いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

紙幣の肖像画。 a portrait of paper money

2019-04-18 20:20:08 | 日記
 (1)2024年度をメドに発行することを発表した新紙幣の5000円札の肖像に起用された津田梅子の札デザインの肖像画が津田塾大学が所有する同写真を反転、裏焼きしたものではないのかとの指摘があり、財務省は「肖像画は一つの写真だけを参考に作成したわけではないので、写真の反転という指摘自体が成り立たない」(報道)と説明している。

 (2)「一つの写真だけを参考に作成したわけではない」の本意がわからないが、紙幣は偽造を防ぐ工夫も必要で既存の写真をそのまま使用することを避ける意味はわかるが、いろいろと細工、加工を施せばそれが起用した「本人」といえるのかの疑問もあり、程度というものもある。

 (3)仮に今回の新5000円札肖像の津田梅子の場合、反転、裏焼きを使用したとすれば本人であることには変わりがないので、新5000円札肖像画は津田梅子であるとの説明、特定には問題はない。

 これが財務省が言うように「一つの写真だけを参考に作成したわけではない」と細工、加工の余地を残しているとすれば、「津田梅子」起用の真実性、現実性に疑問がわくものだ。
 10000円札の渋沢栄一、1000円札北里柴三郎の場合はどうなっているのかの比較論もあり、それだけでは一概に理解するというわけにはいかない。

 (4)紙幣の肖像画が「本人」でないとすれば、広く経済、社会に紙幣価値として流通し、貯蓄し、交換される財産として信用性、信頼性に問題、錯誤を生むもので将来社会に向けても誤った情報を発信することになる。

 紙幣の細工、加工が紙幣偽造を防ぐためとはいえ、「実物」、「本人」と異なる似たものとして紙幣肖像画を作成するというのは歴史的人物を起用するという基準にも合致せずに、似てはいるけれど架空の人物という評価にもなり財務省の説明では紙幣の肖像画の基準としてふさわしいのか考えものだ。

 (5)財務省の言うように「一つの写真だけを参考に作成したわけではない」が顔の部分でなく髪型、着衣であればまだしも理解できるが、また反転、裏焼きであれば「本人」には変わりがないので問題もないがあれこれ細工、加工するとすれば、いくら紙幣偽造を防ぐ対応としてもやりすぎといえるものだ。

 報道された津田塾大学所有の同写真と新紙幣の肖像画は、向きは逆で紙幣肖像画の方はいくぶんふっくらとしてはっきりしている印象はある。

 (6)前述したように新10000円札、同1000円札の肖像画の仕様比較がわからないので何ともいいようがないが、紙幣の仕様、肖像画だけに偽造防止から財務省も仔細にわたって情報を公にしにくいところもある。

 なにはともあれ、細工、加工があっても紙幣肖像画に起用された「本人」に変わりがないものであることは、本人に対しても人格権を尊重する視点からも必要なことだ。
 

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