旅限無(りょげむ)

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解散・解党・憲法改正 其の壱拾

2010-09-28 12:26:34 | 外交・情勢(アジア)
■お呼びでない鳩山サセテイタダク前首相が「ホットライン」だの「私だったら」だの具にも付かない絵空事の空念仏を唱えて見せたそうですが、尖閣での衝突事件が起こった時点では、菅と小沢の間を八方美人の伝書鳩役になって飛び回り代表選挙を引っ掻き回して恥を掻き、投票前にはロシアに飛んで何をしていたのやら……。もしも鳩山サセテイタダク首相が留任していたとして、ホットラインの受話器を取っても「友愛」の寝言か後先考えない「トラスト・ミー」くらいしか言えなかったでしょうなあ。

■それにしましても、9月2日の「戦勝記念日」から1週間後の10日に鳩山サセテイタダク前首相はメドベージェフ露大統領とロシア中部のヤロスラブリで会談していたのでした。露大統領に「菅首相との間で実務的な関係を作ることができた。(鳩山前首相からの)継承性は日露関係にプラスとなっている」と言われて鳩山前首相は領土問題について「最も大切なのは首脳間の信頼関係だ」と言ったとか……。そんな薄っぺらな事を言うために「首相特使」になって国際会議に出席する必要は無かったでしょうし、トンデモない逆効果になる危険性の方が高かったかも知れません。鳩山サセテイタダク前首相は御丁寧に民主党政権が『反省と謝罪』を表明した相手の李明博・韓国大統領とも会談したのだそうですが、あの仙谷作文がロシアで「戦勝記念日」の行事に結実して、竹島問題を棚上げして『防衛白書』の発表を延期したことが北方領土問題を悪化させてしまうとは考えもしなかったのでしょうなあ。 


モスクワで都市交通問題を研究している鳩山由紀夫前首相の長男紀一郎さん(34)が、「世界の主要都市で最悪」とされるモスクワの交通渋滞の改善策に関する提言書を出版した。日本の事例だけでなく、ロシア人の運転マナーも考慮に入れた内容で、渋滞緩和の切り札となるか、関心を呼んでいる。本の題名は「モスクワ 巨大都市の交通問題」。モスクワ市交通通信局長との共著で、ロシア語で書かれている。鳩山さんは08年9月からモスクワ大の客員講師として研究に携わっており、著書は一つの大きな成果だ。…… 

■祖父の鳩山一郎さんが政敵の吉田茂さんの親米外交政策に対抗して首相就任時に当時のソ連と拙速気味の交渉を進めて以来、鳩山家とソ連・ロシアとの間に奇妙なパイプがあったようですが、鳩山サセテイタダク前首相は在任当時に「半年くらいで北方領土問題を解決する」とか何とか病的な誇大妄想を口にしていたとの報道があったと記憶しております。日米関係を揺るがした後に日露関係までも混乱させる前に政権を投げ出してくれたのは日本にとっては天佑神助だったと申せましょう。

■さて、息子の紀一郎さんは東大工学部と同大学院で年工学を研究していた人で、一昨年、モスクワ大学に移ったのだそうです。研究成果が書物になるのは目出度いことなのでしょうが、『週刊新潮』9月30日号には蔦谷透氏が『鳩山前首相にも忍び寄るロシア諜報機関』という恐ろしい記事を書いておりまして、今年6月に米国で起こったたロシアスパイグループが大規模に摘発された事件の舞台裏を紹介しつつ、ロシアの諜報機関が鳩山前首相親子を手中に収めたという恐ろしい話が出て来ます。その証拠として首相在任中に日本の公安当局が諜報機関員と認定している人物がと親しく接触していた事実に加えて、紀一郎さんがモスクワ大学赴任直後に「モスクワ上空のヘリ視察」が特別に許可されていた事実が挙げられております。「モスクワ上空はテロ防止などのため、原則、飛行禁止」なのだそうで、紀一郎さんの希望が大学の学長から市長に伝わって特別許可が下りた裏にプーチン率いる諜報機関の動きがあるはずだという話なのですが……。

■父親は能天気にロシアの「友愛精神」に随喜の涙を流しているのかも知れませんが、御自身が得意の前言撤回した「政界引退」が次の総選挙で否応もなく実現する可能性が高いと思われるのが、日本の政治にとっては何よりの吉兆かも?これからも総選挙までの間に聞いていて恥ずかしくなる談話や妄想を夫婦揃ってどんどん披露し続けて地元の有権者を呆れさせ、落選を確実なものにして欲しいものであります。

解散・解党・憲法改正 其の九

2010-09-28 12:26:20 | 外交・情勢(アジア)
■テロとの戦いを「非対称の戦争」と呼ぶそうですが、極東情勢は正に冷戦時代が残る非対称の地域だと言えましょう。民主党のクラッシャー小沢が代表選中に米軍は世界各地で軍事拠点を後ろに下げているのだから沖縄に大規模な軍隊を置く必要はないという話をした時に、自民党の石破さんが「欧州と極東はまったく状況が違う!」と嘲笑気味に批判しておりましたなあ。

中国社会科学院日本研究所の馮昭奎研究員は20日までに、尖閣諸島近海で中国漁船が拿捕され、中国人船長が逮捕された件で、日本に対する最大の報復措置は「日本円を大量に買い、猛烈な円高を誘導することだ」との考えを示した。……中国では◆日本製品の不買◆希土類の対日輸出禁止◆日本企業への各種制限――などの措置を求める声が高まった。馮研究員は、さまざまな経済的報復措置の中でも、円高誘導が最も有効な方法との考えを示した。……東シナ海のガス田問題では、「日本側の測量を実力阻止する必要がある」と主張した上で「双方とも武力衝突は避けねばならない。武力で争うことになればおそらく、共倒れになる」と述べた。……
2010年9月21日 サーチナ 

■大軍拡中の核保有国と一戦交えて「共倒れ」に持ち込めるのなら、軍事的には褒められているようなものかも知れませんが、日本は兵器や作戦能力以前に憲法以下、奇怪な数々の法律によって自衛隊の手足が縛り上げられているのですから、「共倒れ」に持ち込むより一方的に殴られ放題で終わる可能性の方が高そうです。8月末のテレビ朝日『TVタックル』にひょっこり顔を出した安倍元首相は、腹痛も治って元気そうでしたが、そこで面白い比喩を披露しておりました。日本の自衛隊の特殊な立場をプロレスに喩えて「世界中の軍隊は拳固で殴ることと首を絞めることだけが禁じられ、それ以外の事なら何でもやるぞ!という立場である一方で、日本の自衛隊はドロップ・キックしかやりませんという立場にある」というような話でしたが、日本の外交も似たような特殊な立場にあるような感じがしますなあ。

■人民元が不当に安く操作されている話を棚に上げて、ハイパー円高を仕掛ける議論は頂けませんが、買い進めて来たドル資産が危ないと見て、チャイナはユーロに加えて日本の国債を買い集めているという話もありますから、油断をしていると「国債を売るぞ!」と脅される時がやって来る可能性も考えておく必要があるかも知れません。


……日本は(9月)19日、拘束中の中国漁船の船長に対して拘束期間をさらに10日間延長することを決めた。韓国メディアも同話題を大きく取り上げ、日本と中国の動向を続々と伝えている。……中国側は強く反発している。柳条湖事件から79年目を迎える18日には、北京の日本大使館をはじめ、全国各地で反日デモが行われた。中国政府は反日デモが過激にならぬよう抑制を呼び掛ける一方で、外務省による声明を発表し「このような結果はすべて日本側に責任がある」との立場を表明、船長の無条件釈放を強く求めた。 

■韓国に対して1910(明治43)年に日韓併合条約が締結されてから100周年に当たる今年8月22日を重視した菅アルイミ内閣は、竹島問題に言及した『防衛白書』の発表を先送りした上に『反省と謝罪』を表明する過剰な気遣いを見せましたが、9月18日の柳条湖事件79周年については無関心だったのは血で血を洗う代表選挙の真っ最中でそんな余裕は無かったからなのかも知れませんが、相手はそんな事情を理解してはくれないでしょう。それとは別の意味でロシアが突如として制定した9月2日の戦勝記念日に関しても知らん振りしてやり過ごしてしまったのも菅アルイミ政権の業績?であります。


韓国メディアは「日中の領土紛争が激化している」、「反日デモが中国全域に拡散・・・釣魚台紛争のせい」などの見出しで、日中の対立が高まりつつあり、日本製品の不買運動など反日感情が急速に広まっていると伝えた。さらに、東シナ海ガス田開発の協議に加え、閣僚級の交流会談が延期されていることなども相次いで報じている。なお、尖閣諸島について「日本と中国が領有権を主張している」と伝えているが、中には「釣魚台は日本が軍国主義の時代に強占したことで、日中間で領土紛争が続いている地域だ」との見方を示すメディアも見られる。また、メディアの表記において日本名の尖閣諸島や中国名の釣魚台との呼称がみられるなどバラバラだが、領有権をめぐる日中の主張についての詳細な言及は見られない。
2010年9月20日 サーチナ 

■北朝鮮の古めかしい魚雷攻撃で艦艇をへし折られて面子を潰された韓国としては、海上保安庁の巡視艇が衝突された事件の推移をじっと見守っていたことでしょう。経済的な結びつきでは日本以上に進んでいるとも言える韓国は、北朝鮮の親分格として北京政府を見ているでしょうから、日本がどこまで突っ張れるか?と日米韓の連携にも関連した深い関心があったと思われます。「処分保留」の釈放と決まった時、韓国メディアは強烈な表現で日本のふがいなさを嘆いているような印象もありましたから、北京政府にナメられるだけでなく周辺各国からもどんな侮蔑的な圧力を受けるか気が気ではありませんなあ。

解散・解党・憲法改正 其の八

2010-09-28 08:13:30 | 外交・情勢(アジア)
■今回の一件は藪を突いて蛇を出す結果になる可能性がありましょう。前のトボケタ首相ではありませんが、「学べば、学ぶほど」日本が生き延びるには「親米反中」が基本だなあ、と多くの国民が考え始める契機になるかも知れませんぞ。

