秀樹の出身地である北海道での風景を描いてるかのような曲。
ってのは安直かもしれないけれど。
でも、「雪」ってフレーズが本当よく似合うというか、似合う声というか。
情景と心理の描写が上手く混ざり合った世界観はとても魅力的、ですね。



4.1.2.3.4

「時代は冷めている」

これはどんどんと実感するようになってますね・・・最近は。
具体的な発言は避けますけど
なんか色々なものが失くなってるなあ、ってのを如実に感じるんです。
そういったフラストレーションを思いっきり出してる曲です。

が、何気にリズムが良いので、ポップな曲としても聴けるのがミソ。



5.black out

この曲もまた、メロディーの質が良い。
親しみやすいメロディー、かつきちんと重さもあって。新鮮さもあって。
その分歌詞が儚い感じになっているんですが
やった分返って来て欲しい
そんな切実な想いを感じる曲です。

あったと思ったらなくなって。確かなものだと思ったら消えて。そんな不安定な世界を歩いてこう、と。



6.デカダン~I'm so tired~

そんな世界に疲れた時の歌。
こう、無力感だったり虚脱感を受けて、どうしようもない気分になる時とかの。
実際に生活してるとしょっちゅうあるんです。
多分それは自己責任でもあると思うんですけど。

そんな時ぐらい、「疲れた」と言わせてくれと。弱音吐かせてくれと。そんな時間も必要だと。
そういう思いを吐き出していけ、と。



7.ノイズ

この曲もまたメロディが開かれてるんですよね。
そういう曲が多くて今回。
キャッチーって言い方は違うと思うんですけど、沁みる確率は高いんじゃないかな。
ブッチャーズは心に沁みるバンドの最高峰の一つ、だとも思ってますから。
サビでバーッと広がっていくメロディは本当に素敵。

都会独特の、混沌とした鬱屈加減を表現した詞も素晴らしいです。歌詞カード読み解くのも楽しい。



8.幼少


「僕は怒りを感じた頃 同時に諦めも覚えたさ」

すごくグッと来る曲・・・ではあるんですが
タイトルから受ける印象とは違って
その時その時に覚えた感情をつらつらと歌ってるような曲で。
中で、最も鮮烈なイメージの強い幼少期を取り上げた感じ。


「引き裂かれる想いと連れて
 全てが景色に変わって行く」

どう考えても素晴らしい詞。嫌な事ほどよく覚えてるもんですね。私個人的には。



9.ocean

このアルバムを代表する名曲。
ブッチャーズ史上に於いても明確に名曲度が高いんじゃないかと思います。
新しいアンセム、といいますか。
「生きていこう」ってシンプルな言葉にグッと来てしまうのは、それまでの流れもあるんでしょう。
そう考えると9曲目ってのはよく練られた位置だなあ、って思う。

いつか時がきたらこの曲単体で記事を書いてみたい。
経験を擦り込ませて。
今年を代表する名曲、だとも思う。ダメになる前に走れ!



10.Curve

たまに世界に自分ひとりだけ取り残されたような気持ちになる事があるんですが
この曲の世界観も正にそれ。
田渕ひさ子と一緒に歌うボーカルも、神妙で、シリアスで、でも優しくも、力強くもあって。
エンディングテーマっぽい感じもしますね。
実際締めにはよく合っている。





今年発売されてから何度も聴き込んだこのアルバム。
轟音のオルタナロックとしては申し分ない、完璧に近いんじゃないかってくらい良く出来たアルバムなんですが
同時に、一曲一曲の完成度も半端なくて。
ハイライトばっかり、っていうか。
じんわりと心に広がっていく、そんな曲ばかりが詰まっています。
 聴いていてグッと来る音楽を探しているのならば、是非このアルバムを聴いてみてもらいたい。
本心からそう思う。今の若い人にもね。
鉄壁のようなバンドサウンドも終始かっちょいい。名盤。






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2 コメント

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butchers!! (ミサワ)
2010-12-19 18:50:01
最高傑作ですが…!
私はkokoronoしかアルバムを持っていませんが、このレビューを見ていたら思わず欲しくなってきました(笑)

たぶん買います!
返信する
bloodthirsty (西京BOY)
2010-12-19 21:21:02
ミサワさんこんばんわ。
4人になってからのブッチャーズのアルバムでは一番の出来じゃないかと思います。
とはいえ他のアルバムも余裕で好きですが(笑)。

今ブッチャーズの影響を公言してきてるバンドが増えてると感じますが
現役の底力を見せ付けたアルバムなんじゃないかと。
まだまだ若いバンドと比べても鮮烈な作品なんじゃないかと思います。

聴いてると泣けます(笑)。
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