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超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

食戟のソーマ 6巻/附田祐斗・佐伯俊

2014-02-04 16:13:24 | 漫画(新作)



















附田祐斗・佐伯俊「食戟のソーマ」6巻読了。


















内容的には選抜前の下準備・・・ってところですが
これがまた下準備なのにやたら面白く感じられるんですよね
何故かと言えばそれに付随している「期待感」が堪らないんだなあ、と
選抜の一癖も二癖もありそうなメンバーの描写だったり
この選抜で本選出場を果たすと必然的に十傑への道が開かれていく、という情報
そして新しいライバルとのひと悶着だったりとにかく先の展開を期待させる要素に満ちているので
それもあって退屈せずに読めるのがやっぱり大きいと思います
煽り方が派手な上に、それに見合った作画でもあるので早くその瞬間を見たくなってしまうというか
それに加えてストイックに研鑽・修行に励むシーンもあり説得力も生まれそうでその意味でも今後が楽しみ
嵐の前触れというか激闘への布石というか、そういうワクワク感が多々詰まっているこれまた良好な新刊でした
なんでしょうね、本誌で読んでいて結果が分かっている部分もあるのに割と本気でワクワクするんです
そういう「期待感」の演出力はホントにトップクラスの力があるんじゃないかなあ、と
そんな風にも感じられた内容
しかも実際期待させた分だけ面白かったりもしますからね
この漫画は割と飛び道具的な視点から最初は人気を得ていた作品ですが
その要素を保ったままでここまで真っ当な少年漫画っぷりを描けている事実が凄いなと思う
アリスの余裕と不敵さを感じさせる発言もみんなの研鑽の様子も葉山くんの絶対的な自信の描写も
全部後々の展開にしっかりと繋がっていくんだなあ、と思うと読んでて非常に楽しいですね
選抜シリーズに賭ける気合だけじゃなく
その後の展開もまた期待したくなるような塩梅で
益々この漫画の行く末が楽しみになっていくような盛り上がりを含んでいる6巻目でした
選抜自体はまだ「始まる」だけですけど、そこで描かれてる内容はとても重要なものだったなあ、と。

話を盛り上げる為のテクニックの使い方が非常に上手く感じますね
ハウビーの千俵なつめを最初高飛車に描いて
だからこそその後物怖じせず自分の料理をこなしていく面々が立派に見えたり
段々と創真一人の独壇場漫画ではなくストイックな面々がしのぎを削っていく
そういう正しい漫画へ変化していってるような感触が心地良かった
そしてカレーのお題に於けるチートキャラを用意して更に期待を煽る手法だとか
王道の少年漫画を往くと同時にそういう細かい部分での演出が冴えてたりもするんですよね
読んだ人それぞれが「食戟のソーマ」の青写真を描きたくなるような感じ、そこが秀逸なんじゃないかなと。


で、この巻はそういう抜群の下準備と共に「親子の絆」も描かれます
地獄の合宿で紆余曲折ありながらも生き残り商店街の復興にも一役買った創真に対して
親父である城一郎から餞別代わりの「食戟」が催されるんですね
このタイミングで親子対決っていうのも痺れましたが
その結果に対して城一郎が創真に放った一言がまたグッと来るような一言で
かつその言葉を受け取った創真が今後どれだけ活躍するんだろう?と未来も楽しみになるシリーズでした
その中で息子の成長を喜び認めてくれた親父の姿だったり何だかんだ言いつつここ一番で気にかけてくれる姿
そもそもこの学園に入れたのも広い世界を見せる為でしょうし
振り込みの適当さもきっと計算の上なんだと思う
だから元々目に見えない創真への想いはそれなりに想像出来てたんですけど
ここに来てそれがはっきりした上に思ってた以上に息子想いなんだなあ、と感じられたのが良かったですね
物語的にもここで一つ壁を味わう事でより成長物語としての側面も際立ちますしこれからの経験も楽しみに出来る
城一郎というキャラクターの奥深さや偉大さを感じさせるには十分なエピソードだったかなと
何気にお世話になった寮に対する恩返しの気持ちも見受けられたのも良かったですね。
選抜前のエピソードとしては満点だったと思います。

