ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック最終日を振り返る

2018-08-05 22:36:17 | フジロック


ついに来てしまったフジロック最終日の朝。

敢えて会場へは向かわずピラミッドガーデンへ。朝食にフライドエッグ・トーストと、オレンジチョコドーナツを頂き、美味しいコーヒーを飲む。昨晩の暴風雨も忘れてしまいそうな幸せな一時。と思ったらスコールのような雨に襲われる…。さあ、レインウェアを着込んで、いざ会場へ!!

ハインズ(レッド) → アンダーソン・パック(グリーン) → カリ・ウチス(ホワイト) → ジャック・ジョンソン(グリーン) → ボブ・ディラン(グリーン) → グリーンスカイ・ブルーグラス(ヘヴン) → チャーチズ(ホワイト) → G&Gミラー・オーケストラ(グリーン) → A-TRAK(レッド)


泣いても笑っても最終日。この日はヘヴンがウェスタン・キャラバン〜インタラクティーヴォ〜ベン・ハワード〜ホットハウス・フラワーズと、最高にいい感じなんですけど、悩んだあげく、それらは諦めてグリーン中心のスケジュール。まずはレッドでスペイン発のガールズ・ガレージ・バンド、ハインズを。アルバムで魅力的だったローファイさよりも、ライヴならではのエッジーなポップさが際立ったステージで、元気&可愛かった!! 最後まで観たかったけど、アンダーソン・パックを観るために後ろ髪惹かれながら途中で抜けることに。

そしてグリーンステージ。昨晩のケンドリック・ラマーに続いてブラック・ミュージックの”今”を体感させるアンダーソン・パックです。ケンドリックと同じ日ならまだしも、別日の早い時間帯にメインステージでヒップホップ系って、集客は大丈夫なの?とちょっと心配でしたが、いやはや、モッシュピットはパンパン。しかもオープニングの「Come Down」から、大盛り上がり。バンドによるリズムのバウンス感が半端ない。観客達も踊りまくり。そしてアンダーソン・パックの歌やラップ、全身を弾ませるような動き全てから黒いエネルギーが溢れ出す。いやはやアンダーソン・パックがこんなにもファンキーでフェス映えするとは! メロウな「Heart Don't Stand a Chance」も良かったですし、彼が叩くドラムスも最高でした。正直、ケンドリック以上に興奮した!

すっかり雨もやみ、ホワイト・ステージでカリ・ウチス。期待のブラック・ミュージックが続きます。直前のアンダーソン・パックが強烈すぎて、序盤こそちょっと弱いかな?と思いながら観ていましたが、流石に曲が進むに連れて引き込まれて行く魅惑的なR&B。レトロでオリエンタルな歌声も素敵。特にメロウ・ファンキーな「Dead To Me」、ポップに弾ける「In My Dreams」あたりの流れが良かった。セクシーな衣装やダンスにもやられました。

そして、ここからが最終日の真骨頂です。ボブ・ディラン、グリーンスカイ・ブルーグラス、チャーチズ、というグリーン&ヘヴン&ホワイトのヘッドライナー3組を、ほぼ被り無しで全て観れるという奇跡。こんなことそうそうないですよ。だって普通、各ステージのヘッドライナーって被るもんでしょ? 当初、私もこの3組が丸々被ることを覚悟し、ディランを最優先に考え、グリーンスカイ・ブルーグラスは諦め、チャーチズは終盤だけでも観れればラッキーか?ぐらいに考えていたのです。ですがタイムテーブルが発表されてびっくり! ディランがトリじゃない?しかもディランの演奏中は他のステージはお休み中という配慮。そのためディランとグリーンスカイ・ブルーグラスは被らないし、チャーチズはさらに後ろにずれ込み、こちらも被らないという、夢のようなスケジュールが実現したのです。私はタイムテーブル発表以来、この豪華ヘッドライナー3連チャンをず〜っと楽しみにしていた訳ですよ!!

さて、少しアヴァロンで腹ごしらえしたあと、いよいよグリーンに向かいました。迂回ボードウォークを歩いている最中、ず〜っとジャック・ジョンソンの歌が聞こえていて、気持ちよかったな〜。そしてグリーン・ステージに到着すると、とにかく凄い人。ジャック・ジョンソンですからね。そしてやはりボブ・ディランへの待望感も感じられすにはいられませんでした。もちろんジャック・ジョンソンのステージも素晴らしくって、終盤だけでも少し観れてホント良かった。私が着いた頃はちょうど「Big Sur」あたりだったかな?グリーンスカイ・ブルーグラスのメンバーが飛び入りとか、良いもの観れた〜!!

で、驚いたのは、ジャック・ジョンソンが終わったあと、モッシュピットがガラガラになったこと。あ、ジャック・ジョンソンのファンってボブ・ディラン観ないんだ…っていう衝撃。おかげで私はもの凄く前の方でディランを目撃することが出来ましたけどね。もちろん、ジャック・ジョンソンのファンと入れ替わりでボブ・ディランのファンがモッシュピットへと傾れ込み、あっというまにパンパンになりましたけど。そして待つことおよそ1時間。これから始まる至福の時間と、終わり行くフジロックの寂しさ。色々な思いが交差しながら暮れて行く最終日。


