いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

私的な財津和夫論。 private essay about k. zaitsu

2010-12-03 19:46:01 | 日記
 財津和夫さんは、現在62才。1972年にチューリップとしてメジャーデビューしてから38年
の音楽活動、もちろん現在でも東京、大阪NHKホール、愛知県芸術劇場ホールを満員にする
実力派、先駆者(pioneer)と言われるミュージシャンであり、コンポーザーです。
 財津さんより高令で今でも現役として活動しているミュージシャンも小田和正(63)、吉田拓
郎(64)ほかまだまだいる。財津さんよりも体力のある、だからひょっとしたら声も出る(これは
曲の難易度、オクターブも影響する)ミュージシャンは、若い人にはいるでしょう。

 財津さんほど歌のうまい人、よく声が前にでる発声法の人、日本語を的確に伝える能力の
ミュージシャンは、ひょっとしたら希にいるかもしれませんが、現在現役で財津さん以上と言え
る人は、多分いない。かって、松山千春がメディアで歌のうまいミュージシャンとして、井上陽
水と財津和夫の二人の名前を挙げている。

 財津和夫さんがこの38年間に発表した楽曲が800曲余り、財津さんよりセールスの多い
ミュージシャンは、これはあまたいることは容易に想像できますが、多様で多彩な楽曲数、作
曲数となると比較するのも容易ではない。そこで、この希代の先駆的実力派ミュージシャン
財津和夫さんの客観的な比較論はほかに譲るとして、「私的な財津和夫論」を展開してみたい。
 第1回目は、「シューズ(shoes)」。

 1 シューズ(shoes)
 (1)財津和夫さんの音楽の原点となったのが、1972年6月発表のメジャーデビュー曲となっ
た財津さん詞・曲の「魔法の黄色い靴」。まだアマチュアだったチューリップが福岡のライブハ
ウス「照和」でその前年に自主録音、制作して、そのデモテープを財津さんが東芝に持ち込ん
で認められメジャーデビューを果たす。シングル曲のカップリングは「ハ-モニー」という、これ
も名曲で質の高いシングルレコード(当時)だった。

 「魔法の黄色い靴」は、斬新な発想、構想曲で、現在でもいつの時代でもメロディライン、コ
ード進行の斬新さは新鮮感覚を失わない。人間は、生物の中でも24時間常に2本足で生活
できる唯一の存在で、その2本足に靴を履くことを考えた唯一の生物だ。単に足の保護、移動
のツールからファッションへと機能を変えて、現在に変遷してきている。

 その靴(shoes)に、すでに38年前に財津和夫さんは生命体ファッションとしての意思を与え
て、靴がすてきな人生、フレンドを運んでくる「天使」として表現している。財津さんの描写力、
発想力、構想力は38年前のものとは思えない斬新で創造力豊かなものがある。
 そもそもデモテープ1本持って単身上京し、東芝に持ち込み自分の音楽と時代をきりひらい
ていったフロンティアな財津さんの「生き方」そのものが斬新であった。現在の若者にこそ必要
なベンチャー(venture)志向だ。

 (2)次のエポック(epoch)となったのが、1979年7月に発表した「虹とスニーカーの頃」。チュ
ーンタイトルのとおり、白いスニーカーを「純愛」にして、雨の中汚さないように大切に裸足で歩
く二人のカップル像を描いてみせる。
 虹と、雷の音と、雨と、白いスニーカーと二人の純愛とそして若い別れを色鮮やかにドラステ
ィック(drastic)に映像描写して、流れるように揺れてスピード感のある財津メロディの繊細で敏
感(sensitive)なドラマ性を強烈に印象付ける。「サボテンの花」にも、この映像描写力のすさま
じさ、繊細さをみせる。

 「虹とスニーカーの頃」は、財津さんが言うとおり、チューリップが前年に鈴蘭高原コンサート
で日本の大規模な野外イベントの企画、構成、技術力を示したあとの、チューリップサウンドを
もう一段グレードアップするエポック(epoch)となる楽曲として評価されヒットした。
 当時は、コマーシャルとのタイアップがないとヒットしない時代に、とりわけ宣伝にも力を入れ
ずに斬新な楽曲だけの優秀性だけで評価された。財津さんが大切にする楽曲のひとつです。

 (3)そのコマーシャルとタイアップしたのが1980年1月発表の「wake up」。元旦と同時に全国
にセイコーコマーシャルソングとしてTV登場、財津和夫さんもコマーシャルに出演した。
 ソロ活動としてヒットしたこれもエポック(epoch)となる楽曲。ここでは、娘を嫁に出す父親とし
ての愛情表現に「革靴」と「ズック」が登場する。

 「磨かれた革靴よりも、洗いざらしのズックのような、そんな心で愛してごらん」。映像として
脳内スクリーンに鮮やかに蘇る財津和夫さんの比類のない斬新なメロディ描写力、表現力の
すばらしさを実感できる楽曲群です。

 メロディは、オクターブの高い五線空間を上下に揺れる難曲ですが、財津さんのメロウな高音
と発声力、表現力、歌のうまさ、ボーカル力が際立って名曲です。シューズ(shoes)にあこがれ
があった時代の生まれでもあります。
 
 シューズ(shoes)の斬新な財津三部作。(1)天使から、(2)純愛へ、(3)父の愛情へと見事に
展開して、「すてきな」財津芸術、音楽の世界です。              〔転載禁止です。〕

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