世界宗教史4

2012-11-18 17:07:47 | 

を読む。ミルチア・エリアーデ著。ちくま学芸文庫。

 「無敵の太陽神と『この徴によりてなんじは勝利を得ん』のあいだ」。ローマ帝国がキリスト教を国教化したきっかけは、コンスタンティヌス帝が、夢で見た十字架をお守りにすることにより、戦いに勝ったことだという。

 同じような話は、フランク王国にもある。アラマン人との戦いで全滅の危機に瀕した時、クロヴィス王がそれまで拒否してきた神、イエス・キリストに祈りを捧げた。するとたちまち戦況は逆転した、という(山内進「北の十字軍」)。

 また、ノルウェーのオーラヴ・トリュッグヴァソン王がキリスト教徒になったのは、あるキリスト教の隠者の予知能力を目の当たりにしたからだった(ストゥルルソン「ヘイムスクリングラ」)。予言の通り彼は暴徒に襲われたが助かり、ノルウェーの支配者になる。

 彼らはみな、キリスト教によって神秘体験をすると同時に、大きな利得を得ることができた。「はじめに言葉があった」というのはウソだ。はじめにあったのは、「暴力と奇跡」だった。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする