いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

選択眼。 selective penetration

2015-05-04 19:35:39 | 日記
 (1)国民投票法が改正されて18才以上に投票権が認められた。憲法改正が現実味を帯びてきて、メディアでは今後対象となる高校生に憲法改正についての意見を聞いて記事にしていた。

 反対、賛成の自意識の高い意見の中に「興味がない」という意見もあった。「受験とアルバイトで忙しく政治や憲法のことまで考える余裕がない」とか「憲法について詳しく知っているわけではないので賛成か反対かを問われても困る」という若者の率直(plainness)な意見が目に付いた。

 (2)これからは選挙(投票)権、成人年令も18才に引き下げられる方向性なので、超高年令社会で若者の意見を相対的に比較高く反映する役割も担うことになるので、政治、憲法問題にも目を向けてほしい期待は大きい。

 (3)メディアが実施した憲法改正問題の全国世論調査で、憲法を改正すべきだと思うかに45%が「思う」、43%が「思わない」ときっ抗して、憲法も時代とともに変化してむずかしい、とっつきにくい古いままの表現、条文から新しい時代に合った憲法(条文)に改正していいとの「形式論」から、平和憲法としての主旨から第9条の精神性を変えずに守るべきだとの「主旨論」まで無難な常識的見方が左右して意見が二分されている。
 どちらかといえば、現在時点ではどちらとも言えない本音のきっ抗数字のように見える。

 (4)そこで「第9条を改正すべきか」との一歩踏み込んだ設問に対しては、27%が「思う」、55%が「思わない」とはっきり分かれた。
 第9条改正に反対する比率が55%とかろうじて過半数を超える数字は以外と少ないと感じるが、むしろ27%の賛成率を含めてその他「45%」が少なくとも「はっきり」と改正に「反対しない」(18%の動向意思は示されていないが、どちらといえないということなのか)という数字の大きさに注目すべきだ。

 過半数近くの国民意思が、国際紛争を解決する手段としての戦力を保持せず交戦権を有しない第9条を改正することに「はっきり」と「反対しない」ということは、随分と国民意識の変化が読み取れる。

 (5)中国の軍備増強による東シナ海への進出、尖閣諸島領有権侵犯問題に対しての日本の軍備強化の必要性を感じていることが大きく影響しているのは間違いのないところだが、戦後70年を経過してその間米国(米軍)の核の傘のもとにG7メンバー国の中で唯一戦火をまみえてこなかった平和国家日本の守られた安心感とGDP世界2位、近年3位の経済立国としてのグローバルな地位、責任感との比較の中で国際的な地位にふさわしい、また同盟国米国などから求められる人的国際貢献としての役割が国民自身の問題として重く受け止められてきたのではないのか。

 (6)つまり、日本だけが「いい目」をしていられないという世界秩序維持への共同責任の一種成熟した選択眼(selective penetration)だ。
 しかしながら、平和憲法の象徴たる第9条をどう改正して国際社会の共同責任の仲間入りをしていくのかについては確たるものはないといえる選択だ。

 45%のすべてはっきりというわけではないが相対的に改正しなくていいという比率の中での18%は、日本独自の地位、立場の確立と国際社会貢献との融合の間で悩みが深い。
 時流に流されない、本当に必要なもの、守るべきものへの熟考が求められる。

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