それと並行するように田所ちゃんにも「良い影響」が与えられる流れになっています
そんな壁を目の前にしても挫けずに自分の好きなように挑戦し続ける姿を観て感化される
400回以上敗北し続けてもまだ勝とうとする姿に自分も頑張らなきゃ、って気分にさせられるんですね
悔しくても諦めない姿勢に勇気や気付きをもらえた田所ちゃん
そして、現段階でライバルに劣っていても研鑽に向かう創真を見て更に吹っ切れた部分もあったようで
何気に田所ちゃんの成長描写に於けるワンクッションとして機能している構成もまた見事ですね
この巻で描かれている田所ちゃんの「布石」は後々しっかりと花開いていくのでぜひ期待して欲しいです
勿論まだ本誌では誰が勝ち上がったか、っていうのはこれからの話なので
彼女が勝ちます~というネタバレ的な話じゃないですよ?
でも、この6巻で彼女が感じた事は後々の彼女の行動に繋がっていくのでね
その意味でも良い具合の「期待感」や「成長」を感じさせてくれる内容だったんじゃないかと
創真だけではなく田所ちゃんの積み重ね的な精神的成長も垣間見れたのがより嬉しかった6巻目でした。
研鑽を重ねた上でのライバル達の全力のぶつかり合い、それに想いを馳せつつドラマも楽しめる内容です。
時折出てくるアリスのお茶目で憎めない可愛さの描写を含めて満足だった新刊でした。

















今回のおまけページもそれぞれ面白かったですね
何気に本編に対するツッコミや補填になってたりもしますし
ジャンプLIVEの郁魅さんの番外編(4ページ)もお色気ありで掲載されています
そしてカバー下の葉山くんと汐見教授の関係性が垣間見れるカットが個人的に好みでした(笑
恐らくこの二人何だかんだでくっ付きそうですよね・・・たぶん。




ゆるゆり 11巻/なもり

2014-02-01 17:35:15 | 漫画(新作)















ハリウッド版「ゆるゆり」の威力が高すぎ!アンケート葉書もめっちゃ可愛くて面白い(笑)。

















正直最後に収録されてるハリウッド版は反則だと思いました(笑
なんでしょうね、ハリウッド詳しくないのにも関わらず「あるある」って頷いて爆笑してしまいました
なもりさんのこういう時には遠慮しない、無難じゃないセンスがやっぱり大好きだなあ、と
こういう可愛い系のゆるふわな絵柄の漫画だとせいぜい変顔っつっても可愛さは残しちゃうものですけど
思いっ切り不細工に描いちゃってますからね(笑 ある意味惚れ直したとも思えた傑作短編でした。
また本編の中にもキャラの顔を崩す場面が多々あってそのちょいブサな絶妙さもまた個人的に好みでしたね
基本的にゆるゆるとクスクス出来る作劇になってますが時折過剰に攻めてくるメリハリが堪らないです。
ちょっと官能を匂わせる雰囲気もあったりちゃんと刺激があるので飽きずに読めるんでしょうね
今回も盤石と言っても差支えない内容になっていたと思います。