事件に対する日本側の対応から、菅政権が鳩山前政権の「脱米親中」路線を大幅に修正したことが分かる。日米同盟を優先させ中国とは一定の距離を保つ「二等辺三角形外交」を目指したいということだろう。だが、今回の事件における菅首相の対応は事件の「突発性」を差し引いてもお粗末だった。民主党も日本はすでにアジアNo.1の経済大国ではなく、中国への高い依存度を考えれば敵対してはならないことを実は良く分かっているのだ。中国にとってみれば今の民主党は、「日米安保」を結び、72年に米国から尖閣諸島の返還を受けた自民党よりは断然扱いやすいと言える。だからこそ、中国側の日本に対する態度も依然「警告」のままで「対決」には至っていないのだろう。
2010年9月25日 Record China 

■「自民党よりは断然扱いやすい」などと褒められ?ますと、これまでに菅アルイミ首相からまともな安全保障政策の話を一度も聴いたことがない有権者としましては、怒る気にもなれません。一時、日米・日中関係を「正三角形」にしよう!と民主党の誰かさんが言った時に、拙ブログで日本を中点とする「正六角形」の一つのピースとしての「正三角形」ならば是認もできましょうが、近視眼的に対米・対中関係を等価として単純化するのは乱暴で危険な考え方だと書きました。ここで指摘されている「二等辺三角形」という比喩は短い底辺に日米関係が置かれて、長く伸びた斜辺の先端にチャイナが突き立てられているイメージかと思われますが、日銭稼ぎに夢中の経済界からはリーマン・ショック後の米国を遠くに置きたいという露骨な圧力が政府に掛かっている模様であります。「軽武装・経済優先」の吉田茂が敷いた路線が未来永劫に有効だと信じる根拠は分かりませんが、商売相手だけでなく資源やエネルギーまで一国に頼る偏った考え方の危うさを少しは考えてみるべきではないでしょうか?「今日のフジタは明日の我が社」ですぞ。


クローリー米国務次官補(広報担当)は24日……釈放されたことについて、「正しい決定」として歓迎する意向を示すとともに、日中間の緊張緩和に期待を示した。米政府は、尖閣諸島の領有権問題には介入しない方針だが、緊迫する日中関係を懸念。両国に対話を促し、事件の早期解決を訴えてきた。同次官補は「これは日本が取るべき決定で適切だったと考える」とした上で、「これが地域内の緊張を著しく緩和することになると考える」と述べた。また、「域内の航行の自由を支持し、今後も強調していく」として、中国側を暗にけん制した。……トナー国務省報道部長もワシントンで行った記者会見で、「問題が解決されたことを喜ばしく思う」と言明。……
2010年9月25 時事通信 

■新任の前原外相に対して「尖閣諸島は日米安保の対象」と言って喜ばせておいて、国辱ものの「釈放」を喜んでいる米国の姿勢を見れば誰でも右往左往する日本政府に圧力を加えたと考えるでしょう。日米安全保障条約では、仮に侵略を受けた日本がもじもじもたもたしているような場合や、米国にとって日本よりも重要な国が相手だった場合など、助っ人になるかどうかは「米国の勝手」という意味の条文が含まれておりますから、もたもたもじもじしている日本政府の頭越しに「退いてろ!」と悪い奴を仕留めてくれる必殺!仕事人や暴れん坊将軍みたいなイメージを持っていると、大変なことになるのは必定。


中国の温家宝首相は23日、当地の国連本部で国連総会の一般討論演説を行い、「主権や領土の一体性に関して屈服したり、妥協したりすることはない」と語り、尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件や、南シナ海の領有権問題で譲歩する考えがないことを示唆した。 
2010年9月24日 時事通信 

■いまだに日本の有権者の誰も意味が分からない「最少不幸社会」の文言を盛り込んだ関西風に言うと眠たい演説をしていた菅アルイミ首相に比べて、温家宝首相の単刀直入な演説は内外に向かってのアピール度は抜群だったと申せましょう。要するに「欲しい物は取るぞ!」という宣言なのですが、言外には「相手が愚かで弱い場合は」という条件が付けられているような気もしますなあ。今回の事件を憲法の問題にしてくれる政治家の出現が待たれます。

解散・解党・憲法改正 其の七

2010-09-27 15:48:58 | 外交・情勢(アジア)
■『日本新華僑報』の分析が続きます。

(4)中国政府は衝突事故を期に各国の態度を量った。米国は日本に肩入れすることなく、他の主要国及び東南アジア諸国も中国を批判することはなかった。逆に国家主権を守る中国の態度を称賛し、日本の振る舞いに対して疑念を抱いたほどだ。各国は明らかに中国を刺激することを避けている。もし軍を動員して尖閣問題を解決したとしても、各国の態度は変わらない。そのことがはっきりとした。 

■「中国の態度を称賛」した国の名前は寡聞にして存じませんが、援助を受けているアフリカの某国あたりのことでしょうか?まるで北朝鮮の宣伝報道みたいですが、「日本の振る舞いに疑念を抱いた」というのは、逮捕・拘留ではなく「処分保留」で「釈放」してしまったことであるなら、息を潜めて事態の推移を見つめていた関係諸国が呆れ返って「日本は何をやっているんだ?!」と返答不要の疑問を持ったという話ならば本当でしょう。

■「もし軍を動員して尖閣問題を解決したとしても……」の下りは、日本が世にも珍しい憲法を後生大事に守っていて「軍隊」を持っていない事を承知の上で書かれているのなら、チャイナが軍事的に尖閣諸島を占領して「専守防衛」の自衛隊を蹴散らしてしまっても大丈夫、という恐ろしい話なのでしょうなあ。もう憲法前文に書かれた「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することがちょっと難しくなったと正直に表明しては如何でしょう?現場の海上保安庁の皆さんに外交問題の重荷まで押し付けるのも、もう限界ではないでしょうか?勿論、その後ろに控える海上自衛隊も手枷足枷で身動きが取れずにいるのも実に変な話です。


5)衝突事故は北朝鮮情勢の緊張緩和をもたらした。哨戒艦沈没事故以後、米韓は頻繁に合同軍事演習を繰り返している。中国は米韓を刺激することを避けてきたが、それは決して譲歩を意味したわけではない。衝突事故を通じて米国の注意をひきつけることで、朝鮮半島の安定と北朝鮮労働党代表者会の開催を有利にする効果があった。
以上の通り、今回の衝突事故は一石二鳥どころか、一石五鳥という大きな成果をもたらし、中国の国家利益保持に貢献した。
2010年9月23日 Record China 

■北朝鮮が「代表者会」を開催できないのは、将軍様の病状が悪化して突発的な椿事や事件が起きる惧れがあるとか、噂される世襲候補が若過ぎたり別の候補も完全に消えたというわけでもないとか、今年の大洪水が独裁体制の崩壊の引き金になりそうだとか、可哀想な国内事情があってのことだと言われていますし、米韓両国の合同軍事演習も軍部の暴発を牽制するのが目的で代表者会議の開催を妨害するためではないでしょう。こんな牽強付会・我田引水の分析で恩を着せられては北朝鮮も不愉快でしょうなあ。

■9月24日に香港の政治学者、林泉忠という人が「日本の民主党は対中政策を転換させたのか?」と題した記事をブログサイトに発表したそうです。/font>

……事件前に公表された2010年度版防衛白書で日本は中国を仮想敵国と明確に位置付け、事件後に発足した菅直人首相の改造内閣では対中強硬派の前原誠司氏が外務大臣に任命された。民主党は対中政策を転換させたのか?その背景とは?中国はどのように対応すれば良いのか。…… 

■代表時代に「現実的な脅威だ」と名指しして来た相手ですから、懸念する気持ちも分かりますが、元々、寄せ集めの民主党政権に「転換させる」ほどの外交政策があったとは思えないのですが……。前の代表・首相が13年も掛けてまとめた普天間基地の移設問題を「最低でも県外!」と向こう見ずな寝言で大混乱させてしまったのは日米同盟を「転換」させ兼ねない騒動ではありましたが、挙党一致で寝言を実現しようという動きは見えず、最後には「公約ではない」などと言いだしっぺの首相本人が尻に帆掛けて敵前逃亡したのでしたなあ。

■今年度の『防衛白書』に関しては、チャイナが目くじら立てて怒って見せなくても竹島問題への言及があるのを嫌って、お詫び作文を用意していた仙谷官房長官が公表の日程を遅らせて韓国に気遣ってみせた事で、北方領土問題で攻められているロシアが日本政府のダブル・スタンダードを言い立てて来るぞ!と休職外交官の佐藤勝さんが警告を発していましたが、実行支配された竹島を譲るのなら東シナ海は俺のものにできるぜ!とチャイナが思わない方が不思議でしょう。仙谷さんは後に「欠地王」ならぬ「欠地官房長官」として歴史に残る可能性がありますなあ。


中国がこれほど厳しい対日報復措置をとった理由は、
▽日本に最大レベルの警告を発するため。東シナ海ガス田問題にも波及することを恐れた
▽防衛白書で中国を仮想敵国としたことで、両国の戦略的互恵関係の構築が頓挫した
▽米国が中立の立場を止め、日米で年内に共同統合演習として「離島奪還」訓練を行うこと
▽菅改造内閣で「親米反中」の前原外相が就任したこと―の4点だ。 

■本来ならば尖閣諸島の領有と国際海洋法に基づくEEZの設定問題は同じ根っこから生え出しているものでしょうから、日本側が尖閣とガス田を一括して安全保障問題の最重課題にしてしまうと、昔懐かしい帝国主義時代かもっと昔の春秋戦国時代に逆戻りして、終戦の誓いをした日本も冷戦構造の崩壊に対応して安全保障政策を大転換させずに怠けていたことを悔いて、新しい時代の「戦争」に対応できるように変身してしまったらどうしよう?と「仮想敵国」ならば心配するでしょうなあ。

