『だれも知らない日本国の裏帳簿』石井紘基著 (2002年道出版) 1200円
本書が、せとぎわで日本の危機を回避し、一転、日本列島を明るい陽光で包むことに役だつことをねがっています。2001年12月20日
■本書の「はじめに」の末尾に、こう書いて筆を置いた石井紘基議員(61歳)は、翌年2002年10月25日の朝、世田谷の自宅玄関先で、自称右翼の包丁を左胸に突き立てられて絶命した。何かの重要極秘資料を入手して、国会の場で政府を追及する準備をしていた矢先の凶行に、事件の背景に深い闇を指摘する声も有ったが、石井議員の遺志を継ぐと宣言していた民主党は、「未納三兄弟」だの「お遍路さん」だのばかりが話題になって、世間の物笑いになる中で、石井紘基が数々の危険を冒して集め続けた資料を死蔵し続けている。
書店で平積みになっていたこの本の第一章冒頭を立ち読みして、
日本のほんとうの予算額 一般会計84.6兆円 + 特別会計175.4兆円 = 260.3兆円
この一行を目にして、直ぐに購入を決意したのだった。
本書は、『日本を喰いつくす寄生虫』に続いて書下ろされた告発の書で、たった110ページに次に掲載する目次のような切羽詰った危機的な問題を、一つずつ見開き2ページで要領よくまとめて説明してくれる。
第一章 だれも知らない税金の使いみち
1 日本国のほんとうの予算
2 経済は政・官に侵蝕され“寝たきり”状態
3 税収22年分の借金大国
4 ツケを払わされるのはやっぱり国民
5 官僚と族議員が予算を決めるノーテンキな政治
6 「決算」もない
7 無力な会計検査院
第二章 国のウラ帳簿――特別会計
1 利権財政の「御三家」
2 公共事業と特殊法人の利権構造
3 官僚が自由にあやつる裏予算
4 国民の知らないところで動く330兆円
5 国の逆マネーロンダリング
6 国のゼネコンと政治家をうるおす高いガソリン
7 高速道路は金をしきつめたベルト
8 税金で業界支配をめざす――石油特別会計
9 巨額の不良債権をかかえる石油公団
10 行政が支配する港湾建設――港湾整備特別会計
11 空港公団のムダ――空港整備特別会計
12 補助金をバラまく――農業経営基盤強化特別会計
第三章 「予算」といわない財政投融資計画の闇予算
1 利権大国の巨大な財布
2 具体的な使途がしめされない財投の闇会計
3 財政のウソとヘリクツ
4 新・財投のマヤカシ
5 国民の金を使って国民に損をさせる裏切り
6 国債買い切りオペは郵貯や年金の利回りを下げる
第四章 経済を機能マヒにおとしいれる補助金制度
1 ヒモつき年間補助金50兆円
2 公共事業の「箇所づけ」と国会議員の「手柄」
3 「ノー政」のハイエナたち――農水省の補助金と土政連
4 政治家と土政連のおいしい関係
5 農水官僚は族議員を手なずける
6 一世帯あたり1億円の補助金
第五章 権力の市場からの退却健全な経済をとり戻すための改革案
1 ドラスティックな改革が必要
2 改革は順序をまちがうと悲劇になる
3 「開発」「整備」「事業」法の廃止
4 公共事業、行政企業を廃止して、「生活事業」の発展を
5 地方分権と地方の自立
6 「特別会計」「財政投融資」「補助金」の廃止
7 特定財源の抜本見直し
8 「公務分限法」の制定
9 会計検査院の問題点
10 会計検査院の権限を強化
11 5年で国家予算を2分の1に
12 30兆円は構造改革の原資に
13 国債の新規発行にし、大規模減税で高度福祉社会を実現
■それぞれの内容を詳しく再解説する必要は無いだろう。本書の帯にはこう書かれている。
あなたの未来派火の車、小泉流改革がもたらす“痛み”の招待●一般会計の裏に隠した318.7兆円の税金浪費“特別会計”●官制企業の打ち出の小槌“年金・郵貯”●お上がばらまく税金の大入り袋“補助金”元祖「構造改革」が“小泉流”を斬る!
