彼は

彼是と忙しい日中が過ぎ19時からのレッスンが終わると、
夕ご飯を作る気持ちは1㎜も無かった。

24時間営業のスーパーマーケットが近所に有るので適当に見繕って
晩飯をやっつける事にした。

店内に入って真っ直ぐ弁当売り場に向かうと、彼は背中を向けていた。
特に気も留めず欲しいものを籠に入れて目線を上げると彼の横顔が見えた。

知人に似ている。でも彼は富士市に住んでいるはずなんだがと思いつつ
しばらく観察しているとそれは確信に変わった。

此処で声を掛けないともう二度と会う事はないかも知れないと思ったら声が出ていた。

「いやさん」