まずクオリティが全然落ちてないというか
横綱相撲みたいな感じですね
キャラにブレがなくてそれぞれのキャラがしっかりと自分の仕事をこなしてる感じ
オチもほぼ全ての話がきちんと決まって終わってるから読後感も良いですし単純に面白いです
段々とネタも雰囲気もキャラの細かい造詣もきちんと洗練されて来ている感覚が読んでいてありますね
「このキャラならこう来るだろうな」っていうのが読み手に伝わっているから余計に笑えるし楽しく感じる
そういうキャラの芯をビシッと定めて確かな笑いに還元していく手さばきはやっぱ凄いと思う
なんか読んでて「この子はまたこんなことしてるよ」って微笑ましい気分になれるのがイイですね
各々のキャラに存在感がより出て来ていて
個性も際立って来たからこそ余計に楽しく感じる事が出来る「真っ当さ」があります
基本的に外れと感じた話は一つもなかったのでその意味でも抜群の安定感を受ける事が出来ると思う
そしてキャラのおふざけや楽しいやりとりを描く中でもちょっとした「感動」が付随してるのも素敵な部分
櫻子を和やかな表情で眺める京子のちょっと先輩っぽい表情や
浮ついた態度を改めて今の幸せを噛み締めるちなつちゃんのシーンなんかはさり気にグッと来ました
それにちょっと色気を感じさせるゆるゆりなシーンやデレも要所要所で入ってるのでその意味でも飽きません
正にコンセプトに忠実にベストを尽くされている新刊に仕上がってるんじゃないでしょうか
すっごく面白かったです!


ただ、そういう「いつも通りの面白さ」以上のものもありました
今までで定めて来た「そのキャラらしさ」みたいなものを時折崩しているんですね
だからこそマンネリを感じさせない新鮮さも要所要所から感じられるのが尚素晴らしかったと思う
具体的に書くとまず初っ端の結衣のボケ化のお話からしていつもと違って新鮮でした(笑
最初は「えっ」って感じながら読んでたんですけど
途中から演技と分かる細かい演出が冴えてたり結衣のボケがぎこちない上に斜め上のボケだったりと
新鮮さを感じながらも「頑張ってるなあ」と微笑ましく読む事が出来た塩梅が絶妙でした
この話が冒頭っていうのもフレッシュな気分で読めて粋だなあ、と
京子のツッコミ化もこれはこれでそんなに違和感無くてその意味でも良かったと思う
単純にコメディとして傑作、というのもありますね。

もう一つはあかりんと千歳のエピソードで
ひょんな事から自分のエッチさに気付いてウブさを発揮する千歳と
そんな大人な(?)千歳に素直に純真に憧れるあかりんとこれまたいつもとは違った切り口、
かつ二人の関係性も適度に妄想してニヤニヤ出来るような余白もまた面白いお話に仕上がってました
あかりんの無垢な憧れの眼差しにタジタジしている千歳の描写はとってもキュートだったかと
同時に千歳とあかりんのカップリングを想起させる新しい燃料のようでもあって
その意味でもまた新たな進捗を見せ付けたお話になったかな、と
前述のように京子と櫻子がメインのちょっと珍しいお話も描かれてますし
そういう「いつも通り」と「いつもとは少し違う」のバランスがとても秀逸に感じられた11巻目でした
やっぱり一口に「日常」「ゆるゆる」と言っても何かしらの変化や新しい切り口は欲しいですから
その意味だと実に抜群の塩梅を発揮している新刊に仕上がってるんじゃないでしょうか
まだまだキャラの魅力や一面を掘り下げる余地があるなあ、と感じられましたし
その意味だと今後の掘り下げにもまだまだ期待したくなっちゃうような
そういうワクワク感も付随してるのが尚素敵でした
12巻を読むのもまた楽しみですね。特にあかりんと千歳のエピソードはもっと読みたいです(笑)。
















特装版には初期のエピソード(1巻1~4話)をフルでリメイクした冊子が付属しています
これはこれ単体でも楽しめますけど、1巻と比較しながら読んだ方がより違いが分かって楽しいです
1巻の頃はあかりんのキャラが結構ブレブレだった事がよく分かるのが面白かった(笑
その分なもりさんの成長記録として楽しめるような冊子かもしれない。
と言う事でファンは是非特装版がおススメ 値段も数百円しか違わないので、お得ですね。

なんかもうなもりさんは明らかに実力派だなあ、と感じざるを得なかった内容でしたね
本当に「ゆるゆり」って最高だわ。そして京子と櫻子の違いがはっきりしてるのもポイント高いですね。
前者はただふざけるのが好きなだけ、後者は単純にアホの子っていう(笑
大満足!