1940年 東京都世田谷区代沢生まれ。池之上小・成城学園中高・中央大法学部卒。早稲田大学大学院。
1968年末、モスクワ大大学院に留学中、ビートルズが流れるモスクワ市内の喫茶店でナターシャさんと出遭う。当時24歳の彼女はソ連外務省付属国立国際関係大学の学生で日本語を学んでいた。二人が出会ったのは、ソ連の戦車が「プラハの春」を蹂躙した年だった。「ソ連の国家意思」を学ぶ石井と「日本の民主主義運動」を専攻するナターシャは文献・資料を補い合って交流が深まる。
1970年、外国人との交際が理由で、外交官・研究員の道を断たれたナターシャさんは母親の許しを得て石井と結婚。
1971年、石井が先に帰国。国家機密漏洩を危惧するソ連政府は渡航許可を出さなかったが、彼女の妊娠を理由で許可が下りる。
1972年2月、東京・代々木八幡の賃貸マンションで新生活が始まる。周囲はロシア人に警戒。石井は社会党の機関紙記者。ナターシャはNHKのロシア語海外ニュースのアナウンサー、早稲田大学でロシア語講師。
1990年、社会党議員秘書から総選挙に立候補するが、次点で落選。原因はロシア人妻にあるとナターシャは悩んだが、石井は笑っていた。
1993年、初当選。
2001年春、日本の治安の良さを説いて、ナターシャは年老いた母を呼び寄せた。
2002年10月25日刺殺さる。
法哲学博士。東海大学講師。衆議院当選三回。労働・商工・決算各理事。(総務庁)政務次官。国土審議会委員。国民会計検査院代表。民主党東京都連副会長。
「体制は違っても情報を隠す権力のクセは同じ。このままでは日本も旧ソ連の後追いになってしまう。僕はファクトでそれを食い止めたい。そう思うと腹の底から力がわいてくるんだ」
■こう言っていた法哲学博士議員は、もう居ない。日本の裏側にソ連と同じ危険な臭いを感じた石井紘基は、小さな日本のケネディだったのかも知れない。刺殺事件の解明は進まず、生活苦の自称右翼が安アパート代をタカリに来て、断られたのを逆恨みして刺し殺した、という物語で幕引きとなったが、本書が指摘した巨大な日本の負債は抜本的な改革には程遠い、「総合的に」丸投げの末に小手先の調整が施されて、またしても先送りされそうな様相である。
それにしても、テレビやラジオのメディアが、在世中の石井紘基に発言の場を与えることに熱心ではなかったのは何故だろう? 。
財務省が25日発表した国債や借入金など「国の借金」の2004年12月末の残高は、9月末比20兆1212億円増の751兆1065億円となり、過去最高を更新した。国民1人当たりでは約588万円の借金を負っている計算。05年度末には約888兆円に達する見込みで、借金が膨張していく構図は当面続きそうだ。(時事通信)
■これは「表帳簿」の借金額です。
本書が、せとぎわで日本の危機を回避し、一転、日本列島を明るい陽光で包むことに役だつことをねがっています。2001年12月20日
■本書の「はじめに」の末尾に、こう書いて筆を置いた石井紘基議員(61歳)は、翌年2002年10月25日の朝、世田谷の自宅玄関先で、自称右翼の包丁を左胸に突き立てられて絶命した。何かの重要極秘資料を入手して、国会の場で政府を追及する準備をしていた矢先の凶行に、事件の背景に深い闇を指摘する声も有ったが、石井議員の遺志を継ぐと宣言していた民主党は、「未納三兄弟」だの「お遍路さん」だのばかりが話題になって、世間の物笑いになる中で、石井紘基が数々の危険を冒して集め続けた資料を死蔵し続けている。
書店で平積みになっていたこの本の第一章冒頭を立ち読みして、
日本のほんとうの予算額 一般会計84.6兆円 + 特別会計175.4兆円 = 260.3兆円
この一行を目にして、直ぐに購入を決意したのだった。
本書は、『日本を喰いつくす寄生虫』に続いて書下ろされた告発の書で、たった110ページに次に掲載する目次のような切羽詰った危機的な問題を、一つずつ見開き2ページで要領よくまとめて説明してくれる。
第一章 だれも知らない税金の使いみち
1 日本国のほんとうの予算
2 経済は政・官に侵蝕され“寝たきり”状態
3 税収22年分の借金大国
4 ツケを払わされるのはやっぱり国民
5 官僚と族議員が予算を決めるノーテンキな政治
6 「決算」もない
7 無力な会計検査院
第二章 国のウラ帳簿――特別会計
1 利権財政の「御三家」
2 公共事業と特殊法人の利権構造
3 官僚が自由にあやつる裏予算
4 国民の知らないところで動く330兆円
5 国の逆マネーロンダリング
6 国のゼネコンと政治家をうるおす高いガソリン
7 高速道路は金をしきつめたベルト
8 税金で業界支配をめざす――石油特別会計
9 巨額の不良債権をかかえる石油公団
10 行政が支配する港湾建設――港湾整備特別会計
11 空港公団のムダ――空港整備特別会計
12 補助金をバラまく――農業経営基盤強化特別会計
第三章 「予算」といわない財政投融資計画の闇予算
1 利権大国の巨大な財布
2 具体的な使途がしめされない財投の闇会計
3 財政のウソとヘリクツ
4 新・財投のマヤカシ
5 国民の金を使って国民に損をさせる裏切り
6 国債買い切りオペは郵貯や年金の利回りを下げる
第四章 経済を機能マヒにおとしいれる補助金制度
1 ヒモつき年間補助金50兆円
2 公共事業の「箇所づけ」と国会議員の「手柄」
3 「ノー政」のハイエナたち――農水省の補助金と土政連
4 政治家と土政連のおいしい関係
5 農水官僚は族議員を手なずける
6 一世帯あたり1億円の補助金
第五章 権力の市場からの退却健全な経済をとり戻すための改革案
1 ドラスティックな改革が必要
2 改革は順序をまちがうと悲劇になる
3 「開発」「整備」「事業」法の廃止
4 公共事業、行政企業を廃止して、「生活事業」の発展を
5 地方分権と地方の自立
6 「特別会計」「財政投融資」「補助金」の廃止
7 特定財源の抜本見直し
8 「公務分限法」の制定
9 会計検査院の問題点
10 会計検査院の権限を強化
11 5年で国家予算を2分の1に
12 30兆円は構造改革の原資に
13 国債の新規発行にし、大規模減税で高度福祉社会を実現
■それぞれの内容を詳しく再解説する必要は無いだろう。本書の帯にはこう書かれている。
あなたの未来派火の車、小泉流改革がもたらす“痛み”の招待●一般会計の裏に隠した318.7兆円の税金浪費“特別会計”●官制企業の打ち出の小槌“年金・郵貯”●お上がばらまく税金の大入り袋“補助金”元祖「構造改革」が“小泉流”を斬る!
