いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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クーデターと憲法改正。 coup d'etat and revision of the constitutional law

2015-05-03 14:56:39 | 日記
 (1)戦後70年、現憲法施行(47年5月3日)から68年を迎える憲法記念日だ。新聞記事には防衛大で非常勤講師を務めた憲法学者の話として、20年前に防衛大のそばの店で防衛大生と飲んでいた時に学生が「日本は自衛隊の1個連隊があればクーデターが起こせますよね」と言ったという話題がでていた。

 実際は国内に米軍基地が散在していて、日本政府だけでなく米軍も相手にしなければならずに簡単な話ではないが、酒の席とはいえ当時の防衛大生の中にはそういううっ積がたまっていたということなのだろう。

 (2)それより25前の70年11月に作家三島由紀夫が説く存在が憲法違反の自衛隊がそれでも日本を守る矛盾に対して、憲法改正を目指して当時の自衛隊市ヶ谷の東部方面総監部に乗り込んでクーデター(coup d'etat)決起を促したが集まった自衛隊員からは問題にされずに自決した事件があった。

 当時、憲法主旨を真正面から解釈して現実履行と矛盾する右翼的法理論を展開した作家三島由紀夫であった。
 現在、憲法解釈の都合のいい変更による集団的自衛権(collective self defense)の行使、安保法制整備を進める安倍首相とは雲泥の違いだ。

 (3)三島由紀夫のクーデター決起を支持するものではないが、作家としての良心からか右翼思想のなせる業か、憲法と現実政治の矛盾をとらえて真摯に向き合っていた姿勢は、当時思想対立していた全共闘学生からも一定の評価をもって迎えられていたといわれる。

 (4)今年の憲法記念日には安倍首相は訪米中で今日日本に帰ってくる。今国会で安保法制が成立すれば、いよいよ憲法改正(revision of the constitutional law)論議に着手するものとみられて、来年の憲法記念日はこれまでと違った憲法論議注目の日となるだろう。

 安倍首相の進める集団的自衛権の行使、安保法制による世界的展開の日米軍事同盟強化は、実行する自衛隊の能力(意識)、機能、人材が最大のネックになると書いたが、その自衛隊の「素顔」は国民にはあまり伝わってはこない。
 防衛大を卒業しても全員が自衛隊幹部候補になるわけでもなくて、民間就職も多いと聞かされる。

 (5)国を守る意識、任務、使命に対して自衛隊員がそれぞれに何を考えているのか外部にはよくわからない。安倍政権は防衛省の組織改革で自衛隊の制服組を背広組(防衛官僚)と同等の立場で防衛相を補佐する改正をして、文民統制に変化をもたらしており、自衛隊員がこれをどう受け取っているのだろうか。

 (6)20年前の話とはいえ、冒頭のような防衛大生クーデター可能論を聞かされると、かえって仮に米軍が日本から撤退した後の政治、社会情勢について不安が起こる。
 憲法主旨、解釈を真正面からとらえて考えて、憲法改正論を比較論ずることが必要な時を迎えた。

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