咲 -Saki- 12巻/小林立

2013-12-25 14:55:35 | 漫画(新作)





















小林立「咲-Saki-」12巻読了。





















この12巻から全国大会の準決勝に入る訳ですが・・・
これがまた異様に面白かったですね
早くもピリピリと張り詰めた裏の読み合いが炸裂しまくっていて緊張感が半端ない
そういう意味合いでは通常通り順当に楽しめた印象なんですが、複線も多々敷かれてるので
相変わらず「これから」の模様にも期待したくなる構成がとても秀逸だなあ、と
部長の思惑の行く末、エースが先鋒という臨海女子の選択が後々どう作用していくか
有珠山高校が後半に実力派を出してくるという情報、そして絆の要素を感じさせる姫松女子の奮闘
どの高校も「このまま」の調子では行かなさそうな予感があって
それもあって続巻に期待したくなる仕上がりになっているかな、って
11巻は決勝に対する期待を煽ってくれましたがこの巻では目の前の準決勝に全力投球しています
その上でどの高校にも均等にドラマや複線を盛り込んでるのでかなり熱中出来る巻ではないでしょうか
相変わらず少年誌的なハッタリ描写があったり「燃え」演出にワクワクしたりと
面白さの維持・健在に関してはバッチリの巻でした
その上更にヒートアップしそうな予感もあって益々今後の展開が楽しみになりましたね。

これは12巻を読んで改めて思った事なんですが
この漫画は割と主役チームを贔屓してない、というか
過度に持ち上げずに、彼女らだけを目立たせずに他の高校も同じように「主役」のように描いてくれる
そういう真っ当さがあるなあ・・・って個人的には感じられました
なんでしょうね、
誰もが誰も真剣に頑張っていて
当て馬的な高校がない、出来る限りどの高校にも愛情を注がれている気がして
その「公平」な感覚があるからこそ素直に試合の行方に熱中出来るのかもしれません
勿論最後には主人公チームが巻き返すのが定石ですけど、安易にそう感じさせない絶望感もあって
その意味でも中々に白熱して感情移入が出来る部活ものに仕上がっているなあ、と
恐らく、メインの視点ではあるけれど
清澄だけが純粋に頑張ってるわけじゃない、清澄が中心って訳じゃない
みんながみんな真剣に戦った結果そこに想いの渦が発生したり独特のカタルシスが生まれていく
そういうある種の等間隔が読んでいて気持ちが良く爽快である要因なんじゃないかと
特に今回はそれを強く感じてしまいました。

そう感じられる要因を深く掘り下げていくと今回強豪である臨海女子の面々は
こういう部活漫画にありがちな(他校に対しての)驕りや慢心、または馬鹿にする心が一切なく
その上で決して見くびらない、絶対にこの子は自分に勝てないと思い込まない真摯な姿勢が光っていて
かつ他校の彼女らが自分らに迫って来た時には素直にその抗いに対して「嬉しさ」を覚える
その点に関しては割とこの漫画の個性の一つかな、と思いつつ
その点が今まででも随一と捻出されていたので必然的に爽快感も強かった内容でした
自分を追ってくる者に対して敬意と少しばかりの微笑を匂わせた辻垣内さんは勿論
自分より実力が下の者に一度やられても素直に学んだことを糧にしようと想う慧宇さん
その「隙の無さ」こそが臨海女子の無敵感を強めているんですが
ただただ圧倒的に強いんじゃなく、ストイックな姿勢があるからこそ今の位置に存在している
そういう事実を回想ではなく心情で読者に伝える手法に個人的には深く感銘を受けました
11巻でも不当に負けた高校の株を下げない方法論が見事だったり
誰も下げないし
誰も過信させない
少年漫画的メソッドを多様している作品ではありますが
必要以上にそこに染まらない距離感・・・が実はもう一つ秀逸な個性なのかもしれません
敵だけど、臨海女子のお二方は正直スタイルがめっちゃ格好良かったしね。
そんな彼女らの想い、姫松高校の絆、と他校にも順当に感情移入が出来るようになっているので
ここからの盛り上がりにも大きく期待が懸かる内容に仕上がってると思います
「真剣勝負」という言葉が相応しい充実の12巻目、
珍しく染谷まこの回想も最後の方で描かれてたり勿論主役チームに対する感情移入の隙間も十分
更なる激戦を予見させるシーンの数々に前巻に引き続き気持ちもアガった新刊でした。
まこの回想はベタながら少し涙腺に来てしまいました(笑
結果だけ見れば均衡は変えられなかったけど、それでも不利な状況から落ちる事だけは防げた。
そんなまこやタコスの尽力を部長がどう繋げて行くのか・・・にも期待ですね。
13巻も楽しみです。