解散・解党・憲法改正 其の六

2010-09-27 15:48:42 | 外交・情勢(アジア)
■さらに「日中関係全般に影響が及ばないよう戦略的互恵関係という観点から、中国側が冷静かつ慎重に対応することを期待する」とも付け加えて違法行為を調べて裁く司法権は日本側にあるのだから「冷静かつ慎重に対応」しなさいよ、と至極真っ当なことを言っておりました。ただ、逮捕の2日後、10日の金曜日に楊潔チー外相の抗議を皮切りに5回も呼び出しに応じる必要があったのかどうか、この点は疑問が残ります。しかし、結果的に丹羽大使は日本政府から梯子を外されてしまったことになりますから、今後の仕事に支障が出るでしょうなあ。

検察幹部も「外務省から、起訴した場合の日中関係への影響などについて意見を求められた」と話し、双方で早い段階からやりとりをしていたことがわかる。その際、起訴に向けた表立った異論はそうなかったとみられる。政府内に「迷い」が生じたのは、やはり19日に船長の拘置延長が決まった後だったようだ。船長釈放は、結果として日米首脳会談直後というタイミングになった。このため、「米国からこれ以上の日中関係悪化について、いいかげんにしろ、と圧力がかかったのでは」との指摘すら出ている。 

■元々、挙党一致の安全保障政策を持たない民主党政権ですから、出だしは「あるべき」理想論を振りかざして勇ましく一歩を踏み出して、あちこちから批判や疑問が出て来たら対応不能になって右顧左眄、ゴールどころか落とし所さえ見つからずに尻尾を巻いて「無かったこと」にしてほっ被り、何故か衆議院は解散しないことだけは挙党一致で決まっているらしいので、行き詰ったらまたぞろ代表の首を挿げ替えて凌ぐことになるのか?今回は仙谷官房長官が男気を示してすべてを背負って事を収めるのか?でも、「検察が決めたこと」と既に丸投げしてしまっていますなあ。


政府・民主党内でも、官邸の判断に対する評価は分かれる。「中国ではスパイ容疑は最悪、死刑が適用される。4人の人命がかかっていた」との危機感から理解を示す声がある一方、「レアアース問題は、世界貿易機関(WTO)に提訴すれば中国は負ける。ごり押しすれば勝てる、と中国にまた思わせただけだ」といった批判も多い。「菅も仙谷も、外交なんて全くの門外漢だ。恫喝され、慌てふためいて釈放しただけ。中国は、日本は脅せば譲る、とまた自信を持って無理難題を言う。他のアジアの国々もがっかりする」。党幹部はうめいた。
2010年9月25日 読売新聞 

■菅政権を「恫喝」したのは北京政府だけではなく、日本の財界からも「大切なお客様」を失うことを恐れて司法権を放棄して外交政策を捻じ曲げても平気という無責任な声が押し寄せていたとか……。


2010年9月23日、日本華字紙・日本新華僑報は、尖閣事件の対応で中国は初めて大国としての姿を見せたと伝えた。以下はその抄訳。……問題を子細に見ていけば、漁船衝突事故は中国海軍の遠洋展開に向けてのシグナルであった。日本人は完全に中国の術策にはまり、振りまわされただけだ。……
(1)尖閣諸島付近での衝突事故や拘束は今回が初めてではない。従来、中国は日中関係の大局を守る立場から大事件にはしないでいた。今回は5度にわたり日本大使を召喚するなど、中国外交史上空前の強硬な対応を見せた。
(2)大一統(領土の統一)の伝統に基づく、中国の領土保持を重視する考えは他国には理解しがたいものかもしれない。近年の国力増強に伴い、中国は核心的利益をさらに重視するようになった。その範囲はすでに台湾、チベットを超えている。
(3)北朝鮮の核、東シナ海及び南シナ海、中印国境の領有権など中国外交はいくつかの問題を抱えている。国民の不満をどうにかして解き放つ必要があった。日本を相手とする東シナ海問題が中国にとって最も有利なものだった。台湾問題の解決にも有利に働く。漁船衝突事故以後、中国と台湾は合同の軍事演習を実施。軍事分野の信頼性確立に重要な一歩を踏み出した。 

■(3)に出ている「合同軍事演習」は本当のことで、9月16日の午前、廈門(アモイ)・金門島の周辺で実施された救助活動を想定した陸・海・空軍が参加して合同演習が行われています。これは史上初のことで一部では「快挙だ!」との声も出ているほどだそうですが、目的は「救助活動」ですから参加したのは大陸の主要船舶9隻とヘリコプターが2機で、台湾は主要船舶5隻とヘリコプター1機という小規模なものだったそうです。日本に拿捕された両国の漁船を軍事力で奪還する演習ではないので誤解のないように……。

■「台湾・チベット」を完全に取り込んでしまったような話には強い違和感を覚えます。ぶっ壊れるかも知れない北朝鮮は日本にとっても大問題ですが、「南シナ海」問題はアセアン諸国、「中印国境」問題はインド、どちらも日本が積極的に一定の関与をしておくべきテーマではなかったのか?これは長過ぎた自民党時代の負の遺産と言えましょうが、政権交代後の民主党政権は負の遺産を何倍にも大きくしているようなものですから、大規模な政界再編による政権交代が急がれましょう。

解散・解党・憲法改正 其の伍

2010-09-27 09:19:58 | 外交・情勢(アジア)
■仙谷内閣をベースに論功行賞人事と菅アルイミ首相の情実人事を組み合わせた奇怪な新内閣には、お赤崎トミ子参院議員の国家公安委員長就任という別の時限爆弾も仕込まれているのが心配であります。海上の次は陸上で日本の治安や国益が失われてしまうと危惧する声が出ておりますぞ!『週刊新潮』9月30日号には慰安婦問題にも詳しい現代史家の秦泰彦さんが韓国で行われていた通称「水曜デモ」に2参加した前科を持つ岡崎議員について「……直接、大使と話せるのに、それもせずに元慰安婦と一緒になって自国の大使館に向かって拳を振り上げるなんて……」と嘆息をつき、初代内閣安全保障室長の佐々淳行さんも「……命がけで日本国民を守っている全国25万人の警察官の士気は低下してしまいます」と警鐘を乱打しているという記事が掲載されております。

■海での傍若無人な行為が黙認されるのなら、陸に上がって暴れられても相手によっては手を出せなくなるかも?特に日の丸と君が代が大嫌いな人らしいので、日本の何処かで暴力的な反日デモが起こったら、取り締まるどころか一緒になって騒ぎそうな人のようですから心配なことです。この人は仙谷官房長官とは旧社会党時代からの「盟友」だそうですから、菅アルイミ首相を「菅の野郎」と呼んで顎で使える官房長官が支配している内閣が何をするのか、非常に心配なところです。


民主党代表選での再選、内閣改造・党役員人事を経て、ようやく本格的な政権運営に着手したばかりの菅首相。「中国に譲歩した」と見られて再び世論の支持を失う失態は、できれば避けたかった。首相がそれでも「政治決断」を選択したのは、中国の反発の強さが当初の予想を超えていたためだ。19日の拘置延長決定後、中国は、20日に日本人4人を拘束、21日にはレアアース(希土類)の対日禁輸……。日本側はこれらを公表しなかった。だが、ニューヨークにいた温家宝首相は21日夜、在米中国人約400人が出席する会合で、船長釈放を要求する異例の動きに出た。これが、官邸内に広がりつつあった「このままではまずい」という思いを、政府の共通認識にまで押し上げるきっかけとなった。 

■衝突事件が発生してから逮捕に踏み切るまで13時間を要しているので、その舞台裏が徐々に明らかにされつつあります。週明けの週刊誌が競って内幕を暴いてくれるでしょうが、歴史的な意味を考えれば菅アルイミ内閣の支持率など比べる必要もないほどちっぽけな物だということだけは確かでしょうなあ。クラッシャー小沢を悪役に仕立て上げ、特異な換算方法によって「大差」で勝ったように報道したマスコミもありましたが、どこを見回してみても今の菅内閣を熱狂的に支持する人は居ないでしょうし、次の代表・首相候補と目される前原国交相や岡田幹事長が今回の腰砕け外交の惨劇に係わった以上は、民主党は「解党」に向かって転がり始めてたと考えるべきでしょう。

■連立相手と噂されて裏で接触交渉が続いているらしい公明党と社民党が、頼まれもしないのに「釈放」を認めて賛同していますから、部分連立で参議院を乗り切るどころか、国会が始まる前から一連托生で公明党は半永久的に与党に加わる可能性は消え、いよいよ社民党は新内閣に紛れ込んだ残党共々政治家としての命脈が切れてしまうかも?


「あそこまで強硬にやるとは……。海上保安庁の船長逮捕の方針にゴーサインを出した時、甘く見ていたかもしれない」。政府関係者は、そもそも「初動」に判断ミスがあった、と苦々しげに振り返る。菅政権の政治判断の背景には、郵便不正事件をめぐって大阪地検特捜部の主任検事が最高検に証拠隠滅容疑で21日に逮捕されたことで検察の威信が低下し、「今なら検察も言うことをきくだろう」との思惑が働いていたとの見方がある。実際、船長以外の船員と船を中国に帰すにあたっては、「外務省が検察にかなり強く働きかけていた」と証言する日中関係筋もいる。 

■衝突して来た漁船本体と乗組員14人を帰してしまったのは9月13日でした。衝突事件の証拠物件その物を手放したのですから、北京政府は問題はすぐにも解決すると判断したでしょう。何せその前日の12日(日曜日)午前零時には、外交を統括する戴秉国・国務委員(副首相級)が丹羽宇一郎・駐中国大使を中国外務省に呼び出して「重大な関心と厳正な立場」と脅しを掛けて、日本側に「賢明な政治決断」と乗組員と漁船の早期返還を45分間もねちねちと要求したのに対して、丹羽大使は日本政府の決意を信じて「今回の事件が漁船による違法操業に伴う公務執行妨害事件で厳正に国内法に基づき粛々と対応するとの立場は変わらない」と強調して立派に「領土問題は存在しない」との日本側の主張を伝える仕事をしていたのでした。

解散・解党・憲法改正 其の四

2010-09-27 06:38:39 | 外交・情勢(アジア)
■政府は汚れ役を検察に押し付け、政府のリーダーはニューヨークで報告だけを受けて誰が書いたか知らない作文を記者の前で読んでいたようですなあ。

