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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

クラムボン「2010」 全曲レビュー

2010-12-27 15:21:40 | 音楽(全曲レビュー)




今年最後の全曲レビューです。非常に最後に相応しいですよ。クラムボンの「2010」です。

他にも全曲レビューやりたい作品はありますが、それらは来年以降に持ち越し、という事で。



このアルバムは、一言で表すと自分が音楽を好きでいて良かったなあ、と思えるアルバムですね。
音楽の楽しさも嬉しさも悲しさも怒りも、総てが詰まってるというか。
2010年に鳴ってて欲しかった音楽でもあります。
正に出すべき理由だらけの今作。では以下。





1.serendipity

始まりのイントロダクション。神聖な感じで始まります。



2.KANADE Dance

インスト曲。立て続けにインストって時点で珍しいですね。
でも、この曲はちゃんとインストの中にも歌がある感じで。有り体ですが、楽器が歌ってる感じ。
壮大な大自然を感じさせるサウンドスケープは
ちょっと日常から離れて聴いてる感じがしてとても心地が良い。



3.NOW!!

非常にクラムボンらしい曲。記名性があるというか。
優しくふんわりしたメロディと流れるようなリズム。何の不安もなく音に身を任せる事が出来る。
これほど磐石って言葉が似合うポップもないですよね。

「めちゃくちゃなステップで」ってフレーズがめちゃくちゃ好きです。



4.SUPER☆STAR

このアルバムで一番好きな曲です。キラーチューンでもある。
ライブで聴いた時もとっても楽しかった・・・んですけど
実際詞の内容は、っていうと、それほど明るい内容でもないんですよね。
むしろ今の時代性を反映させてる感じで。
だからこそスーパースターを求めてる、っていう。そう考えるとある意味シリアスな曲でもあるなあ、と。
それ以前にポップ・ソングとして完璧に近い出来なんですけどね。
聴いてるだけで気分良くなってくる。名曲。




5.JAPANESE MANNER

サウンドのアレンジにしろ歌詞の言葉選びにしろすっげえ面白い曲なんですけど
何気に皮肉だったり、むしろ哀愁なんかも感じられるくらい歌詞の趣が深い。
日本語の面白さも感じられる曲ですね。
言い回しの妙、っていうか。



6.ka-ka-kaLMa!

クラムボンらしからぬアグレッシヴさが目立つポップチューン。
破壊衝動とか圧倒的にしてしまえ、だとか苛立ちを塗り潰すような曲になっていて
尚且つ前の曲と比べても違和感がない、どころかスムーズに聴こえるのが凄いところ。
アルバムの構成には凝ってるなあ、と。
激しい曲なのでロックキッズも気に入りそうだ。



7.Sooo、Quiet

これは・・・ある意味ヤバめな曲なんですが(歌詞的な意味で)、
じっくり歌詞を読み込むと、色々な解釈が出来るなあ、とも思う。
ちょっと小説を読んでるような気分にもなる。
それでいてなんかロマンチックだ。

ポエトリー+サビという印象の構成で、それもまた神妙な感じがしてとても好きです。ピアノが非常に効果的!



8.ハレルトマヂカ


「追いかけてよ 追いかけてみてよ」
 誰かが遠くでテキトーに言うよ
 馴れ馴れしい口調で


ビックリするくらい救いのない詞なんですが・・・歌はポップです。
そのギャップが楽しいなあ、ってのと
無責任な応援歌に対するアンチ精神みたいなものも感じます。それがとても好きです。

空っぽになってしまった人間の息苦しさがよく表現されてる曲。



9.tiny pride

名曲度で言えばこのアルバムでも上位に来ます。
詞の分かりやすさ、奥深さ、それでいてメロディのシンプルさ。
どこを取っても否の付け所がないグッと来るポップ・ソング。
けど曲の中の主人公達はまだまだ足掻いてる途中で。
そのアンバランスさも好きです。
こういうドラマチックな曲大好き。



10.4hands_cp_waves(1/4)

インタールード。短い。前の曲がポップで、次がコアなタイプなんで、その中間を取った的な。



11.Aspen

これもまた小説的な一曲ですね。
物語の中に吸い込まれそうになる、又は吸い込まれたって感じの。
なんとなく古びた山奥の家が思い浮かぶような・・・
これは全部自分のイメージなんですけど。
 ささやくように歌ってたと思ったら
急にドラマチックな展開になったりと、不思議と最後まで集中して聴ける曲です。



12.あかりfrom HERE

元々はブルーハーブと一緒にやってた曲で、それの単体バージョンです。
この曲もまた淡々と始まったと思ってたら
いつの間にか壮大な世界観へ吸い込まれていく・・・という感じの曲で
立て続けにこういう音像の曲が来ると、威力も倍、っていう。
締めには相応しい曲ではないでしょうか。
このアルバム自体スケール大きいしね。


「行き止まりの先へ 息切れしてもなお
 どん詰まりの先へ 目眩がしてもなお」



13.Bug-fughetta-

アウトロ的な楽曲。最後はしっとりと、でも神秘的要素を携えながら終わっていきます。それが徹底してて良い。




前半はポップで楽しげ、でも楽しいだけじゃない曲、
そして後半は寂しげで、痛みを乗り越えていくような曲、とレコードのA面B面みたいな構成になってて
まずそれが面白いってのがあって
それに加えて、これ以上ないくらい音楽に真摯に向き合った作品だなって思うのです。
確かなメッセージ性だったり、シーンに対する主張だったり、アルバム一枚通しで聴く事にこだわった綿密な構成。
もっと言うと、ジャケットのアートワークの時点できっちりとCDメディアとして楽しめる作りになってて。
今はなんだかんだ言って音楽の価値って薄まってるなあ、ってのを肌で感じたりもするんですが
そんな中で待った!を掛けているアルバムと個人的には思っていて。
まだまだ音楽って面白いよ、っていうか。
 そういう意味でもこの「2010」年に出す、出したって事は価値のある事だと思うし、
もっともっと音楽の面白さが浸透してけばいいな、と思うし。
だからこそ最後の全曲レビューはこれにしたかったのです。
今年出た作品の中でも「聴けて良かったな」度がトップクラスだった作品ですね。傑作だと思います。



という訳で、これで今年やる予定だった全曲レビューは終了です!
溜め込んでて12月中半~後半に一気にやるハメになってしまいましたが、どうにか予定通り終わらせられました。
 この先の更新は、いよいよ総括シリーズに入っていきます。
漫画、アニメ、音楽、その他諸々・・・頑張って一気に書き上げる予定なんで、出来れば見てやって下さい。
それでは・・・ってその前にちょこちょこ別モノも入るかもしれません、ってのも言っておきます。
年の瀬で色々と忙しいんですが
そんな中で更新の回数は多くなりそうです。身体に気をつけて頑張ります。ではでは。





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