1940年 東京都世田谷区代沢生まれ。池之上小・成城学園中高・中央大法学部卒。早稲田大学大学院。
1968年末、モスクワ大大学院に留学中、ビートルズが流れるモスクワ市内の喫茶店でナターシャさんと出遭う。当時24歳の彼女はソ連外務省付属国立国際関係大学の学生で日本語を学んでいた。二人が出会ったのは、ソ連の戦車が「プラハの春」を蹂躙した年だった。「ソ連の国家意思」を学ぶ石井と「日本の民主主義運動」を専攻するナターシャは文献・資料を補い合って交流が深まる。
1970年、外国人との交際が理由で、外交官・研究員の道を断たれたナターシャさんは母親の許しを得て石井と結婚。
1971年、石井が先に帰国。国家機密漏洩を危惧するソ連政府は渡航許可を出さなかったが、彼女の妊娠を理由で許可が下りる。
1972年2月、東京・代々木八幡の賃貸マンションで新生活が始まる。周囲はロシア人に警戒。石井は社会党の機関紙記者。ナターシャはNHKのロシア語海外ニュースのアナウンサー、早稲田大学でロシア語講師。
1990年、社会党議員秘書から総選挙に立候補するが、次点で落選。原因はロシア人妻にあるとナターシャは悩んだが、石井は笑っていた。
1993年、初当選。
2001年春、日本の治安の良さを説いて、ナターシャは年老いた母を呼び寄せた。
2002年10月25日刺殺さる。
法哲学博士。東海大学講師。衆議院当選三回。労働・商工・決算各理事。(総務庁)政務次官。国土審議会委員。国民会計検査院代表。民主党東京都連副会長。
「体制は違っても情報を隠す権力のクセは同じ。このままでは日本も旧ソ連の後追いになってしまう。僕はファクトでそれを食い止めたい。そう思うと腹の底から力がわいてくるんだ」
■こう言っていた法哲学博士議員は、もう居ない。日本の裏側にソ連と同じ危険な臭いを感じた石井紘基は、小さな日本のケネディだったのかも知れない。刺殺事件の解明は進まず、生活苦の自称右翼が安アパート代をタカリに来て、断られたのを逆恨みして刺し殺した、という物語で幕引きとなったが、本書が指摘した巨大な日本の負債は抜本的な改革には程遠い、「総合的に」丸投げの末に小手先の調整が施されて、またしても先送りされそうな様相である。
それにしても、テレビやラジオのメディアが、在世中の石井紘基に発言の場を与えることに熱心ではなかったのは何故だろう? 。
財務省が25日発表した国債や借入金など「国の借金」の2004年12月末の残高は、9月末比20兆1212億円増の751兆1065億円となり、過去最高を更新した。国民1人当たりでは約588万円の借金を負っている計算。05年度末には約888兆円に達する見込みで、借金が膨張していく構図は当面続きそうだ。(時事通信)
■これは「表帳簿」の借金額です。
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石井紘基さんが殺されたときは、私にとっては目の前がまっくらになるような衝撃でした。
石井さんが追求していたものを無駄にしてはいけないと本当に思うんですが、何からしてよいのやら。。
ナターシャさんとターニャさんだけに負担がかかっているようで、かわいそうです。
一方、裏帳簿で巨大な利益も出している(ゆえに、政府の赤字は雪だるま式に膨らんでいない)、という「ヘソクリマネー」に言及している人もいます。
http://www.asyura2.com/0411/hasan37/msg/756.html
石井氏の遺志を継ぐ人がいるのであれば、政党の垣根を越えてほしいと思います。