中国外務省は25日、尖閣諸島沖での漁船衝突事件で処分保留のまま釈放された……船長が帰国した後、「日本側は船長らを違法に拘束し、中国の領土と主権、国民の人権を侵犯した」と強く抗議する声明を発表し、日本側に謝罪と賠償を求める方針を明らかにした。……「釣魚島と付属の島が中国固有の領土で、中国は争う余地のない主権を有している」と改めて強調。「日本側の取った司法措置はすべて違法で無効で、日本側はこの事件について中国側に謝罪と賠償をしなければならない」と指摘した。その上で「中日両国が近隣として、戦略的互恵関係を発展させる方向を堅持することは両国民の利益に合致する。双方が対話と協調を通じて両国間の問題を解決し、両国関係の大局を維持するという中国側の立場に変更はない」と強調した。 
9月25日 時事通信 

■「対話と協調」を一切拒否して言いたい放題・やりたい放題の嫌がらせをしておいて、御丁寧に「謝罪と賠償」まで要求しているのですから、国民としては静かにチャイナ商品のボイコット行動を密かに「粛々と」始めるしか意志表明の方法は無いかも知れません。何処かの国のように某大使館にデモを掛けて国旗を踏んだり焼いたりして怒声を張り上げるとか、公館や学校に石やパチンコ玉を投げ込んだりするより、早期の解散総選挙を期待して明確な安全保障政策を掲げ堂々と「憲法改正」に言及する政党の出現を待つ方がよろしいかと思います。これまで以上に買い物の際は商品の製造元表示をじっくり読むことにしましょう。

■初の国連総会に出席するというのに菅アルイミ首相は出発する時から元気がなく、タラップ上から振り返って振る手も縮んでいましたが、出発間際まで対北京政府の対応に苦慮していたことが原因だったようです。


「『超法規的措置』は、取れないのか」
22日の訪米を控えた菅首相は、周囲にいらだちをぶつけた。沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で、中国の対抗措置の報告が次々に上がってきていた。首相は「民主党には(中国で副首相級の)戴秉国(国務委員)と話せるやつもいない。だからこういうことになるんだ」とこぼした、と関係者は語る。首相とその周辺が中国人船長の扱いをめぐる「落としどころ」を本気で探り始めたのは、船長の拘置期限が延長された19日以降のことだ。この日を境に中国政府は、日本人4人を拘束し、レアアース(希土類)の対日輸出禁止の動きに出るなど、本格的な「報復カード」を相次いで切った。実際に「船長釈放」に動いたのは、仙谷官房長官と前原外相だったとされる。23日朝、ニューヨーク。日中関係の行方を懸念するクリントン米国務長官と向かい合った前原外相は、こう自信ありげに伝えた。
「まもなく解決しますから」
那覇地検が船長を釈放すると発表したのは、その半日余り後の日本時間24日午後2時半だった。東京・霞が関の海上保安庁に、寝耳に水の一報が入ったのは、そのわずか10分ほど前。 

■領土問題が火を噴く危険性が高い「逮捕」を決意しておいて、事が縺れたら検察に責任を押し付けて「釈放」させることが「国内法に従って粛々と進める」という意味だったのか?!そんな人物に外相などやらせて大丈夫なのでしょうか?海上保安庁の「ビデを観た」と前原前国交省がテレビカメラの前で語った時、民主党代表を自任せざるを得なくなった「偽メール事件」を思い出した人も多かったのではないでしょうか?完全なる偽物だったメールを見て「本物だ」と断言した時の前原代表の冷めた口調と今回の「証拠ビデオ」を有力な証拠だと言った時の口調がそっくりでしたから、トンデモない終わり方をするのではなかろうかと嫌な予感がしたものです。


「戦争になるよりはいい。このまま行けば、駐日大使の引き揚げ、国交断絶もありえた」――。首相に近い政府筋は24日夜、船長釈放に政治判断が動いたことを、周囲に苦しげに認めた。「那覇地検の判断なので、それを了としたい」仙谷官房長官は24日夕の記者会見で、ひたすら「地検の判断」を繰り返し、政治の介入を否定した。柳田法相もこの後すぐ、法務省で記者団を前に「法相として検察庁法14条に基づく指揮権を行使した事実はない」とのコメントを読み上げた。質問は一切受けつけなかった。…… 

■「内閣の一員」という立場を前面に押し立てれば、政治家個人の資質が暴露される危険は無くなり、官僚が卒なく上手に書き上げた「コメント」を読み上げて「質問は一切受けない」で任期を全うすれば済む、というのは自民党政権が有権者からそっぽを向かれ始めた頃の醜態を再現しているようなものです。三権分立を便利に使って「検察の判断」を金科玉条にするのなら、大阪地検の大失態にも目を瞑って組織防衛用に作られた不埒なシナリオを黙認するのでしょうか?検察と抱き合い心中を覚悟で法務省がバレバレの田舎芝居を続けるのなら日本の司法は本当に崩壊してしまいそうですなあ。

解散・解党・憲法改正 其の参

2010-09-27 06:38:24 | 外交・情勢(アジア)
■そもそも船長の逮捕を決定したのは外務大臣に横滑りする前の前原国交相だったと言われていますが、外相就任直前に現場の石垣島に行って衝突された巡視艇に乗り込んで証拠のビデオ映像もしっかり見て、本気で日本の国内法に従って「粛々と」事を進めるぞ!と明言したものでした。でも、逮捕決定当時から仙谷官房長官は反対の慎重姿勢を執っていたそうですから、八ッ場ダム問題・高速道路問題・JAL問題などなど多くの難問を取り散らかしたままで国交相のポストから引き剥がして外相に横滑りさせた仙谷人事も、今回の衝突事件が大きな要因になっているのだとしたら、何の知らない・何も出来ない菅アルイミ首相を横に措いて前原VS仙谷の対立抗争が表面化するかも? 

前原誠司外相は17日夜、外務省での就任記者会見で、東シナ海の天然ガス田「白樺」開発で中国が掘削に着手した場合の対応について「何らかの証拠が確認された場合は、しかるべき措置をとっていく」と述べ、中国側の動きをけん制した。ガス田施設では中国船が掘削作業用ドリルのような機材を運び込んだことが確認されているが、中国側は「修理のための作業」と説明している。前原外相は「しっかり事実確認をしていく」と述べたうえで、ガス田開発の条約締結交渉の早期再開を求めた。……
2010年9月18日 毎日新聞 

■「修理のための作業」の序でに掘削作業の準備も進めて、日本政府に文句を言われたら、今回の衝突・逮捕・釈放の屈辱を蒸し返してねちねちと日本側に責任を押し付けて本命だったガス田開発を強引に進めてしまうような気がしますなあ。いくら前原新外相が「しかるべき措置をとる」などと言っても、国内法に従って今回の事件を処理できなかった日本ですから、結局は何も出来ずに指をくわえて見ているだけの話に終わるようで、今から落胆する心の準備をしておかなければならないかも?
 

那覇地検が……中国人船長を処分保留で釈放する決定を公表したことに24日、与党・民主党からも失望や疑問の声が相次いだ。党代表選後、内閣支持率の上昇に勢いを得た菅首相だが、中国の圧力に屈服した格好の今回の決定は、今後の政権運営に大きな影響を与えそうだ。菅直人首相の求心力低下にもつながり、民主党代表選で首相に敗れたばかりの小沢一郎元幹事長の「復権」を早めることになるかもしれない。「内閣支持率はがた落ちでしょ。10ポイントは落ちるんじゃないか。いや、60%から40%に20ポイント落ちるかも。首相も仙谷由人官房長官も謙虚さが足りない」民主党中堅幹部は釈放決定のニュースを聞いて、天を仰いだ。 

■心優しく平和ボケ気味の日本国民が、一体、何を期待して菅アルイミ首相の政権を支持しているのか?と不思議に思っていたら、単に怪しい小沢金権政治になるよりは、少なくとも悪い事をしない(出来ない)印象のある菅アルイミ首相で我慢しようじゃないか、と無いもの強請りを諦めて妙に達観した民意が積み上がっていただけのようです。ただ総理大臣の椅子に1日でも長く座っていたいだけの菅アルイミ首相の周辺では、それぞれが長年持ち続けている「虚仮の一念」やら「三つ子の魂百まで」やら、マニフェストにも各種演説にも現れない奇怪な政治信条に基づいた言動が大小の摩擦や衝突を起こし続けているようです。


仙谷氏らは検察当局の判断だと強調するが、世論の不満や野党などの批判は「政治主導」を掲げる首相らに向かうのは必至だ。党内のリベラル系議員からは「中国も怒っているし、やむを得ない決定だ」(中堅)と擁護の声もあるが、首相支持派の中堅議員は「これは禍根を残す。首相や仙谷氏が決めたといわれても仕方ない」ともらした。松原仁衆院議員、金子洋一参院議員ら保守系有志5人は「法秩序を蹂躙する」と抗議し、釈放の撤回を求める緊急声明を出した。 

■何の実も無い不毛な内輪の痴話喧嘩でしかなかった代表選挙は、予想通りに民主党を政権政党として脱皮もさせず、鍛えることもなく終わったのでありました。元々、菅VS小沢の対決は最も生臭い政治家としての生き残りを懸けた権力闘争でしかありませんでしたから、綱領なき政党の代表を選ぶ儀式らしく内政・外交両分野で具体的なビジョンも法律や制度の設計図も提示されずに終わり、鳩山サセテイタダク内閣を吹っ飛ばした沖縄の基地移設問題の善後策も語られず、党の最大の弱点とされている安全保障政策は封印されたままで菅アルイミ内閣は「ほんと~に、あっりがとございま~す」の軽い再出発をしたのですから、逮捕・釈放のどたばた劇を演じるのは当然でありましょうなあ。


