(1)米国では共和党が優勢の上院で露産の石油や天然ガスを購入する国に500%の関税を課す超党派議員による法案が提出された。露からの全ての輸入品にも500%以上の関税を課すとした。プーチン大統領がトランプ大統領との電話会談でウクライナ停戦を拒否したことに対する米議会からの露制裁だ。
(2)ウクライナ戦争停戦につながるのなら露への500%の関税には驚いてはいられないが、トランプ大統領の高関税を武器に世界に例外なく米国関税貿易に従うように挑み続けている経済戦争は肯定されるものではない。
日本は赤沢担当大臣が5度(予定)も訪米して日米関税協議を進めているが、国内情報が不足して緊張感が伝わってこない。
(3)国内コメ不足、異常高騰で小泉農相就任後遅れている備蓄米放出が市場、スーパーに出回り、ようやく政府はコメ不足、高騰の解明に会議を開催して乗り出すという緊張感のなさだ。
政治、社会には緊張が必要だ。国会は25年度予算が成立したあとは重要法案は先送りで通常国会は6月会期末を迎えている。
(4)通常は石破政権は少数与党であり野党が結束して内閣不信任案を提出すれば、内閣総辞職か解散総選挙が成立する緊張状況にあるはずが国会からはそんな雰囲気は感じられない。自民党支持率は10%台と低迷して国民民主と接近しており、このまま衆参同時選挙になっても勝つ見込みは薄く、野党としては候補者調整から衆参同時選挙は避けたい思惑もあり、何となくこのまま夏の参院選挙を迎えたい意向がみえる緊張のなさだ。
(5)これでいいわけがないので、石破政権がやるべきことは長引く物価高とりわけ昨年比2倍のコメ高騰をどう昨年並みに落ち着かせるのか、それでは農業、コメ生産者は持たないというのならこれまでの政府のコメ行政、保護政策を検証して国民消費者への理解が必要だ。
(6)トランプ関税は日本の輸出主力の自動車産業に影響が出始めており、企業の賃上げにも波及することが考えられて、国内経済を冷やすことも考えられる。石破首相としてどう考え、物価高、米国関税にどう対処していくのか対策が見えてこない緊張感のなさだ。
小泉農相の備蓄米市場早出しも石破政権として評価されることはなく、小泉農相の株が上がるだけで石破政権に向けられることはないだろう。
(7)日本の政治、社会は、わけもわからずフワついて緊張感もなく、漂流している。そういう時にドカン、というかガーンというか大きなニュースが入ってきた。