旅限無(りょげむ)

歴史・外交・政治・書評・日記・映画

標的としての菅アルイミ首相 其の壱拾壱

2011-08-01 06:29:01 | 政治
■とうとう外交まで玩具にし始めたとなると菅降ろしは急がねばならない国家的な事業になりそうです。玩具にすると言いますと、「社会保障と税制の一体改革」などという大き過ぎる課題を掲げてしまって身動きが取れない菅アルイミ内閣は、陰でこそこそと税金を玩具にしている節があります。

政府は26日、集団予防接種を巡るB型肝炎訴訟の和解金支払いについて、今後5年間で約600億~8000億円を臨時増税して財源に充てる方向で検討に入った。早ければ週内決定を目指す。増税項目は8月以降の政府税制調査会で詰めるが、所得税が有力視されているほか、たばこ税を組み合わせて充てる案も浮上している。……B型肝炎に感染しながら発症せず、提訴していない人への給付金など約3000億円の支払いは当面は増税対象から除外。さらに厚生労働省が所管する予算の見直しで1000億~2000億円程度を捻出し、増税幅を圧縮する方針だ。
2011年7月27日(水) 毎日新聞 

■菅アルイミ首相にとっては忘れなれない古巣の厚労省が抱え込んだ補償問題ですから、増税してでも給付したい気持は分かります。しかし、苦しい時のタバコ税増税は勘弁して欲しいものであります。タバコ撲滅に情熱を燃やす小宮山洋子議員などは「1箱1000円まで増税の余地がたっぷりあるわ」とか何とかコロコロ声で言いそうですが、何に使われるか分からない税金がタバコにばかりぎっしりと詰め込まれるのは不平等だと思いますなあ。かと言って復興税の標的にされている所得税に更に臨時増税分を上乗せしたら大変なことになりそうです。そもそも、小宮山議員は2003年4月の石井紘基議員の死去に伴う衆議院議員補欠選挙に参議院から鞍替えして立候補した時、「石井の遺志を受け継ぐ」と誓って東京6区で当選したはずなのに石井紘基氏が残した貴重な資料類の整理さえしていないのではないでしょうか?と八つ当たりもしたくなります。外国人参政権のも大賛成の女性闘士として御活躍ですが、疑惑の迂回献金事件に名前が挙がっているようですから、菅アルイミ首相共々、真相究明に潔く協力して欲しいものであります。間違ってもタバコ増税分から政党助成金に化けて山分けされたカネから北朝鮮ルートに資金が流れていないこと祈るばかりです。


仙谷由人官房副長官は27日、広島市内で開かれた連合(古賀伸明会長)のセミナーで「自然エネルギーの比重を上げるための施策は必要だが、『言いっ放し』や『任せっ放し』が世間の批判を浴びている。わが政権のつたなさだ」と述べ、思いつきで「脱原発」などを相次いで打ち出す首相の政治姿勢を批判した。「1年前には『脱化石燃料』社会を早く作ろうと言っていたが、これに『脱原発』を重ねるとどうエネルギーを調達すればいいのか」とも発言。「新たなシステム作りをどうすれば実現できるかを鮮明に分かってもらえる政府、それを構成する議員集団を早急に作らなければならない」と述べ、首相退陣後の政府・与党の新たな枠組みづくりに意欲を示した。
2011年7月27日 産経ニュース 

■不倶戴天の敵同士のはずなのに、仙谷ノーコメント官房副長官とクラッシャー小沢が同じ発言をほぼ同時期にしておりますぞ!29日の夜、大阪府堺市で開かれたパーティー会場で何かと注目される海江田大臣が「民主党は全員野球ができていない。議員が気持ちを一つにし、国難に当たることができないことに大きな原因がある」と菅アルイミ首相の政治姿勢を当てこすると、同席したクラッシャー小沢も「無責任な思い付きで受けだけを狙う発言をする人がいることが党の人気を悪くしている」と同調したのだそうです。周囲からは「思い付きだ!」と揶揄の大合唱が響き、御本人は「矛盾はない」と意地になって発言の一貫性を強調しているのですが、本当は財源も無いのに「生活が第一」だと『マニフェスト』に並べた公約は、本当に「思いつき」の羅列だったのではなかったのでしょうな?!何だか目糞、鼻糞を笑うような寂しい当て擦り合戦しか聞こえて来ませんが、そんなことで菅アルイミ首相の首に鈴が付けられるのでしょうか?「それなら俺が……」などと、進まぬ復興や原発事故対応に絶望し義憤に駆られて節電の暑さで短慮を起こして危ない物を持って総理大臣の首に鈴を付けに行ってしまう若者が出て来ないことを切に望みます。驕れる者も久しからず、でありますからなあ。論より証拠、節電の暑苦しさと政治の停滞で民主党の国対委員長が就任9日間で辞任した松本龍前復興相に続いて民主党名物?の暴言病に罹ってしまったようなのです。どんなに菅アルイミ首相が頑張って居座ろうとしても内閣自体もそれを支えるはずの党執行部も長くはなさそうです。
 