代表選で小沢氏を支持した平野博文前官房長官は「おかしい。勾留延長して途中で(釈放決定)というのは、どういう理由なのか、はっきり説明しないといけない。何のために延長したのか意味がよく分からない」と指摘した。同じく小沢氏を支持した山口壮政調筆頭副会長も「国益の観点から筋が通らない」と決定を批判した……小沢氏は24日昼、都内のホテルで開いた政治資金パーティーのあいさつでこう述べた。「今度こそしばらく静かにしている。ただ、天命が下ればその時はまた、命を懸けて国のためにがんばりたい」……小沢氏は「(代表選は)マスコミのネガティブキャンペーンなど逆風の中だった」とこぼしたが、支持者からは「次は勝てるぞ!」とのかけ声が飛んだ。パーティーの直後に流れた中国人船長釈放決定は、小沢氏にとって「天命」につながっていくかもしれないニュースといえる。昨年暮れに党所属議員140人以上の大訪中団を率いたような小沢氏が政権の責任ある立場にいれば「今回の事件に適切な対応をとったかは疑問」(菅支持の党幹部)だ。しかし、「一兵卒」として菅政権に距離を置いたことが結果的に、小沢氏に有利に働くことは十分あり得る。
2010年9月25日 産経新聞 

■誰も聞いてくれない演説をするために菅アルイミ首相は渡米中、就任直後の前原外相も張り切って後を追い、海上保安庁を管轄する馬淵新国交相は23日に奈良市で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の観光相会合に出席して、チャイナから出席した国家観光局の祝善忠副局長との「会談を辞退」「歓迎レセプションを欠席」と陰湿な嫌がらせ合戦を展開していたものの、前任の前原大臣の決意と意志は受け継いではいなかったようです。新任の柳田稔法相は検察特捜部の大不祥事に対応やら拉致被害者家族との面会などの合間を縫って仙谷官房長官に2回も呼び付けられ、伝家の宝刀「指揮権発動」を匂わされて慌てて検事総長に相談に走らされたとの噂もあって、24日の段階で「指揮権発動はない!」と必死に言い張っていたそうな。

■あの代表選挙の大騒ぎの中、人が変わったようににこにこ顔でテレビ局を渡り歩いて露出度を急に上げたクラッシャー小沢が、どこかの番組で「自分は中国の首脳に尖閣は日本の領土なんだ」としっかり直接言って来たんだ!と早口で話していた記憶があります。大訪中団を引き連れて北京に乗り込んだ姿が報道された時、「人民解放軍の野戦軍司令官」発言は聞きましたが、尖閣諸島の問題にも言及していた事はまったく知りませんでしたから、エッと驚いた記憶なので間違いはないと思います。もしも、代表選で勝っていたら、組閣前の衝突事件ですから前原国交相が同じ対応をしたでしょうが、さてさて「野戦軍司令官」はどんな姿勢を執ったことやら……。今更、火中の栗を拾わなくてよかった!と喜んでいるような側近ばかりなら、やはり首相にならなくて良かったと国民は改めて安堵すべきなのでしょうか?

解散・解党・憲法改正 其の弐

2010-09-26 14:36:19 | 外交・情勢(アジア)
■今回の衝突事件と釈放で、一体、誰が得をしたのか?と考えると、チャイナの人民解放軍だとか世界の警察官を自任する米国だとか、さまざまな解釈が出ているようですが、逆に損をした方を考えますと取り返しのつかない大損をしたのは菅アウイミ首相を選んでしまった日本の国民であるのは間違いはないでしょう。また、自民党時代に起こった尖閣強行上陸事件の時の逮捕後即刻強制送還と同様の対応を予想して裏切られた北京政府も、国内に溜まっている不気味なガスが発火して大爆発を起こすのを恐れて形振り構わぬ対抗手段を連発して、東南アジア諸国ばかりでなく世界中に「ああ、やっぱりねえ」と思われてしまった点では、ちょっと損をしたのかも知れませんが、転んでもただで起きない逞しさと強かさは健在なようで、阿呆な日本政府に手を焼きつつも災い転じて福となすことは忘れていなかったようです。

東シナ海の天然ガス田「白樺」にある中国側の洋上施設に、掘削作業のドリルとみられる機材が運び込まれたことが16日分かった。外務省関係者らが明らかにした。同日時点では付近の海面に濁りが見られないことから、掘削作業には着手していないとみられる。日本側は外交ルートを通じて中国側に、掘削作業着手と誤解されるような行動を慎むよう警告した。 

■9月7日に衝突事件が発生して翌8日には船長を公務執行妨害容疑で逮捕!そして19日には石垣簡易裁判所が船長の拘置延長を決定する前後に観光や政府間協議のキャンセル話が連発されて行ったわけですが、9月11日の段階で北京政府の外務省から「ガス田共同開発交渉の延期」が発表されている事が今回の外交敗戦の肝だと思われます。人命軽視のお国柄から考えて、船長一人の身柄を奪還するための大仰な猿芝居は単なる煙幕で、鳩山サセテイタダク前首相が日米同盟に亀裂を生じさせながら「友愛の海」発言をしてから練り上げた既成事実を積み上げる周到な計画を、ここぞとばかりに発動させたのではないでしょうかな?

■もしもそうならば、「掘削作業着手と誤解されるような行動」などと奥歯に物が挟まったような警告をしている段階ではもはやないという事になりますぞ。


白樺は中国側が単独で開発を進めてきたが、08年6月に日中両政府が日本も出資することで合意、中国は掘削作業の着手を見合わせてきた。沖縄県・尖閣諸島付近での海上保安庁の巡視船と中国漁船との衝突事件を受け、中国側が態度を硬化させた可能性もあるとみられる。政府関係者は「洋上施設でどのような事態が起きているのか分析中」としながらも「いかなる作業が始まるのか、強い関心を持っている。掘削が始まれば、非常に危ない事態といえる」と警戒感を示し、中国側の動きを注視している
2010年9月17日 毎日新聞 

■既に北京政府は領土問題の存在を世界中に広く知らせる目的を、国連総会の場というこれ以上は望めない絶好の場所を使い、選りによって自国民の人命救助みたいな話に仕立てて舌先三寸で尖閣諸島を領有してしまったような、実に不思議な流れが出来てしまったようであります。3000人とも言われる動員を掛けて芝居っ気たっぷりに温首相が「即時、無条件釈放」という日本の法治体制をぶっ壊す要求をぶち上げた国連で、わが国の菅アルイミ首相はオバマ米国大統領の演説の後に閑古鳥が寂しく鳴いている会場で、しょぼくれた顔を晒してぼそぼそと下手な演説をしていたとか……。

解散・解党・憲法改正 其の壱

2010-09-26 11:39:56 | 外交・情勢(アジア)
■昔、昔、大英帝国という大きな国にネヴィル・チェンバレンという首相がおりました。大学で科学と冶金学(金属工学)の学位を得た理系の首相だったそうですが、オーストリアを腕力で併合したドイツのアドルフ・ヒトラー総統とイタリアのベニート・ムッソリーニの仲介で話し合いを持ち、1938年9月29日に「ミュンヘン協定」という悪名高い宥和政策を実現した歴史上の人物であります。この協定によって旧チェコソロバキアのズデーテンラントがナチス・ドイツに与えて第二次世界大戦の始まりを1年先延ばしすることができたのでそうです。

■それから10年も経たない頃、大日本帝国は世界の主要国を敵に回して大きな戦争に負けそうになり、何を勘違いしたのか日露戦争で海と陸でこてんぱんにやっつけたソ連(ロシア帝国)に戦争終結の仲介役を頼もうかなあ?と本気で考えていたのだそうです。満洲に展開していた対ソ用の軍隊を国境から引かせて「刺激しないように」気を使っていたところ、相手は仲介役になるどころか中立条約を破って攻め込んで来たので吃驚仰天……。そんなまだ故事と呼ぶには新しい歴史の話をふと思い出してしまいますなあ。そうそう、チェンバレン首相の国には13世紀に現在のフランスにあった領土を失ったジョン欠地王(John the Lackland)と呼ばれた王様もいたことなどもいましたなあ。

■そんな事を思い出したのは、二期目に入って「これからが本格的に内閣が仕事をするぞ!」と有限実行内閣を宣言した菅アルイミ首相の内閣が、突如としてチャイナの船長を釈放してしまったと聞いて衝撃を受けたことが原因であります。これが本当に「有限実行内閣」の目指している政治であるなら、政権交代にうっかり期待して投じた1票を悔いている多くの有権者のためにも、一刻も早く衆議院を解散して欲しいと切に望む気持ちがいよいよ強くなります。

■「政権を執ったばかりで……」と自らを若葉マークを付けた初心者政権だと、一見、謙虚な姿勢を擬態に使い肝腎な時には無責任に開き直る悪い癖が治らず、とうとうそれを個人的に体現しているような「イラ菅」と陰で呼ばれる人物が総理大臣になってしまったのですから、一向に出口が見えない経済の危機的状況に対しては「経済音痴」と蔑まれ、外交政策となったら党を二分した代表選挙でも柱となる戦略的な構想は欠片も出せない体たらくでも、何だか怪しげな「政治とカネ」の問題を背負っているらしいクラッシャー小沢よりはマシかも?とか、カレンダーみたいに毎年総理を掛け替えているのは格好が悪いし戦前の嫌な思い出と重なるからとか、辛抱強い国民は気味が悪いほど高い支持率をマスコミに示しているのも仕方がないのかも知れませんが……。


9月7日、尖閣諸島(中国名:釣魚島)海域で操業していた中国籍漁船と日本海上保安庁の巡視船が衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害容疑で逮捕・送検された中国人船長を処分保留で釈放した。25日午前1時45分ごろに八重山警察署を出発した中国人船長は、車で石垣島空港に向かった。同午前2時12分ごろに中国政府が派遣したチャーター機に搭乗し、チャーター機は早朝5時ごろに福州市に到着した。……記者からの質問に対し、船長は「疲れたが、帰国することができて疲れが吹き飛んだ。皆の気遣いに感謝したい」と述べた。続けて船長は、「釣魚島は中国領であり、そこでの漁は合法であるはずだ。国家と共産党および中国人民に感謝したい」と述べ、拘置期間中、日本から過ちを認めるよう要求されたが、拒絶したと述べ、「釣魚島は何がなんでも中国領である」と主張した。
2010年9月25日 サーチナ 

■チャーター機に乗る時も降りた時もVサインを出した船長は、チャイナ側が着々と英雄に仕立て上げる猿芝居のシナリオに従って上手に振舞っているようにも見えますが、日本を発つ時は検察と警察ががっちりガードしていてマスコミは取材が出来ず、復建に到着した時も日本の報道陣には取材許可証が出されなかったそうですから、両国政府は情報操作のやり放題という状態であります。「何がなんでも中国領」というめちゃくちゃな主張を日本の司法当局に認めさせたかのような英雄譚が一人歩きされるのは、甚だ迷惑な話です。

■権威が地に堕ちて穴があったら入りたいのが今の検察当局ですから、仙谷官房長官からの電話一本で「処分保留」を決める間抜けな国賊役を押し付けられても断れないのでしょうが、検察側の発表によると決定の理由は「とっさに取った行為と認められ、計画性等は認められず、かつ、中国人船長には、わが国における前科等もないなどの事情」だそうですから、明日からでも「前科の無い悪いやつがとっさに」強盗に押し入って来たらどうしよう?と不安にもなりますが、一応、「みずきの乗組員が負傷するなどの被害の発生もなかった」から釈放するとも言われているので、陸の上にいる限りは日本の法律は国民の生命と財産を守ってくれそうではあります。

「友愛」の次は「冷静」 其の壱

2010-09-22 16:51:27 | 政治
■「友愛の海」は「紛争の海」と同義語だったと、鳩山サセテイタダク前首相は気が付いたでしょうか?