個人的にこの12巻で何気に気に入ったのは姫松高校の上重さんですね
彼女意外と隠れグラマーっていうか、途中からそういう描写が少し目立つようになってきて
それがまず良かったのと(笑 あとは単なる噛ませにならずに最後まで抵抗し切ったガッツですね
姫松高校は決勝には進めないかもしれないですけど、彼女らの頑張りは十分伝わっていますし
それをしっかりと見られたことがまず嬉しいなと
枠的に考えると後半清澄の逆襲が始まるパターンかもしれませんが
個人戦3位を唸らせた、消えない炎を見せ付けた、ということ自体がある種の結実なんだと思います
健闘した彼女に安易に約束通りに罰ゲーム与えず花丸を書いてあげたチームメイトの優しさも良かった
姫松女子の面々も気が付けば絆を感じさせる描写が増えてきて個人的には良い感じですね
彼女にはそこまで着目してなかっただけに意外な活躍・そして掘り下げに良い気分にさせてもらいました
有り体ですけどああいう「最後まで諦めない」姿勢は王道ながらいいものですね
この先も姫松女子の絆を感じさせる描写があればいいな、と思いました

それと、解説の野依さんの存在は面白すぎですね(笑
今までになかったタイプのキャラクター造詣で出て来る度に新鮮です
実況の言葉がシンプル過ぎ&そのまんま過ぎて台詞が出る度にニヤッとしてしまう
その他にも相変わらず長野県大会の面々はちょこちょこ出てくるし
これから活躍するであろうキャラもちょいちょい顔見せ
有珠山の先鋒の子はあんまり活躍はしてなかったけど気弱で小動物のようなキャラ性が可愛かったり
目の保養的な意味合いでも相変わらず抜群だって思えたのも私的に良かったですね
まこも地味に可愛かったしね。

毎回の事ですが表紙・裏表紙・折り返しに2点、
巻頭と巻中にカラーが点在と美麗なカラーイラストもたっぷり見れます
しかも毎度違うキャラなのでバラエティに富んでて眼福なのが改めて良いな、とも感じました
出来るだけ多くのキャラをカラーに登場させよう、っていう気概を感じるのがいいですね
カバー裏の漫画も案の定きわどい衣装着まくりですし・・・(笑
ストーリーが面白いのは勿論ですが
可愛いキャラクターの演出に関してもやっぱりイイですねこの漫画は。
準決勝後半に向けての布石的な要素もありつつ単体でもキャラの姿勢の正しさに胸打たれる12巻目でした。
まだまだ全国大会の白熱は終わりません!















来月からはこの全国編のアニメが始まりますけど
まだ原作は準決勝の途中なんですよねー。期待したいですが実際どうなるかは未知数です。
でもまあ、原作の面白さを伝えるようなものになれれば十分だとは思いますが。
何にせよこれからも咲を取り巻くメディアには楽しませてもらえそうです。
みんなの「頑張り」が素直に伝わって来て好感触でした。





最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。 6巻/松沢まり

2013-12-23 16:23:28 | 漫画(新作)


