民主党の安住淳国対委員長は30日、テレビ東京の番組に出演し、同党の小沢一郎元代表や鳩山由紀夫前首相が党執行部のマニフェスト(政権公約)見直しを批判していることに対し「2人は政局的な意味で言っている。米軍普天間飛行場(の県外移設)は鳩山政権で実行できなかった。小沢氏も幹事長の時、ガソリン税の暫定税率維持でマニフェストと違うことをやった」と反論した。さらに安住氏は、党代表選出馬に意欲を示す馬淵澄夫前国土交通相を念頭に「知名度を上げるための人ではなく、政治的キャリアを積んだ方々に代表選をやっていただきたい」と挑発。批判の矛先は東日本大震災の被災地の知事らにも向き、「国からお金をもらい、自分は言いたいことを言い、できなかったら国の責任にして泥をかぶらない」と言い切った。地元・宮城が壊滅的打撃を受けながら、国会で野党との難しい交渉を担う安住氏。テレビ番組で当たり散らしつつ、「党に遠心力が働いている。団結力がないと野党との交渉はうまくいかない。やっぱりストレスがたまる…」と苦しい胸中をのぞかせた。
2011年7月30日(土) 産経新聞 

■被災者でもある安住国対委員長には御同情申し上げますが、残念ながら民主党内には「政治的キャリアを積んだ方々」などほとんど見当たりません。かつて厚労省でちょっと名を上げたことになっている菅アルイミ首相でさえ「仮免」発言をしていたくらいですし、政権交代以前に大臣を経験した人や議員立法の実績を持つ議員もほとんど居ないのではないでしょうか?

-------------------------------------------
■こちらのブログもよろしく
雲来末・風来末(うんらいまつふうらいまつ) テツガク的旅行記
五劫の切れ端(ごこうのきれはし)仏教の支流と源流のつまみ食い

チベット語になった『坊っちゃん』―中国・青海省 草原に播かれた日本語の種

山と溪谷社

このアイテムの詳細を見る

------------------------------------------

標的としての菅アルイミ首相 其の壱拾

2011-08-01 06:28:39 | 政治
■稚拙な秘密外交ゴッコはあっと言う間に尻尾を出して、ウソにウソを重ねて恥の上塗りが続いている模様です。

中野寛成拉致問題担当相は26日の記者会見で、民主党の中井洽元拉致問題担当相が中国・長春で北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘接触したことについて、「中井氏から『ない』と報告を受けた」と述べた。中野氏は25日に中井氏に電話で問い合わせしたところ「生まれ故郷の長春をやっと訪問することができた」と答え、北朝鮮側との接触を否定したという。また、政府の拉致問題対策本部の職員が中井氏に同行していたことには「職員を海外へ出張させたことはない」と述べた。
2011年7月26日 産経ニュース 

■第一報が流れた翌日に「極秘接触は無かった」、外務省から出向中の職員の同行も否定する騒ぎになりました。最初から簡単にバレルような稚拙なウソをどうしてつくのでしょう?それが秘密外交の鉄則だとでも思っているのでしょうか?何をやってもドジな政党だなあ、と情けなく思える話なのですが、野党第一党の自民党は黙って引き下がるわけにも行かず、あわよくば内閣不信任案の出し直しの材料にしようかと頑張り始めたようなのですが……。


菅直人首相は26日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で、中井洽元拉致問題担当相が北朝鮮の宋日昊・日朝国交正常化交渉担当大使と中国で極秘に接触していたことについて「全く承知していない」と否定した。拉致問題解決のための自らの訪朝については「そうした予定なり準備を進めていることは全くない」と語った。みんなの党の柿沢未途氏の質問に答えた。
2011年7月26日 産経新聞 

■「全くない」のは「過去にも全く無かった」とは違う意味を持つ発言ですし、接触の有無も「承知していない」と言うのも後で動かぬ証拠を突きつけられたら「忘れていた」と答えて逃げるための布石か?