馬淵澄夫国土交通相は21日、中国国家観光局の祝善忠副局長の表敬訪問を受けないことを明らかにした。……表敬は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の一環として22日から奈良市で始まる観光相会合の際に行われる予定だった。観光相会合には21カ国・地域が参加し、経済成長戦略として観光振興策が話し合われ、23日に「奈良宣言」が採択される。祝氏の表敬は22日に予定されていたが、日本側が20日に辞退を申し入れた。 

■20兆円とも言われる国内に積み上がったままの需給ギャップに苦しんでいる日本ですから、チャイナからの団体観光客が「本物の日本製」の高級家電や化粧品を買い漁ってくれる姿を救世主か何かのようにマスコミが大きく取り上げたくなるのも分からないではありませぬが、あちこちの観光地からはチャイナからの客が傍若無人に振舞って困っているという話も小さいながら報道されているようですから、あまり手放しで熱烈歓迎を煽り立てない方が良さそうです。

■観光地の宿泊施設では備品の紛失に頭を抱えているという話は以前からも出ていたものですが、絶海の孤島を突如として自国の領土た!と勝手に言い出すお国柄は個人の行儀の悪さと根っこは同じなのかも知れませんから、暢気な外務省に任せておかず他の省庁も機会を捉えて国益に適うメッセージをどんどん発信するべきでありましょう。何せ今の民主党政権は「東シナ海を友愛に海にしたい」などという戯(たわ)けた寝言を公言してしまった前首相が残した負の遺産があるのですから……。


馬淵氏は……「外交上の課題を十分に理解しながら、諸般の事情で見合わせることにした。さまざまな対応を政府全体でしており国交省として判断した」とだけ説明した。国交相は海上保安庁を所管しているため、問題の拡大を懸念したとの見方もある。 

■国交相の前任だった前原外相は、交代直前に被害に遭った巡視艇に乗り込み「ビデオを見れば一目瞭然」と発言してしっかり仕事をして行きましたから、馬淵大臣も次の次の次くらいを狙って存在感を増しておくためにも就任間もない今のタイミングで、きっちりと自分の政治姿勢を示しておきたいところでしょう。党内の愚かな圧力に屈して腰砕けにならないようにご注意を!


一方、仙谷氏は21日午前の記者会見で「あまり偏狭で極端なナショナリズムを刺激しないことを政府の担当者として心すべきだろう」と発言。その後、馬淵氏の発言を知り、午後の記者会見で「馬淵氏と先ほど話をしたが、(中国への)対抗措置ではない。馬淵氏はクールダウンの方法として(祝氏と)お会いするのを遠慮したいという話ではないか」と説明した。 

■仙谷官房長官の発言は文法的に混乱していまして、てっきり「心すべき」政府の担当者というのは北京政府のことだろうと思っていましたら、どうやら被害を受けた日本政府のことを指していたようなので驚いてしまいます。今は亡き旧社会党の亡霊の声を聴いたような不気味な感じがしますぞ。馬淵大臣が会見を拒否したのが「クールダウンの方法」だと言うのなら、もしも会ってしまったら馬渕大臣が殴り掛かる心配があったようにも聞こえます。馬淵大臣は決して「遠慮したい」とは思っていないと信じたいところです。


菅直人首相も21日夜、記者団に「やはり冷静に対処することが一番重要だ」とコメント。玄葉光一郎国家戦略担当相は「日に日にエスカレートというのはあまり芳しくない」と述べた。日本政府のこうした「事なかれ主義」を尻目に、今回の事件を「領土問題」と位置づけようとする中国側は事態をあえてエスカレートさせようとしている。中国国内では、今後の対日措置として、東シナ海のガス田開発をめぐる条約締結交渉の白紙化が語られており、日本経済に打撃を与えるため円高誘導を唱える専門家さえいる。……みんなの党の渡辺喜美代表は20日午後、記者団に「菅内閣の日米同盟への覚悟と信念がどうなのか、中国が足元を見透かして揺さぶりをかけている。毅然たる態度で対応すべきだ」と指摘した。
産経新聞 9月22日

■こうなったら一刻も早く前首相を引っ張り出して「友愛の海」発言を大間違いでしたと公式に撤回する発言をしてもらい、どうせ政治生命は無くなったも同然なのですから日の丸の鉢巻でも締めて巡視艇が無理なら、使い切れない遺産の極一部を使って丈夫な船舶をチャーターして尖閣諸島を回遊して来たら如何でしょう?境界地域のガス田開発を領海問題と切り離して「共同で行う」と決めてしまった自民党政権にも責任がありましょうし、その後に出現した政権交代に興奮し過ぎた民主党代表がうっかり発表してしまった絵空事が重なり、菅政権になって防衛白書の発表を遅らせて「竹島問題」から逃げる姿勢を見せるという大失態が、チャイナの策動を誘引したような流れになっておりますから、今の日本に突破口は見つかりそうもありません。しかし、「仙谷内閣じゃないんだぜ!」と菅アルイミ首相が決然として前首相の間違いを批判して行動に出る姿勢を見せれば、多少は風向きが変わるかも?

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代表選挙の後始末 其の弐

2010-09-21 16:54:31 | 政治
■何だか長い便秘が治ったかのようなすっきりした表情で最後の?作り笑いで壇上に上がったクラッシャー小沢前幹事長と、先に上がって待っていた菅アルイミ首相の生気を失った硬く暗い顔との対象が強く印象に残った民主党の代表選挙が終わり、政治マスコミは一斉に改造内閣の顔ぶれを誰に頼まれたわけでもないのに一刻も早くすっぱ抜こうと、
中にはガセネタや噂まで混入させて嘘寸前の「独占情報」を競い合いましたが、蓋を開けてみれば菅内閣の真の支配者である仙谷官房長官が牛耳を執ってすべてが決まっただけのことだったようです。

■9月19日の讀賣新聞は、改造人事の直前に仙谷官房長官が周囲の者に漏らしたという言葉を短期連載特集の「再始動 菅内閣」に載せておりました。曰く「今回は入閣経験がないベテランを起用すればいい。だが、衆院選がいつあるかわからない。万が一の時は、また人事を刷新し、若手を前面に出せばいい」とのことです。一体、何を考えてこの国難に立ち向かう政府の舵取りをやっているのでしょうなあ?磐石の長期政権が約束されていた頃の自民党でも、こんな暢気な組閣人事はしなかったのではないでしょうか?大昔に旧社会党で同じ釜の飯を食った脱党仲間に対する厚い情愛は結構ですが、そんなノスタルジックな感慨に耽っていられる時代ではないでしょうに?!

■円高対策の為替介入も代表選を終えた新政権の宣伝用に先送りしておいて、遅ればせながら介入を実施してみたら仙谷官房長官が「82円台」という秘中の秘をペラペラと公表してしまうところをみると、菅アルイミ首相が掲げる「有言実行」内閣という目標の意味が恐ろしいほどよく分かりますなあ。今も反日騒ぎが盛り上がるチャイナに対して「刺激しないように」と、領海侵犯され巡視艇が喧嘩を売られた側の官房長官とも思えない発言をしている仙谷さんこそが、竹島問題に言及した防衛白書の発表を延期させ、代わりに韓国(北朝鮮含む?)に対するお詫び作文を書いて首相に読ませた張本人だったことが判明しているようですから、「有害実行」内閣の本性を露にして国民から愛想を尽かされ、それ見たことか!と選挙選で深めた党内亀裂に沿ってメリメリと音を立てて民主党が空中分解する日も近いのかも知れません。


民主党代表選で小沢一郎元幹事長を破った菅直人首相は、勇み立って着手した幹事長人事で早くもつまずいた。白羽の矢を立てた岡田克也前外相に一度はすげなく断られ、自ら出張ってどうにかして受け入れてもらう“難産”だった。……首相の政治行動はいわば「渦巻き」型であり、事に臨むに当たり、そのときどきの利害で結びついた「かりそめの同士」と乗り切ってきた面が強く、「菅直人のために」などという、心の琴線に触れ合って団結した「真の同士」が、そう多いわけではないためだ。…… 

■代表選挙中も誇れる実績は遠い遠い昔の厚生相時代に血友病患者の皆さんに謝罪したことくらいしか無い!という寂しい話をくどくどと述べていましたが、周囲から逆効果だから止めろと助言されて小沢攻撃と一緒に封印したそうですが、国民に語り掛ける首相の演説は、与党の悪口を並べれば済むだけの野党議員の攻撃とはまったく違うものだと御本人には分かっていないようです。それにあの薬害エイズの大事件で世間に登場した被害者の川田龍平氏が渡辺善美さんのみんなの党に入っているのも菅アルイミ首相に人望が無いからなのかも知れませんなあ。

■代表選が始まる直前に1年生議員を呼び集めてわざとらしい勉強会を開いた時も、顔と名前が一致せず手元に写真付きの名簿を置いていても名前を間違えられて腹を立てた人がいたという話もありますから、一匹狼の時代が長過ぎたのでしょうなあ。