限定版を購入。
通常版は1月発売との事だけど、先に売ってりゃやっぱ話気になるし買っちゃうよね
そもそも女流作家のラブコメにラバーチャームっていうのも何となく似合ってる気がするし。
でもTSTバージョンは多分付けるのに相当な勇気が必要でしょうね(笑
出来は普通に良いと思います。



















この漫画はタイトルが男性視点ですけど
でも主人公は妹の美月ちゃんな訳でそう考えると何気に面白いなとも思うんですが
そのお兄ちゃんに対する実直な憧れだったり世話を焼いてくれたくれた事に対する感謝、
そして何度もピンチを救ってくれた事による好感度の上昇で徐々に恋に落ちていく過程が良いですね
5巻まではあくまで「過程」に過ぎなかった訳ですけどいよいよ自覚し始めるのがこの巻なんです
「好き」と言ってもらえる幸せ、そして芽生え始めた夕哉を想う気持ち・・・って事で
ある種ラブコメ好きにとってはオートマティックに楽しめる巻でもありましたね(笑
またそういう風にはっきりと自覚し始めるのに6巻も費やしてるのが実に丁寧です
その辺は新境地的な作品だけど松沢まりさんならではの生真面目さがよく出てるかなー、と
ここまでで兄貴の真摯さだったり頼りになる部分は沢山見せてもらってるし
使った時間も相応なので
何の違和感も引っかかりもなく素直に恋に足を踏み入れつつある美月ちゃんにキュンキュン出来る
それが一番秀逸な巻かもしれないですね いつも通りのサービスは勿論素晴らしい上でね。

そんな意識の変遷を経た結果少しだけ距離が縮まる顛末も心地良くて。
今までは「気にする」程度だった夕哉に対してしっかりと明け透けな恋慕の情を
抱き始めた描写の数々は今まで以上のニヤニヤを発生させるには非常に容易かったです
また美月ちゃんのそういう表情・仕草の一つ一つがとても可愛らしくて・・・
正直半分は少女漫画のようなドキドキ感に近かったですね(笑
ちょっと憧れてるお兄ちゃんと急接近してドギマギしてる様子は活き活きとしてて感情移入も出来ました
男性向けラブコメの要素を含みつつも少女漫画的エッセンスも漂ってる塩梅が個性的で良いですね
そういうバランス感覚に際して言えばやっぱり女流作家ならではかなあ、って思います
積み重ねの良さが活きて来た事でより真っ当な面白さを獲得出来てるのがこの巻なんじゃないかと
あくまで個人的な印象ですが、
かなりのドライブ感とラブコメ的旨味をギュギュッと搾取出来てめちゃくちゃ面白かったですね
夕哉が「いつも世話を焼いてくれている」という前提ありきでここまで楽しめてると思うので
その意味じゃ本当に兄妹ものって設定が活きてるなあって 出会い始めの義理だからリアリティもあるし。


そんで、もう一つだけ明らかな進展があって
主人公の美月の相手役、つまりは兄貴の夕哉も微妙に彼女を意識し始めます
というか結構ツンデレ臭くてその意味でもお似合いの二人だなあって思うんですけど(笑
確かにまだ出会ってそこまで月日を重ねていない義理の妹ではあるけれど
真面目に「兄貴」になると頑張って
自制して、
迷走してまでも苦悩し戸惑ってる兄貴の様子もまたラブコメ的に面白かった
そんな自分に嫌悪しつつも、最終的にはある程度の好意を示してくれた前述の顛末は
これでまた物語が一歩進んだ感覚もあって中々のカタルシスがありましたね
自制心が少しずつ薄れ始め素直に美月にドキドキする描写も増えて益々ラブコメとして楽しい
ハイスペックな上に人格者である事は描けてるのでこの調子でまた積み重ねていって欲しいですね