菅直人首相の北朝鮮訪問に向け、中井洽元拉致問題担当相が中国・長春で北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)・朝日国交正常化交渉担当大使と極秘接触した問題で、中井氏が訪中前に政府首脳と会い、交渉方針を事前調整していたことが27日、分かった。複数の日朝関係筋が明らかにした。政府は一切の関与を否定しているが、実際は首相官邸が「二元外交」を主導していたことになる。関係筋によると、政府首脳と中井氏の会談は7月中旬に都内で行われた。政府首脳は、北朝鮮が拉致問題で譲歩し、進展があれば首相の「延命」につながるとの考えを示し、中井氏に期待感を表明。「8月上旬までに日本政府として状況を見極めたい」との旨を伝えたという。…… 

■「政府首脳」とは菅アルイミ首相以外に該当者はいませんから「承知していない」というのはウソになります。7月半ばの段階で北朝鮮側が「譲歩して進展がある」可能性があったのか?!中井担当相が極秘情報を入手していたとしたら極秘交渉の中身が是非とも知りたくなりますなあ。


また、中井氏の極秘接触には北朝鮮側の意向を伝える仲介者がいたことも判明した。北朝鮮は仲介者を通じ昨年末から中井氏ら複数の与党議員との接触を開始した。外務省がこの動きを把握したのは今春になってからで、すでに数回の接触が行われていた。国会議員ルートを通じた北朝鮮との交渉はリスクが大きく、過去に失敗例が多いことから、外務省は仲介者の動きを警戒していたという。一方、中野寛成拉致問題担当相は27日の衆院外務委員会で「中井氏の要請を受け、休暇を取って中国を訪問した職員がいる」と述べ、政府の拉致問題対策本部事務局職員の同行を認めた。職員は通訳や案内を行い、旅費は自ら支払ったという。海外渡航に必要な許可申請はしていなかった。職員は事務局に「中井氏が言ったこと以外に申し上げることはない」と詳しい説明を拒んだという。中井氏は27日、自らが本部長を務める民主党拉致問題対策本部役員会で「(訪中は)ふるさとを見て泣いて帰ってきただけだ」と説明し、宋氏との接触を重ねて否定した。
2011年7月28日 産経ニュース 

■「泣いて帰って来た」のだけは本当で、交渉が決裂した上に逆に押し込まれて「泣きっ面に蜂」だったのかも知れませんぞ。同行者の存在と宋氏との接触、いつまで知らぬ存ぜぬで通せるのでしょう?野党側からは件の職員を引っ張り出して吊るし上げようとする動きもあるようですから、逃げ切れるのか?


中井洽元拉致問題担当相が訪中し、宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使と会談した問題に絡み、中野寛成拉致問題担当相は29日、閣議後会見で、中井氏に同行した内閣府の拉致問題対策本部職員の処分を検討する考えを示した。中野氏は「休暇を取って同行したということで問題ないと思う」としながらも「(内閣官房の内規で)外国への渡航許可が必要であったのを失念していたのは問題。所管する部門で処分を検討されるものと思う」と話した。同本部によると、内規では一般職員が海外渡航する場合は渡航先などを申請し承認を得なければならず、違反した場合、重い時は懲戒処分の対象となる。
2011年7月29日(金) 毎日新聞 

■TBSテレビのカメラが7月29日に同行した職員の姿を捉えて「前に大臣をやっていらして、そのときの部下でしたから、長春に行くので通訳兼案内で来てくれないかと。休暇を取って行きました」との証言を撮っております。どうして渡航許可を申請しなかったのか?手続きする暇もないほど急な出国だったのか?拉致被害者の皆さんからは期待と不安が入り混じった複雑な言葉が漏れ伝わっていると聞きますと、慣れない外交で一発逆転を狙って空振りした菅アルイミ内閣の罪は人騒がせな「鼬の最後っ屁」だけでは済みますまいなあ。どうやら懲戒処分を受けることになりそうな通訳兼案内役を仰せ付かってしまった職員も気の毒ですが……。


仙谷由人官房副長官が8月下旬に中国訪問を検討していることが26日、分かった。政府関係者が明らかにした。北京で行われる日中友好目的の国際シンポジウムに参加する。シンポジウムには日本側から自民党の石破茂政調会長や加藤紘一元幹事長らも参加予定で、仙谷氏は今後の国会運営をめぐり石破氏らと接触するとみられるほか、中国政府の要人との会談も行う方向だ。
2011年7月27日(水) 産経新聞

■ちゃんと尖閣問題やガス田問題、さらには航空母艦の進水と釘を刺して置かねばならない重大問題が山積している時に開催される国際シンポジウムですから、石破政調会長あたりから国益に叶う発言があったらよいなあとほのかな希望を持ちたいところですが、酒乱暴走衝突船長を不起訴処分にして帰国させてしまった張本人の仙谷ノーコメント官房副長官は、誰を相手にどんな発言をして得意の「柳腰外交」を展開して見せるのやら……。まさか、自分の首を差し出して自民党との大連立を画策した仙谷ノーコメント官房副長官が自分を差し置いて訪中する!と怒りで何も見えなくなった菅アルイミ首相は独断で平壌電撃訪問を思い立ったのではありますまいな?!