代表選で首相支持に回った国会議員にしても、「反小沢」の一枚看板で結集したガラス細工の集まりであったという実態が、この一事をもってして、図らずもあらわになった。……
「このうちの誰がいいかな」
代表選の投開票が行われる前日の13日、首相の勝利を見透かしたように、首相支持派のある幹部は周辺に、3人の国会議員の名前を挙げて、枝野幸男前幹事長の後継者を相談している。そのリストには「反小沢」の御旗の下、代表選で足並みをそろえた岡田氏の名前はなかった。枝野氏の同世代が2人、あとの1人は、いわゆる中間派とされるベテランである。……くだんの幹部にしても、「3月危機説」を視野に入れ、再び代表選を迎えた際には、「岡田カード」を切り出して、小沢支持派と対峙するシナリオを描いているのは明らかだった。 

■この「幹部」が仙谷官房長官だったのかどうかは不明ですが、首相の周辺に既に使い捨て気分が漂っていると聞きますと、代表選に勝った時の菅アルイミ首相の暗い表情の意味が分かるような気もしますなあ。


川端達夫前文部科学相ら中間派の幹事長就任を求めていたある中堅から、「岡田温存」の理由をこう打ち明けられた。「『反小沢』勢力が次の代表選で担げる議員は、今の菅政権にどっぷりつかるべきではない。幹事長に就いたら首相と『運命共同体』になってしまう」そんな思惑は関係ないよ、と言わんばかりに、当の岡田氏は結局、「天命だ」と割り切って幹事長に就いた。 

■あの「天命」発言も妙に悲痛で重々しい響きがありました。絶大な力を持つ政権与党の幹事長になったというのに張り切っている表情が見られないのは、次の選挙での大敗を予感しているからとしか思えませんし、現体制のままの民主党のために果たしてクラッシャー小沢が再び選挙に全力を注ぐのか?選挙が近づけば先の参院選での大敗話が蒸し返されて、「菅では戦えない!」の大合唱が沸き起こり、神輿を交換する大騒ぎが起こりそうです。一体、何のための代表選だったのやら……。


そこで首相支持派には新たな思惑が交錯し始めている。透けてみえるのは、菅政権の行く末を見越した「世代交代」をにらんだ駆け引きである。党代表、幹事長を務めた政治経歴や、当選回数(7回)、年齢ともに岡田氏が「ポスト菅」の有力候補とみるのは党内の大勢である。といっても、菅政権が終焉を迎えたとき、党側で支えた岡田氏が名乗りを上げることに、異を唱える声が噴出する可能性は小さくない。……代表選の最中、首相支持派の別の幹部とは、こんなやり取りもした。「今回は首相を担いでも、そのうち支えている中枢の議員同士が争うことになりますね」「そんなことは分かっている。今は今、後のことは後のことだよ」
幹部は、前原氏らと同様、岡田氏の「次の世代」を担う議員である。ちなみに、この議員に「3月危機説」の話題を振ると、「そのときは岡田氏を擁立すればいい。でもうち(首相支持派)には、前原氏や野田氏がいる」と口にした。つまりは、一本化を目指すに当たり、決めきれないこともあり得ると示唆したようなものである。……
2010年9月19日 産経新聞 

■こうして党内事情ばかりが選考する政治的な混乱が続いて行く中で日本はどんどん衰退して行くのでしょうか?困ったことであります。

代表選挙の後始末 其の壱

2010-09-21 10:51:31 | 政治
■ながながとブログの開店休業状態が続きましたが、ちょっと夏のチベット高原に行っておりました……と書きたいところですが、残念ながらさにあらず、たちの悪い夏風邪が抜けず不快感に耐えている一方で、さらに症状を悪化させるような民主党の代表選挙が狂ったように暑い日本列島を席捲している様子を眺めていましたら、馬鹿馬鹿しくて本当に「開いた口が塞がらない」気分に落ち込んでしまったのでありました。

■単なる偶然だとは思いますが、選挙の空騒ぎが終わると同時に日本列島は一足飛びに秋の気配に包まれまして、あれはすべて晩夏の夜の夢だったのではなかろうか?と自分の頬を抓りたくもなります。100年に一度の記録的な猛暑で多くの犠牲者が出ているというのに、暑さがピークを迎える昼の前後に主要都市を梯子して立会い演説会を開催するというのも傍迷惑な話ではありましたが、所詮は(真偽不明の)党員や国籍不明のサポーターと党綱領も無い寄り合い所帯に集まりぶら下がっている議員諸氏が握っている票を奪い合う内輪の痴話喧嘩でしかないのですから、部外者は醒め切った目で高みの見物をするしかありませんでしたなあ。

■騒動に巻き込まれた投票権を持つ人たちも、怪しい電話が掛かって来たり投票用紙を脅し取られたり、不愉快な経験をしたとも聞きますが、取り敢えずは菅か小沢かの空疎な熱い喧嘩を「日本の総理を決める選挙」と称して結構楽しめたのかも知れません。しかし、「官僚依存だ!」「政治とカネだ!」と国家的危機とはまったく無縁の悪口の応酬に2週間も付き合わされますと、いよいよ気分は滅入って行くばかりでした。それを手を変え品を変え、何とか他社とは違った切り口と演出で稼ごうと努力したマスコミも、そもそも政策上の争点などまったく無いも同然の選挙なのですから、結果的には金太郎飴みたいな番組や紙面が連日連夜、垂れ流されていたような印象がありましたなあ。

■守勢の菅首相は現職総理としての公務・政務が最優先だと口では言っていましたが、実際には選挙期間中はぽっかりと政治空白が生まれておりまして、それを見澄ました如く円は駆け足で独歩高になるわ、東シナ海では一か八かの領海侵犯体当たり事件が起こるわ、「政治とカネ」の問題よりも重要で喫緊の課題が店晒しになっているのを知ってか知らずか、マスコミは「選挙の裏側」だの暗躍する氏名不詳の幹部連中の「本音」を垂れ流して大はしゃぎしておりましたなあ。

■マスコミ嫌いのクラッシャー小沢が仮面を脱いだのか新調して貼り付けたのかは存じませんが、にこにこ顔で朝のワイドショーにも御出演下さり、某テレビ局は身も世も無いほどの喜びようで、和気藹々と実に内容の薄い井戸端会議を放送していたようですし、安上がり番組の定番になっている「衝撃映像」や珍しい動物の特集みたいな扱いで、クラッシャー小沢の演説「風景」を物珍しそうに放送していたのも印象的でした。

■選挙が終わった菅アルイミ首相は相変わらず締りのない満面の笑みで「ほんとうに、ありがと~ございま~す」と軽薄な御挨拶をしておりましたが、あの瞬間に「日本は本当に大丈夫かいなあ?」とぞっとするほど心配になった方も多かったのではないでしょうか?一夜明けると1兆8000億円もの円売りドル買いの為替介入のサプライズがあり、一部には「絶妙なタイミング」と評価する声もあるようですが、どう考えても急激な円高が進んでも「慎重に見守る」としか言えなかったのは政府も選挙モードに突入していたからだろうとしか思えませんでした。

■選挙が終われば「ノーサイド」と言ったのはアノ鳩山サセテイタダク前首相ですから、最初から大嘘だとは分かっておりましたが、勝てば官軍の菅アルイミ首相はクラッシャー小沢と輿石参院会長に閑職の「代表代行兼最高顧問」のポストを打診して案の定相手にされなかったそうですが、輿石会長の支持基盤とされる日教組に矛先を向けた嫌がらせとも思える調査が始まるのだそうです。「政治とカネ」を声高に批判しても、政権交代が実現したのはクラッシャー小沢が古めかしい選挙戦術で掻き集めた議員の頭数が物を言ったことに間違いはなく、各種労働組合と並んで日教組の組織票もがめつく取り込んで議席数を膨れ上がらせてくれた御蔭で、ひ弱な寄り合い所帯の民主党が政権与党になり、自称オーナーの鳩山代表がうっかり総理大臣になって大恥を掻いてくれた御蔭で、誰でも鳩山よりはマシだろうという空気が生まれてクラッシャー小沢の豪腕と画策で代表の座に返り咲けたのが菅アルイミ代表だったはずなのですが……。


北海道教職員組合(北教組)で勤務時間中の組合活動や法令違反が相次いでいる問題に関連し、会計検査院が北海道を含む20前後の道府県の教職員組合に対して勤務時間中に無許可で組合活動を行う「ヤミ専従」の有無などに関する調査を行う方針を固めたことが19日、分かった。公立学校の教職員に支給される給与は、国が義務教育費国庫負担金として3分の1を補助している。これまで会計検査院が義務教育費国庫負担金を調査したことはあるが、ヤミ専従に関する本格的な調査に踏み切るのは初めて。……

■今でも革命に情熱を注いで「闘争」に熱心な組合員も多い日教組なればこそ、国家の税金を詐取して闘争資金に流用するのも「闘争」の一部だと信じ込んでいる困ったセンセイもいるのかも知れませんが、そういう犯罪行為を知りながら国政選挙や地方自治体の選挙に悪用したがる政治家が後を絶たないのは実に困ったことであります。今の民主党政権・菅内閣を下支えしている柱の一本は、こうした闘争好きの真面目な?センセイ方であるはずなのですが、クラッシャー小沢の「政治とカネ」とその盟友である輿石会長の支持団体なればこそ、小沢グループを締め上げるには日教組に脅しを掛けて組織票を奪い取る策を弄しているのは誰でしょうなあ?

