トラックの悲鳴が聞こえる。 throw up the truck

　トラックの悲鳴が聞こえてくるようだ。　また、また、という大型トラック同士
の高速道路での追突事故。山陽自動車の防府市内のトンネルで、なんとも象徴的
な光景。１３トントラックに追突された１０トントラックが、こともあろうにトンネルの入
口のアーケードのカーブのヘリに沿ってトンネル入口の最上部まで押し上げられて、
中央から入口をふさぐように道路面までつり下がり状態で停止した（報道写真）。
トラックの疲弊した悲鳴が聞こえてくる光景だった。

　日常茶飯事だけではすまない、深刻で懲りないトラック事故。メディア報道も、
報道だ。今回は、メディアの問題。
　問題点は、すでに社会問題化してながいトラック事故認識の運転者を含めた関係
者のあまりの不足、指導体制の欠如、利益偏重主義による加重スケジュール強要
のトラック業界の無責任な姿勢と、それに切り込めないあまりにゆるいトラック排
出ガス規制にみられる政治とトラック業界の関係だ。
　だれもが、どこでも、いつでも被害者となりうる危機管理の問題だ。
　　
　新聞のメディア報道は、客観性、公平性、情報開示の基本に沿ったテーゼで、社
会警鐘したつもりなのだろう。
　メディア報道では、交通死亡事故の都道府県別ランクも、時系列統計で発表して
いる。これも、メディア報道の基本テーゼのなかの１ページのつもりなのだろう。

　これほど日常的に社会問題化し、だれもが、どこでも、いつでも被害者になって
もおかしくない交通事故事情。問題の徹底した解明、背景、政治のスタンス、解決
策について、メディア報道では、核心のある情報開示をおせっかいにも、しつこく
キャンペーンすべきだ。
　メディアの報道責任能力の品質、本質が問われる。

　最近のメディア報道のスタンスは、変な語呂合わせに代表されるように、内容が
軽くて、ただの「news paper repot（記事報道）」で、「intelligence（情報報道）」
じゃない。
　トラック業界に潜行する、政治過保護の「甘え」、営利偏重主義の無責任な経営
構造は、野放し状態で、これを許すかのようなメディアの、事態の本質に迫らない
建前論は、非常に甘い。

　統計の開示、トピックス（topics）のような話題づくりの紹介記事で済ますメデ
ィア報道、メディアスタンスには、日常の問題にこそ潜む国民の危機意識を的確に
反映していない。国民のムーブメントを期待しているのか。
　メディアが、「日常」に機能マヒしては、国民の情報媒体として問題だ。

　社会に潜む日常の危険は、掘り起こして（トラック事故は露出オーバー）、解決
に向かわせる強いプロセスがメディアの正義だ。
　政治、業界、国民が一体となって立ち向かえば、トラック事故の惨禍は防げる。
問題提起して、そのラインを繋ぐのがメディアの intelligence（情報報道）だ。