ただ、そんな夕哉もまだ「理想のお兄ちゃん」って訳ではなくて
割と未成熟な一面も露呈してます
雪那に対する鈍感っぷり・・・っていうより完全に「姉ちゃん」としか捉えてないっぽいです
それはある種残酷な感覚でもあったりするワケですけど、雪那自身はまだ身を引き、諦めたわけじゃない
その辺はこれからの展開に期待しつつもここで5巻のおじいちゃんの存在が役に立ってくる・・・っていう
構成の上手さも光ってたと思います
5巻の素直になれないおじいちゃんの話は単体でも趣あって良かったと思うんですが
単なるゲストキャラでもなく今回は無神経を働いた夕哉を叱責する役を違和感なく引き受けている
その流れはとても美しいな、と思ったのと同時に「頼れる大人」でもあるんだなあ、と
正直今回のおじいちゃんは素直に男前過ぎました(笑
冒頭のお話ではコメディ要員だったのに後半では諌めっぷりが格好良かった。
日和も学校での無防備な抱きつきを素直に謝ったり、雪那も自身の想いだけじゃなく
美月の心境やこれからを案じるシーンも描かれてたり本当に各キャラがいい感じになってきて
中々のドラマチックさも生み出せていて、そこもまた今巻のお気に入りポイントの一つでしたね
6巻は主人公の美月、そして相手役の夕哉の心境の変遷が中心に描かれてましたが
是非雪那にもチャンスや奮闘の場を与えて欲しいな、とも思いつつ(笑
最後に少し強引に美月に好意を再確認しようとする夕哉お兄ちゃんがイケメン過ぎましたね
やっぱり女流作家による女子視点の男性向けラブコメが自分は大好きなんだなあ、ってつくづく感じた巻でした。
かなり真っ当にドキドキ出来るラブコメに仕上がってるので少年誌のラブコメ好きの方は是非是非。
どんどんクオリティ高まってると正直思います。


あともう一つ、この巻の三分の一は夕哉お兄ちゃんの友人の正太郎とその妹の萌亜
この二人が中心に据えられているショート番外編とロング番外編が収録されています
これがまた素朴な兄妹愛が感じられて凄く良いんですよね
基本的に主人公が美月で相手役が夕哉で、その友人たちって事はサブキャラもサブキャラなんですが
主人公からかなり遠いからこそ純粋に独立した一つのエピソードとして楽しめた印象です
個人的な印象ではありますが所謂「誰得」感はあんまりないと思います

また、兄と妹の話でもこっちは実の兄妹なのであくまでさりげない絆に留めている
その生真面目さもある程度のリアルさは重視してるんだな、って感じで好印象でしたね
本編とは一味違ったテイストで素直に楽しめるかと思います
可愛いパンツ描写もあるしね(笑
お色気シーンはさておきこの正太郎と萌亜のエピソードは新境地以前の松沢さんっぽかったです。
絶妙な距離感を形にされてる印象なので。 それにしてもこの漫画の「兄貴」はやたら格好良いなあ(笑




















サービスカットも前述の通りコンスタントに挿入されていて
尚且つあんまりストーリーの邪魔をしてない、むしろ円滑に進める仕掛けになっている
その構図もまた面白いなと感じつつとても眼福要素の高かった新刊でした(笑
透けブラとか恥ずかしいカッコで抱き合うとか、
美月と日和の絡み合いもまた扇情的でよろしかったと思います。ええ。

来月からはアニメ開始かー。
原作、っていうか松沢まりさん自体大好きなので若干心配しつつも少しでもいいものになればいいな、と。
キャラデザは正直原作のが好きですがそれでもいち松沢まりファンとしてドキドキしつつ期待してます。
新境地と松沢さんの丁寧な部分がしっかり融合していたのが嬉しかった6巻、大満足でした。






ユキのいた街 八神健短編集/八神健

2013-12-17 23:35:02 | 漫画(新作)



 

















3冊目の短編集。




















私は学生時代から八神健の漫画が大好きなのです
あのほんわかしてて、やさしくて、でも時折切ないあの世界観
ジャンプ時代の作品は勿論彼の存在をきっかけにチャンピオンを初めて購入したり
色々と思い出深い作者なんですね
ちなみに今作の短編の内のひとつにあの「まじかるドミ子」の続編?っぽいのが存在していて
結構旧知のファンとしても楽しめる作りになってたのが嬉しかったですね。「ななか6/17」大好きなんで。

