(1)安倍首相が来日したイラン外相の要請、その直後のトランプ大統領との会談の意向を受けて対立するイランと米国の仲介(intermediation)のために今月イランを訪問して日本の首相として初めて最高指導者のハメネイ師と会談したが、結果は「(トランプ大統領は)意見交換するにふさわしい相手ではない。私からの返答はないし、今後、応えることもない」(報道)と米国トランプ大統領との交渉、階段を拒否する考えを示した。
(2)さすがに安倍首相とトランプ大統領の個人的な友人関係は緊密のようではあるが、それは日米の間でのことでそれだけでは国際政治、外交関係で影響力を発揮する、できることではなかった。
当初は石油供給源確保による日本とイランとの長い友好関係を背景に日本の安倍首相の仲介努力に双方から期待もかけられたが、ホメイニ体制時代からイランと米国の宗教対立、石油戦略による米国の中東関与戦略の根深い対立関係、歴史を一気にくつがえすことなどできなかった。
(3)今回の安倍首相のイラン仲介訪問ではイラン側が「核兵器を製造も保有も使用もしない」(報道)との発言があったが、米国離脱後もイランは独、仏などとの核合意は継続しているので目新しい発言でもなく、安倍首相のイラン仲介外交は特に成果のないものに終わった。
それどころか安倍首相がイラン訪問中に日本の海運会社が運航するケミカルタンカーがイラン沖のせまいホルムズ海峡で何者かに攻撃されるという緊急危険事態が派生して、安倍首相のイラン仲介訪問に水を差す事態となっている。
(4)同海運会社によるとタンカーはパナマの国旗を掲載(報道)していたというから必ずしも日本のタンカーを狙った攻撃とは考えられないともいえるが、日本の米国とイランの仲介外交に対する反目ともみえて早速米国はイランによる攻撃との証拠映像を公開し、これにイランも船員救助動画を公開して関与を否定して米国を非難している。
日本の仲介はイランからの要請でもあり、安倍首相がイラン訪問中にホルムズ海峡で問題を起こすリスクをとるとは考えにくく、背景はよくわからない。
(5)一方でホルムズ海峡は石油輸出供給ルートの要所であり、国家軍事戦略の管轄が及んでいるところからテロ、海賊による攻撃という見方も可能性は低くて、今回の安倍首相がイラン訪問中の日本のタンカーに対する攻撃という同時性には、「はずみ」なのか「意図」なのか疑心暗鬼が募る。
米国はイラン核合意からの離脱を決めてこれに反発するイランに軍事圧力を強めており、トランプ大統領のイスラエル寄り政策が強まる中で中東に対する米国の関与に警戒感もあり、米国追随政策の日本の仲介にも中東として歓迎ともいかない側面も考えられる。
(6)安倍首相のイラン仲介訪問はこういう形で終わりになったが、安倍首相の存在感は日本でのトランプ大統領との親密な友人関係ほど国際政治、外交での影響力はみられずに、地球儀を俯瞰する安倍外交の自負といいながら力不足、あるいはトランプ追随の弊害はあきらかなものだった。
(2)さすがに安倍首相とトランプ大統領の個人的な友人関係は緊密のようではあるが、それは日米の間でのことでそれだけでは国際政治、外交関係で影響力を発揮する、できることではなかった。
当初は石油供給源確保による日本とイランとの長い友好関係を背景に日本の安倍首相の仲介努力に双方から期待もかけられたが、ホメイニ体制時代からイランと米国の宗教対立、石油戦略による米国の中東関与戦略の根深い対立関係、歴史を一気にくつがえすことなどできなかった。
(3)今回の安倍首相のイラン仲介訪問ではイラン側が「核兵器を製造も保有も使用もしない」(報道)との発言があったが、米国離脱後もイランは独、仏などとの核合意は継続しているので目新しい発言でもなく、安倍首相のイラン仲介外交は特に成果のないものに終わった。
それどころか安倍首相がイラン訪問中に日本の海運会社が運航するケミカルタンカーがイラン沖のせまいホルムズ海峡で何者かに攻撃されるという緊急危険事態が派生して、安倍首相のイラン仲介訪問に水を差す事態となっている。
(4)同海運会社によるとタンカーはパナマの国旗を掲載(報道)していたというから必ずしも日本のタンカーを狙った攻撃とは考えられないともいえるが、日本の米国とイランの仲介外交に対する反目ともみえて早速米国はイランによる攻撃との証拠映像を公開し、これにイランも船員救助動画を公開して関与を否定して米国を非難している。
日本の仲介はイランからの要請でもあり、安倍首相がイラン訪問中にホルムズ海峡で問題を起こすリスクをとるとは考えにくく、背景はよくわからない。
(5)一方でホルムズ海峡は石油輸出供給ルートの要所であり、国家軍事戦略の管轄が及んでいるところからテロ、海賊による攻撃という見方も可能性は低くて、今回の安倍首相がイラン訪問中の日本のタンカーに対する攻撃という同時性には、「はずみ」なのか「意図」なのか疑心暗鬼が募る。
米国はイラン核合意からの離脱を決めてこれに反発するイランに軍事圧力を強めており、トランプ大統領のイスラエル寄り政策が強まる中で中東に対する米国の関与に警戒感もあり、米国追随政策の日本の仲介にも中東として歓迎ともいかない側面も考えられる。
(6)安倍首相のイラン仲介訪問はこういう形で終わりになったが、安倍首相の存在感は日本でのトランプ大統領との親密な友人関係ほど国際政治、外交での影響力はみられずに、地球儀を俯瞰する安倍外交の自負といいながら力不足、あるいはトランプ追随の弊害はあきらかなものだった。