旅限無(りょげむ)

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やっと辞めます菅総理 其の四

2011-08-15 15:44:16 | 政治
■ペテンに掛けられて一時は逆上した鳩山サセテイタダク前首相も、今度は騙されないぞ!と少しは頭を使って動き始めているようですが、そもそも民主党の結党時に鳩山兄弟が自腹(子供手当て)を切って二人で15億円だかの資金を作り、そこに一銭も身銭を出さずに幹部面して紛れ込んで来たのが菅アルイミ首相で、鳩山サセテイタダク首相が自民党との対決を考えてクラッシャー小沢を抱き込もうとした時には大反対しておいて、自分が代表になったら焼けぼっ杭に火を点けて民主・自由党の合流を実現して手柄を独り占めしたのも菅アルイミ首相だと言われておりますからなあ。

鳩山由紀夫前首相は2日昼、国会近くのそば屋で弟の鳩山邦夫元総務相(無所属)と向かい合った。鳩山、小沢両氏は不信任案採決後、微妙な距離が生じたが、今はすっかり修復した。小沢氏は鳩山グループを「同盟軍」と呼ぶ。
「民主党と自民党の両執行部は菅、小沢、鳩山切りをしようとしているぞ」邦夫氏がこう警告すると、由紀夫氏は何食わぬ顔でこう打ち明けた。
「次の首相には小沢さんと『反増税路線』の人物を担ぐつもりだよ」その視線の先には民主、自民両党の反主流勢力の結集があるのか。邦夫氏はいろいろと水を向けたが、由紀夫氏はそれ以上は口をつぐんだ。…… 

■「反増税」は結構なのですが、相も変わらず財源に無頓着なのは困ります。自分の政権の支持を失った原因が沖縄の普天間基地問題だけだと思ったら大間違いで、『マニフェスト』に並べた政策を実行するための財源確保がまったく絶望的になった段階で国民は政権交代を悔やみ民主党政権を見棄てたのだと思われます。その証拠に菅アルイミ首相は一度も「無駄遣いを止めて特別会計から予算を組み直す」という民主党が愛用していたキャッチフレーズを使ったことがなく、その一方で消費税の引き上げだの復興税だの増税路線をひた走って来たのでありました。確かタバコ税が引き上げられたの菅政権が誕生して間も無い2010年10月1日でしたなあ。


小沢氏らと距離を置く民主党中間派も「菅降ろし」の動きを加速させた。首相の即時退陣を求める署名活動を続ける吉良州司、長島昭久両衆院議員ら「国益を考える会」は、お盆前に首相に退陣要求を突き付ける構えだ。集まった署名は約50人。目標の100人にはまだ遠いが、小沢系グループがほとんど署名していないことを考慮すると決して少なくない。吉良氏は10日発売の月刊誌「Voice」に寄せた論文に悲壮な決意をにじませた。
「首相の政権運営には『国家の危機』を感じる。閣内統治できない人に国全体の統治などできるわけがない」「政党のしがらみを乗り越える覚悟も持っている。日本を復興させるためならばあらゆる選択肢を排除しない」-。吉良氏ら若手・中堅の熱意に触発されたのか。その後見人である仙谷由人官房副長官もいよいよ参戦する腹を固めたようにみえる。2日昼、仙谷氏はあまり接点のなかった1年生議員6人を首相官邸に招き、ハンバーグを振る舞った。生臭い話は一切なく「相手への謝り方」など議員心得を切々と説いたというが、首相に当てこすったといえなくもない。…… 

■綱領も無い寄り合い所帯と悪口を言われ続ける民主党ですから、自民党さえ驚くほど乱暴で残酷な言葉が飛び交う「菅降ろし」が起こっても不思議ではないのですが、それにしても自分達の党代表に対して「国家の危機」を感じるとまで言うのなら同じ政党に所属している必要などないと思うのですが……。すっかりマスコミに姿を見せなくなった仙谷ノーコメント官房副長官は、一体、何を考えているのやら。フィクサー気取りで暗躍している心算かも知れませんが、怨念だけは誰よりも強い菅アルイミ首相に足元を掬われて藁にも縋りたい窮地に追い込まれてクラッシャー小沢の手を握るようなことにでもなったら、いよいよ民主党は空中分解かも?


