今から2週間前、サニーデイ・サービスのライブを観に恵比寿に行ってました。
最近、自分が中学生の頃に聴いてた音楽を聴き返すのが楽しくて仕方ないんですが
このサニーデイもまた自分の思春期時代を彩った大切な音楽・・・という事で
非常に懐かしく、楽しく、そして「今」のサニーデイならではの深みもたっぷりと味わえた
普段行くコンサートとはまた違った感触や味わいの一夜になってたかな、と。
凄く、大人になってましたね。
当時からとても大人な音楽ではあったんですけど
自身が大人と言われる年代になった事と、何年も歌い続けた深みやらで
完全にシックな、爽やかさよりも渋みの方が前面に出ている音像に変化していて
これならばただの単なる懐古ではなく、今を生きてるサニーデイならではの音楽と言えるんじゃないかと
そんな風に思えて個人的に大充実のワンマン・ライブでしたね。また、近い内に観たいな。
年季がきちんと入ってて、経験が歌に込められてて。
それがちゃんと伝わって来たのと
その内包された情感がジーンと心に響くような歌の余韻がとにかく素敵でしたね。
昔も良いバンドでしたけど、今は本当にある種何かを極めたような凄いバンドになってますねえ。
夏の歌にフォーカスを当てた選曲といい、二週間経った今でも鮮烈に心に残っていて
大切なものを音で言葉で渡されたような、そんな感覚だらけの
非常に印象的な夜になってたかなと。
今でも私はサニーデイ・サービスの音楽が大好きで必要なんだ、って事を再確認させてもらったワンマン。
まあ、実際に寝る前にサニーデイの音楽掛けたりもしてますからね(笑
この時期に聴く「スロウライダー」は毎年格別なんだ。ただ単に「好き」って事以上に
その背景や状況すらも心に浮かんでくるような曽我部さんの歌は最高だとやっぱり思います。
今回のライブレポは趣向を変えて、特に印象に残ったアクトを挙げてみる。
①今日を生きよう
この曲は、この日のライブで聴いて以降日常の隅々で思い浮かぶようになりました(笑
なんでしょうね、変に添加を除いて、そのまんまだからこそ不思議な感動があるっちゅうか
歌ってる事はある意味どうにもならない現実に向けてのメッセージなんですけど
頑張れば報われる、だとか
素敵な出会い、だとか
そんな幻想を一切排除した内容になってるので
むしろ地に足付けて一歩一歩進んでいく気分に実直になれる
やっぱりこういう「応援」の方が私には沁みるなあ、と。それくらいにじんわり伝わる良い演奏だった。
なんか、シンプルな言葉の水面下でそれまでのペーソスや経験が滲んでるような気がしました。
その上で「今日を生きよう」とか歌ってるもんだから半端なく響いてしまいましたね。
②魔法
めちゃめちゃ大好きな曲なんですけど、
解散前のアルバムの曲なので絶対に演奏しないと思ってた
だから余計に演奏してくれて、しかも音源を超える熱量でもって魅せてくれて
個人的にはこの日最もハイライトだと思えたアクトだったかもしれません。
音源では打ち込みですけど
ライブではバリバリのギターサウンドで披露
それもまた新鮮だったし、音源以上に歌に力が入った瞬間の盛り上がりもまた凄まじかった。
サニーデイの楽曲の中でも特に雰囲気重視の曲ですが、だからこそ理屈ではない美しさが堪能出来て
かつロックバンドらしいタフな演奏もガッツリと味わえた大満足の一曲に仕上がってました。
③NOW
別に夏まんまって曲ではないんですが
これ以上ないくらい夏っぽい空気を感じるのは何故なんでしょうね?(笑
イントロの時点から反響大で演奏の楽しさでもトップレベル、
ちょっと気分が気持ち90年代のあの雰囲気に染まっちゃったようなタイムスリップ感が絶妙で
アウトロの完全に三人の足並みが揃った様な一体感もまた、
突然の解散を経験した身としては感慨深く眺めてしまった渾身のプレイになってました。
同時に、サニーデイの存在の貴重さと偉大さも痛感したりで
代表曲ポジションの楽曲ですけど
普通にレアな感覚で楽しめてたのが自分でも結構驚きでしたね。
④海岸行き
これもまた・・淡々として、非常に静寂の目立つ演奏でしたが
その分その隙間から聴こえる余韻の情感がとんでもない事になっていて
ダブルアンコールとして選んだ割には、
これが本当の終わりです。って感じさせるその本気度が素晴らしく響いた演奏に仕上がってました。
ちょっと、本気で、
海辺の風景が見えそうになったくらいダイレクトのイメージが伝わるプレイで
そのリアリティこそがサニーデイの大きな武器の一つなんだなって改めて確認しつつ
そんな経験やストイックさだらけのライブの締めにはこれ以上ないくらい相応しい曲だったな、と。
今でも鮮明に思い出せるくらい素晴らしい演奏だったと思います。ありがとうございました。
セトリ
1.夏は行ってしまった
2.恋はいつも
3.雨の土曜日
4.今日を生きよう
5.スロウライダー
6.田園風景
7.あの花と太陽と
8.96粒の涙
9.八月の息子
10.サインオン
11.魔法
12.さよなら!街の恋人たち
13.雨
14.白い恋人
15.恋人の部屋
16.NOW
17.週末
18.サマー・ソルジャー
19.新曲
encore
20.シルバー・スター
encore
21.海岸行き
凄く色々な感情や色々なシーン、その水面下の想いまでがじんわり響いてくる公演で
シンプルなサウンドに思えるけど、でも実は折り重なって深く聴こえるという
ある種の音楽の理想の一つを垣間見たような気分になってしまった、
それくらい本音で恍惚的に感じられた夜だったなと。
まだ歌が誇りを失ってない事を実感出来た
微妙に金欠の中でも行った事を全く後悔しない程度には得るものがたっぷりあった
正に熟した果実を収穫してるかのように旨味だらけだったこの公演、
きっといつまでも忘れないと思います。
ルーティーンになるのを避ける為に、ハイライトをガッツリ書くレポートになりましたが
一曲目の新曲の勢いも素晴らしかったし
個人的に一二を争うくらい大好きな「スロウライダー」が聴けて感激もしたし
「恋はいつも」の淡々と沁み込んで来る情感もまた絶品、
「田園風景」「さよなら!街の恋人たち」「恋人の部屋」のバンドサウンドも気分を大いに高めて
「96粒の涙」の感傷に、「週末」の情感にも心打たれて
会心の名曲「サマー・ソルジャー」の安定感だったり、最後の新曲の完成度の高さ
オシャレさと誠実さを掛け合わせたようなセンスもまた自分好みだった。
盛り上がり過ぎず、
盛り下がり過ぎず、
非常に良い塩梅と厳選された「夏」というテーマ性で以ってダレずに魅せてくれた今回のライブとセトリ
それも含めて、振り返ってみて、嘘偽りなく素敵なワンマン公演だったなあ、と。
今素直に思います。
また、単独公演の開催にも期待してます。
「あの頃」と「この頃」がきれいに交差して溶け合って、心に破片を残すような、そんな再会でした。