そしてボブ・ディラン、降臨。


大歓声に迎えられグランドピアノの前に座るボブ・ディラン。ついにフジロックにあの声が響く。カントリー・テイストを纏ったアダルトなスイング感を醸すバックのサウンドも極上!古い曲から最近の曲まで、人気曲から、え?こんな曲もやるの?っていうレアな曲も含め、ただ代表曲を並べただけではない、しかもアレンジが素敵すぎてよく解らないという、いかにもディランらしいセットリスト。序盤から「It Ain't Me Babe」「Highway 61 Revisited」という60年代の曲をやってくれたのは嬉しかったですね。そして一際大きな拍手が上がったのは「Don't Think Twice, It's All Right」。この曲をギターではなくピアノを弾きながら歌うんですから。しかも最高のバンドと共に、極上のアレンジで。「When I Paint My Masterpiece」や「Desolation Row」も良かったですし。もちろん、「TIME OUT OF MIND」や「TEMPEST」など、比較的新しいアルバムからの曲達の味わいも格別でした。枯れた味わいのディランながら、立ち上がってピアノを弾くなどロックな姿も見せてくれましたし、ハーモニカも聞かせてくれました。そして時おり見せる笑顔がチャーミングでした。最後は「Ballad Of A Thin Man」からの「Blowin' In The Wind」。山に囲まれたフジロックで聴くボブ・ディラン。なんて贅沢な!!!


しかもこれで終わりではありません。なにせヘッドライナー3連チャンですから。ディランが終わるや否やボードウォークをヘヴンへ急ぐ。すると突然いかにもグリーンスカイ・ブルーグラスであろう演奏が聴こえてくる。え!もう始まってんの?まだ開演時間前だけど…。しかもその曲はブルーグラス名曲「Bringing In The Georgia Mail」ですよ!慌ててボードウォークを早足で抜け、ヘヴンに駆けつけました。バンジョー、マンドリン、ベース、ギター、ドブロが横一列に並び、トラディショナルな高速ブルーグラスを披露している。うわ〜格好いい〜!!!これはサウンドチェックだったんですけど、ホント最高でした。正直、私は彼らの最新作「SHOUTED, WRITTEN DOWN AND QUOTED」を聴いて、ブルーグラスをベースにした、ロックよりのバンドと解釈していたので、まさかこんなブルーグラスのど真ん中な曲をやるとは、思っておらず、開始早々から度肝を抜かれました。そしてその数分後、本編が始まり、彼らのブルーグラス・バンドとしての力量をまざまざと見せつけられると同時に、ジャム・バンドはもちろん、プログレッシヴ・ロック的な深淵な展開に魅せられ、その全てをアメリカン・ロックな懐の深さで包み込むような、まさにこれぞヘヴン!!な演奏にノックアウトされたのでした。いやはや、ブルーグラス・バンドですからね、メンバーそれぞれが凄腕なんですけど、特にドブロを操るスライド・ギタリストさんは最高でしたね。そしてバンド一丸のグルーヴがまた素晴らしい!土っぽくも芳醇なグルーヴ。まさに、ヘヴンでこういうのが聴きたかった!!!っていうサウンドでした。観れて良かったー!!

そしてホワイトへ急ぐ。私、ボブ・ディランが好きで、ブラックミュージックも好きで、ブルーグラスも好きなんですけど、チャーチズのようなエレクトロ・ポップも好きなんです。特に「Clearest blue」という曲が大好きで、フジロックでこの曲を生で聴くと言うのが、個人的な今年の隠れテーマでもあったのです。もちろんやりましたよ。しかも最後から2曲目というハイライトで! いやもう、最高でしたね。ビートも、ローレン・メイベリーの歌声も。個人的に3日間で最も興奮した瞬間でした。まさに昇天。

生きる伝説、ボブ・ディランから、圧巻のジャムグラス、グリーンスカイ・ブルーグラスへ、そして多幸感横溢のエレポップ、チャーチズ、というヘッドライナー3連チャン。まさにめくるめく音楽体験でした。


この後は終焉へのカウントダウン。

G&Gミラー・オーケストラの終わりを少し観て、
エルヴィス・プレスリーを笑顔でノリノリで、
ムーンライト・セレナーデに黄昏れて。

最後は歓喜のパワー・トゥ・ザ・ピープル!!
意味不明のバカ騒ぎ。大好き!!



ありがとうフジロック!! ありがとう苗場!! そしてまた来年!!




フジロック最終日のベストアクト

1位 グリーンスカイ・ブルーグラス
次点 ボブ・ディラン

最終日のベストアクトはグリーンスカイ・ブルーグラスです!!もちろんボブ・ディランも素晴らしかったのですが、ヘヴンの高揚感は特別なのです。ケイシー・マスグレイヴス、ベン・ハワード、ホットハウス・フラワーズ、サーペントウィズフィート、観たいけど観れなかったの、いっぱいあったな…。でもグリーンスカイ・ブルーグラスが観れたから、全て良し!!




ベストご飯

1位 リトルナップ フライドエッグ・トースト&オレンジチョコドーナツ
次点 ミートバル仙台本店 ビストロ・ハッシュドビーフ

ピラミッドガーデンの朝食がナンバーワンです。目玉焼きを崩すと黄身がトロ〜リ。言うことなし!!ピラミッドガーデンのゆったりとした雰囲気も最高でした。アヴァロンで食べたハッシュドビーフは、追加トッピングのチーズを最後にバーナーで炙ってくれる逸品。フジロックで食べる本格洋食、こういうの好き!あと、アヴァロンの横に広がる森が、休憩、飲食スペースとして整備され、アートやショップも立ち並び、良い感じになりましたね。森の中で食べるご飯、美味しいに決まってます! グリーンの終演後に食べた、一風堂のとんこつラーメン、おにぎり「ゆた」のシャケ茶漬けも染みました〜。