私は1冊目も2冊目も購入し今でも手元に存在していますが
1冊目2冊目と違うのはジャンルの幅広さ、良い意味でのバラバラ感ですね
1冊目はほぼ「ふわふら」中心でしたし2冊目はストーリーもの中心のイメージですが
この3冊目は、なんというか、振り切れたギャグものや素朴なテイスト、ラブコメから漫画家ものまで
本当に「短編集」という言葉が相応しい様々な八神節を楽しむ事が出来る内容になっています
彼王道の感動ストーリーから
某ドキドキ魔女~を経たからこその突き抜けた百合系ギャグ、
あとは本当に自然に、ふわっと読めるラブコメ風味の短編が非常に心地良くて
往年の読者的には「これだよ、これ」って思うような作品も実に多かった印象ですね
昔と比べて作画は結構簡略化されてるイメージですが根底に流れる痛いくらいの「やさしさ」は変わっていない
だからこそ、安心して読める・・・っていう気軽に気楽に読めてかつ印象的なシーンも多々ある、っていう
磐石の内容に仕上がっている気がします
少なくとも昔からのファンは何の問題もなく楽しめると思うし
ご新規さんに関しても全部読みきりですしこれ一冊で八神テイストは結構網羅出来るのではないかと

あ、ちなみに成年系の読切は一切収録されておりません
機会があればまたそっちも望みたい所ですが。ぜひ。


今作を読んで改めて思ったのは「変わらない良さ」ですね
多分八神健の漫画を好きな人って彼の表現がとことん好きな人だと思うんですけど
(あんまり替えが効かない感じというか、青春を彷彿とさせる感じ)
そういう・・・ノスタルジックかつ普遍的な作品が並んでるので
読んでて気分も良かったというか、
絵柄は昔と比べて変わってる部分もあるけど、読み終えた後の何ともいえない心地良さは健在なわけです
ピュアで、イノセントで、でも胸を突くような場面もあって、そのバランスが実に絶妙で。

そういう学生時代に読んでたような、「あの頃」のようなテンションでどの作品も読む事が出来たので
それもあって素直に「買って良かった」「読んで良かった」って思えたのかもしれません
不変の良さがしっかり滲み出ているというか、
まだまだ読み手をほんわかさせ、ちょっぴりの感動を盛り込んでくれる八神節健在というかね。
こういう感じでこの方の漫画をこれからもコンスタントに読めたらなあ・・・と心底思いました。
八神健テイストを望む読者は根強く残ってると思うのでまたいつか4冊目も期待したいですし
これからの執筆活動にも期待ですね
なんかもう久々に八神健成分を過不足なく補給出来て気持ち幸せでした。
「ユキのいた街」に関してはその後の二人の様子をもっと見たいな、と(笑)。

後本人もあとがきで語ってますが所謂「お姉ちゃん」ものがやたら多いですね
その意味でもお姉ちゃんのやさしさに包まれたい人にはオススメなんじゃないかと
どのお姉ちゃんもしっかりと下の世代想いで見ていて癒されます
特に「となりの甘姉」は雑誌で見てた時から凄く好きだったので収録されて嬉しかったです
八神健の甘々な部分が濃厚に凝縮されている傑作短編ですね
ベテラン作家ですけど、絵柄はぜんぜん古くなってないのがまたイイ。
全体を通してコンスタントにクスクス出来て、コンスタントにしんみり出来る、良い塩梅の短編集かと。

















「まんがのがっこう」だけは随分批評性の高い内容になっていて
こういう作品が入っているのも前作前々作とは違っていてバランス的に面白かったです
八神健の漫画ってどの作品にも「なんかこういう空気いいな」って雰囲気が漂っていて
その「なんかいいな」がめいっぱい詰まってるような小気味良い短編集。また大切な本が増えました。