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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

異なる新しい判断。 different a new decision

2016-06-02 19:39:12 | 日記
 (1)昨日の安倍首相の記者会見はこれまでの自信に満ちたものではなくて、トーンも控えめで表情にも陰りが見られた。
 致し方のない、「再び延期することはない。はっきり断言する」(報道)と大見えを切った来年4月消費税10%引き上げを2年半再延期する「これまでの約束とは異なる新しい判断だ。公約違反ではないのかとの批判も真摯に受け止める」(昨日会見)と公約違反(violation of a public promise)を率直に認めることになった会見だった。

 (2)政治家の言葉の軽さは書いたが、首相の大見えを切った約束のホゴはどんな責任を取るべきなのか、考えさせられる。
 野党は内閣不信任案を国会に提出したが、与党の賛成多数で否決された。どうも首相のこれぐらいの公約は国会では問題にならないらしい。
 国民は何を信じて政治、選挙選択をすればいいのか、これではわからない。

 (3)安倍首相は12年末の解散総選挙で勝利して第2次安倍内閣を発足させて、日銀による大胆な金融緩和策で円安株高効果を生んで大企業中心の企業業績の回復、賃上げを推進してきたが、14年4月の消費税8%引き上げにより消費者動向を冷え込ませてその後は貿易収支の連続赤字、GDPマイナス成長など経済指標データの低迷が続き、今年に入って円高株安基調で一層の景気低迷感が支配していた。

 実体経済のともなわない株価操作(株高)に頼るアベノミクス効果の限界を示す傾向がはっきりしていた。

 (4)それでも生活の身近なものにしか関心、反応のない小市民的国民意識の中で、比較安定した内閣支持率を維持して安倍内閣(官邸)、自民党一強政治の中で強気の政治体制を維持してきた。

 さすがの安倍首相も公約違反を自ら認め、消費税10%引き上げを自らの自民党総裁任期(18年9月)を超えた19年10月まで2年半再延期を表明したからには、政策の修正、転換は当然求められることになる。
 日銀の大量の国債購入によるこれまでの2倍のカネの市場供給という金融緩和策をとりながら、赤字国債に頼る無責任な財政政策は取らないと言うのもよくわからない論理矛盾で、アベノミクスの限界を自ら示すことになったのではないのか。

 (5)政治家の国民に対する公約の重さは大きいもので、公約違反は政治の信頼、信用性にかかわる負託した国民への背信行為だ。その責任は再び選挙という国民の審判を仰ぐ前提条件(公約の信頼、信用性)を欠くものだけに、消費税10%引き上げ再延期を今夏の参院選で問うのではおかしいことだ。

 よく汚職疑惑議員が選挙のみそぎが済んで当選したことによって疑惑は晴れた、責任は取ったということが言われるが、論理のすり替えでしかない。

 (6)安倍首相としては「アベノミクスのエンジンを最大限にふかしリスクを振り払う。三本の矢をもう一度力いっぱい放つため総合的かつ大胆な経済政策を今秋講じる」(昨日会見要旨)と述べているが、「今秋」(補正予算)では遅すぎる。

 アベノミクスの論理矛盾を自ら認めたことになったのだから、参院選の前に公約違反による「異なる新しい判断」の経済政策を示して国民の審判を仰ぐ必要があり、これがせめてもの今取るべき政治責任だ。

 (7)秋に約束とは異なる新しい判断(different a new decision)の経済政策を示すから夏の参院選を勝たしてくれなどとのあり得ない政治の信頼、信用性を安倍首相自ら否定して見せた矛盾責任だ。

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