脱小沢路線の仕掛け人である仙谷氏と小沢氏の関係修復は難しい。とはいえ、岡田克也幹事長らが描く平和的な退陣シナリオに首相が応じる様子はなく8月末のタイムリミットは刻一刻と近づく。「菅降ろし」の一点だけで両者が手を組む可能性はあるのか。民主党は「合従連衡」の時代に入った。
2011年8月3日(水) 産経ニュース 

■「合従連衡」という言葉はチャイナの戦国時代に秦の始皇帝を打倒する目的で天下の策士が大活躍した時代に生まれたものだそうですから、今の民主党の空騒ぎに使うのは不適当ではないでしょうか?因みに蘇秦が燕王に進言した政策が「合従」で、燕・趙・斉・魏・韓・楚の六箇国が縦(南北)に同盟を結んで西方の強国・秦に対峙する戦略。それに対して張儀という秦の宰相が考え出したのが「連衡」の策で、一つの国と衡(東西)に同盟を結んで「合従」を破って各国を孤立させて各個撃破して秦が天下を統一するという戦略。歴史を見れば蘇秦の「合従」策が張儀の「連衡」策に敗れたのですが、消極的な同盟は脆く、強壮な軍隊と強烈な権力への意志を持った相手には勝てないことなのでしょうなあ。野田財務大臣が次期総理を目指して自民党との「大連立」を考えているそうですが、蘇秦の「合従」策みたいな結果になりはしないかと他人事ながらちょっと心配。逆に張儀の「連衡」策のように民主党を割って新党を結成した新勢力が「各個撃破」に成功すれば政界再編が実現するような予感もするのですが……。

やっと辞めます菅総理 其の参

2011-08-15 15:43:40 | 政治
■気まぐれ場当たり的な発言が多く、実りがほとんどない不思議な1年2箇月。そう言えば2011年1月5日午前に開かれた年明け初の閣議で、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加問題を念頭に、「国を開き、『平成の開国』を断固やる!」と言い出し、同月30日には呼ばれてもいない?ダボス会議に割り込んで「開国」を10回以上も繰り返してTPP参加を世界中に発信して参加するかどうか6月をメドに結論を出すと約束して来たのでした。大震災と原発事故が起こる前から党内から反対意見が出て玩具に飽きた子供のように「平成の開国」も「農業再生と開国の両立」も語らなくなったのでありました。『マニフェスト』に謳った個別所得補償制度とTPPとの関係もウヤムヤになって内政・外交ともに信頼を失って文字通りの政策漂流が続いております。

■「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の3点セットもいつの間にやら何処に仕舞い込んでしまったらしく、「最小不幸社会」の実現と一緒に消えてしまったようです。首相に就任する前には「自由主義と社会民主主義を統合・融合した第三の道」とかいう遠大な構想らしきものも話していたようですが、2回も改造した内閣から「第三の道」への入り口は見付からなかったようです。脱厳罰解散もせず、思いつき解散もしないまま、不毛な菅降ろし騒動の中で民主党から「第三の総理」が誕生することだけは確かなようですが、嗚呼、またかいなあ?と被災民の皆さんだけでなく多くの国民は酷暑・節電の中で嘆息しているに違いありません。

■どうやら震災復興を進める上で野党の協力が得られないから、というのが菅降ろしの最大の理由だったようですが、そもそも国会がネジレてしまったのは政権交代後に菅アルイミ首相が挑んだ参院選挙で議席を激減させてしまったからで、その責任逃れをするために閣僚ポスト等を餌に共犯者を大量に増やして責任の水増し工作で党内を抑え込もうなどと強引な手法を取ったばかりに、何の実績も残せないまま2回も内閣改造を行なう自転車操業状態に陥ってしまったのでした。よほど政権与党の住み心地が良いと見え、ポスト欲しさに政権批判を控えていた議員たちも、さすがに支持率が低下して危険水域に入ったと見るや次の選挙が心配になって後継候補も決めないまま、一斉に菅降ろしに走り出したのですから政治空白はますます進んで無色透明、無政府・無内閣状態になってしまったのかも?