■これは「泣いて馬謖を斬る」という話とは随分と違う、どこかの国の陰湿な粛清事件を思い出すような話であります。勿論、政権維持には欠かせない貴重な組織票の米櫃をぶっ壊すつもりはさらさらないでしょうし、ネジレ国会の主戦場である参議院で大いに汗をかいて貰わなければならない輿石会長を、ここで追い詰めるつもりもないでしょうが、「政治とカネ」で支持率がV字回復した世論の波に乗って
唯一の売り物のクリーンな政党を宣伝するための方便だろうと思っておくべきでありましょうなあ。


…北教組の法令違反は、民主党北海道5区から出馬した小林千代美前衆院議員陣営に北教組が違法に資金を提供した政治資金規正法違反事件で明らかになった。調査の対象は北海道のほかに岩手、大阪、兵庫、奈良、広島、愛媛、高知、鹿児島、沖縄など計20前後の道府県にのぼる見通しだ。…調査の結果、ヤミ専従や違法な政治活動が指摘された場合、会計検査院は国庫負担金の返還を求める方針で、返還金の規模は数億円にのぼる可能性がある。 

■「数億円」も返還されれば第三弾の事業仕分けにも勢いがつくかも知れませんが、元々、違法行為が公然と罷り通っている組織を身内意識で特別扱いするわけには行かないのでしょう。しかし、騙し取った給与を返還するだけで日教組の問題は幕引きになるのでしょうか?


…会計検査院による調査をめぐっては、今月7日の参議院文教科学委員会で義家弘介参院議員(自民)の「北教組の活動は、義務教育費国庫負担金の不正受給に当たる可能性がある。検査をするのか」という質問に対し、金刺保第4局長が「所要の体制を整えて検査を行う」と前向きな答弁をしていた。義務教育費国庫負担金に関して、会計検査院は平成10~13年度に連続して調査している。しかし、これまでは用務員を教諭の給与に含めて請求していたケースなど、ほとんどが計算ミスの指摘にとどまっており、今回のようにヤミ専従、特に違法な政治活動を本格的に調査するのは初めてのケースとなる。
2010年9月20日 産経新聞 

■なかなか復活の兆しが見えない自民党にとって、これは与党民主党に打撃を与える突破口になるかも?官公労にも同様の「ヤミ専従」問題が隠されているようですから、しつこくつつき回せば小沢問題よりも大きな成果を得られるかも?

断末魔のドサクサに 其の参

2010-09-02 15:21:56 | 政治
■既に共同記者会見を並んで開き、公開討論会も済んで菅陣営からチクチク、グサグサとちょっと品の無い喧嘩が吹っ掛けられ、それを受けて立っている小沢側は不気味なくらいに余裕があって横綱相撲を見ているような印象であります。不思議なくらいに新聞報道などではクラッシャー小沢の政策や国家観など政治家としての発言がほとんど分からず、名前が出る時は常に「政治とカネ」絡みになっているのも不思議な話ですし、テレビ画面で発言するのは選挙の時期だけに限られていて、今回の共同記者会見や討論会で初めてクラッシャー小沢の発言を聞いたという人も多かったのではないでしょうか?もしもそうなら、過剰なほど世論調査を実施して国民の声を代弁している振りをするマスコミには警戒しておかねばなりません。

■特に政治家の最も近い場所にいるはずの政治記者が書いている記事が特定の政治家のイメージを作り上げてしまうのは恐ろしい話で、昔、田中角栄という政治家を「今太閤」と絶賛しておいて、立花隆氏のレポートが発表されると一夜にして論調がころりと変わってしまったことがありました。小泉劇場の時には恐ろしいほどに映像が突出してワンフレーズを催眠効果を狙って繰り返して詳細な政策の分析は省略気味でしたし、最近の政権交代劇でも鳩山流の「友愛」話を中身も判らないまま垂れ流して変な期待感を煽るだけ煽ったものです。後で振り返ると恐ろしくなりますが、必要な情報を削ったり隠したり、どうでもよいヨタ話をしつこく報道するような傾向は変わらないようです。

■産経新聞が報じたクラッシャー小沢が出馬を決意するまでの裏話を読んでも、菅・小沢の憎悪劇が先行して政策に関する争点はよく分からない内容のようです。ちょっと長いのですが読んでみましょう。

8月27日1時38分配信 産経新聞

……26日朝、小沢が前首相、鳩山由紀夫に出馬を伝えた後、小沢と面会した衆院議員、岡島一正は説明した。
「小沢先生は昨夜まで出るか出ないか決断していなかった。(首相の)菅直人さんが挙党態勢を拒否したこと、鳩山さんが支持すると言ってくれたこと。この2点で出馬を決めた」
小沢にしてみれば、菅執行部が「脱小沢」の姿勢を改めることが、菅の再選を認める最低条件だった。菅が小沢かその側近を幹事長などの重要ポストで処遇しない限り、党内での小沢の求心力・影響力はじり貧となっていくからだ。……

■長いレポートの冒頭から「ポスト争い」が対立の原因だと断定しているようですが、「脱小沢」体制で無視された事を恨んだ小沢が怒りに任せて立候補したというストーリーに仕立てると、確かに単純で分かり易く面白いのでしょうが……。


鳩山が「優しい私が仲介に入る」と間に立って両者の取り持ちを試みたが、菅の態度は硬かった。これには、東アジア共同体構想など自身の路線継承に不熱心に見える菅に対し、かねて不満を抱いていた鳩山の方がキレてしまった。……鳩山は自分のグループの意見集約も行わないまま小沢に支持を伝え、そのままロシアに旅立った。……

■「友愛」政治など誰も継承するはずもないのですが、鳩山サセテイタダク前首相はその点で大きく誤解したまま権力闘争のど真ん中に飛び出してしまったのでした。最初から仲介役など務まるはずはなかったということでしょう。

断末魔のドサクサに 其の弐

2010-09-02 14:22:47 | 政治
■大手の新聞が民主党代表選挙前に「手打ち」が成立してクラッシャー小沢が挙げた手を下ろすとする予測記事を書き立てて、一夜明けたら大恥を掻いたという椿事が起こりました。週刊誌は軒並み正面衝突は不可避で「小沢圧勝」という方向で記事を並べているのと対照的であります。勿論、新聞各社にぶら下がっているテレビ各局も恥を掻いたものの、マスメディアとしての地位が低いと自覚しているのか矜持が無いのか?大間違いを笑って済ませてしまう卑屈な態度は、まったく反省の言葉を掲載しない新聞各紙の不遜な態度と同様に納得できないものがありますなあ。 
 
民主党の鳩山由紀夫前首相は26日午前……小沢氏と会談し、小沢一郎前幹事長から代表選出馬の意向を伝えられたことを明らかにした上で、「小沢先生に民主党に入ってもらった経緯からして、応援するのが大義だ」と支持する意向を示した。
2010年8月26日 産経ニュース

■間抜けな「伝書鳩」と顰蹙を買い、再び大恥を上塗りしてしまった政界随一の道化者の面目躍如と言うべき「大義」という新たな流行語候補を作った鳩山サセテイタダク前首相でありました。数日前には「条件付」で菅首相の続投を望むと公言していた前首相は「またブレた」と呆れられたり笑われたりしていましたが、御本人は菅首相の支持ではなく「条件付」の方を大きく取り上げて貰うつもりだったのではないでしょうか?マスコミを使って菅アルイミ首相に圧力を掛けて変心を迫ろうとでも思ったのでしょうが、マスコミだけでなく説得相手のアルイミ首相にも真意はまったく伝わっていなかったようですから、政治家には必須の言語能力と伝達力を持っていないような人物が日本国総理の座を降りたのは、御同慶の至りと申せましょうなあ。

 
……小沢一郎前幹事長が、菅首相ら現執行部に抱いてきた怒りを、一気に爆発させた。24日夜、都内のホテル。民主党代表選での菅氏と小沢氏の「全面対決」を避けようと、「仲介役」を買って出た鳩山前首相らを前にして……「オレが幹事長のままでも、参院選では45から48議席は取れた。それが44だ。(98年の参院選後に退陣した)ハシリュウ(橋本竜太郎・元首相)と同じ数字だぞ」……小沢氏は「『静かにしていろ』と言うから静かにしていた。気分はよろしくない」とも語り、仙谷官房長官、枝野幹事長ら「脱小沢」色の強い執行部への不満も口にした。
2010年8月27日 読売新聞

■この段階で血で血を洗う正面衝突は不可避でした。「国民の生活が第一」という政治を行うためには何が何でも「選挙が絶対に第一」でなければならないと骨の髄まで身に沁みているクラッシャー小沢としては、「選挙に有利」の一言で幹事長の職を辞したのですから、先の参院選の結果は怒り心頭に発するのに十分なものでした。「反小沢」の旗を立てて惨敗したのに、その旗を降ろさず反省もせずに開き直っている現体制をクラッシャー小沢が受け入れるはずはなかったわけです。

■混乱した報道の中で鳩山サセテイタダク前首相が小沢の首に鈴を付けて抱き合い心中を仕掛けたような話になっていましたが、その後の報道によりますと、ただただ選挙を考えて身を引くことを決意したのは小沢幹事長が先で、同時期の鳩山サセテイタダク前首相は本気で居座って選挙に挑もうとしていたというのが真相だったようですから、唯一の業績は小沢を引き摺り下ろしたことだと言われた前首相は何の役にも立たなかったことになります。何度も舌禍事件を起こした鳩山さんらしく辞職する時に「クリーンな民主党」に変わる、つまり、自分の政権は汚れていたと自認した発言を残しましたが、あの発言も鳩山・小沢の二人が汚れているという意味だったのか?それとも自分は「まったく知らなかった」のだから汚れているのは小沢だけという意味だったのか?今でも分からない不思議な発言した。

■菅アルイミ首相は意図的に「小沢だけ汚い」という構図を作り、ずっと嫌いだった小沢を貶めると同時に、民主党をキレイにした勲章を鳩山サセテイタダク前首相に贈ったように見えます。当時の鳩山さんは「政界引退」を宣言していたのですから、菅さんとしては慰労と餞別のつもりだったのでしょうが、引退宣言もあっさり撤回して民主党をキレイにした勲章だけは胸に着けたまま党の中枢に舞い戻って来て頼みもしない「仲介」ボランティアを始めたことを快くは思っていなかったのではないでしょうかな?

■そんな鳩山さんの仲介役に期待したマスコミの姿勢は実に不思議ですし奇怪でもありました。それ以上に菅と小沢の喧嘩を不正確な予測を交えて報道しているマスコミは、この騒動の前後に民主党政権がひっそりこっそり進めた怪しい政策決定や制度法律の問題が意図的に放置されているように見えるのが気になりますなあ。