■国会をネジレさせた参院選に幹事長として挑んで大敗した責任を問わずに官房長官に抜擢してくれた菅アルイミ首相への恩義も忘れ果てた枝野幸男官房長官は、6月8日の記者会見で、菅政権の1年間の成果について、「この1年で飛躍的に大きな成果を挙げたというようなことになっていない部分が多いのは間違いないと思っている」と相も変わらず持って回った弁護士口調で、1年間の菅アルイミ内閣に「成果なし」と素直に認めてしまっているくらいですから、誰にも惜しまれず、慰労もされずに追い出されてしまうのも当然でありましょう。菅アルイミ首相が総理の椅子にしがみ付いて醜態を晒して政治を停滞させ続けていれば、民主党自体の支持率が奈落の底に転げ落ちて行きますから、苦笑しながら我慢していられない人が出て来るのは当然であります。


民主党の鳩山由紀夫前首相が海江田万里経済産業相に対し、3日の原子力損害賠償支援機構法案の成立後、直ちに辞任するよう促したことが分かった。……鳩山氏は1日、海江田氏に電話で「原子力損害賠償支援機構法案が成立したら辞めるべきだ」と強く辞任を促したという。
2011年8月3日(水) 毎日新聞 

■やはり止めを刺すには旧トロイカの残り2人鳩山・小沢が手を組んで鳩山サセテイタダク前首相は内閣崩壊を仕掛け、クラッシャー小沢の方は不信任案の再提出を匂わせての燻り出しという内と外からの挟み撃ち作戦が浮上して、菅アルイミ首相も荷物をまとめ始めたように見えましたぞ。


「菅直人首相を辞めさせないと代表選はないんだぞ。『ポスト菅』の連中がどれだけ真剣に『菅降ろし』をやるのか。俺はそれをジッと見ているんだ」民主党の小沢一郎元代表は1日に続いて2日も東京・赤坂のきのこ料理店に中核グループ「一新会」の面々を招集した。刺し身をつまみながら小沢氏はこうも漏らした。「俺たちに菅降ろしをやらせておいて果実だけ取るのは駄目だ!」「ポスト菅」候補は知名度アップに躍起だが、100人を超える小沢系の支持がなければ代表選を制することは難しい。これに目をつけた小沢氏は「ポスト菅」レースを「菅降ろし」レースに変えてしまおうと考えたようだ。小沢氏は6月2日の内閣不信任決議案採決が失敗に終わったことを今も悔いている。「次は失敗は許されない」。そう考えるといつもは3合と決めている日本酒は4合、5合とかさを増した。「お盆までに首相が辞めなかったら動かないといけないな…」…… 

■腹立ち紛れに酒量を増やすのは身体に宜しくありません。いざ!という時に脳梗塞など起こさないように用心した方がよいでしょう。それにしても「お盆まで」とはクラッシャー小沢も随分と慎重ですなあ。今更後悔しても仕方がないのですが、土壇場で不信任案に賛成しなかった真の理由が未だに不明なのは不気味であります。「次は失敗しない」というからには一撃必殺のトドメを刺す秘策が練られているということなのでしょう。新聞やテレビはポスト菅レースの下馬評をネタに大はしゃぎを始めているようなのですが、それもクラッシャー小沢の活躍如何に関わっているというのは何処か皮肉な物を感じるのですが……。