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脳みそバァアアアン!! 劇団民藝 グレイクリスマス

2018年12月26日 | 演劇

旧華族・五條伯爵家の
終戦から5年間のクリスマスが描かれる。

2018年12月13日(木)
三越劇場 18:30開演 1階7列センター 

劇団民藝 
グレイクリスマス
作=斎藤 憐 
演出=丹野郁弓  

家具に白い布が被せられている部屋で、
英語でスピーチの練習をしているらしい
男女が数人。
その周りでは、女中達がバタバタ。

どうも引っ越ししてきたばかりみたいね。
やがて、白い布達も引っぺがされて…
なんとぉお!
ゴージャスなお部屋だこと!
ここは、五條伯爵家の離れ。
旧華族なんだってぇえええ。
スゴイなぁあああ。 

母屋は、進駐軍に召し上げられて、
ダンスホールとなってしまったんだとか。
で、進駐軍のお相手を一族がやる。
ってことらしいんだけど…。
気が進まない男達と真逆なのは女達。
ステキなドレスを着て、やるき満々!
実は、ちょっとした
スパイ活動も兼ねていたっ!
妻達に、
アメリカさんの内情を探らせて、
うまいネタがあれば…。
なんて思っている旦那達。
そんな思惑を通り越して、
女達はアメリカさんと
ドンドン親しくなるぅう。
ジープで迎えに来てもらうのは
当たり前ぇえ。
毎夜毎夜のダンスパーティー。 

将校達から一際熱い視線を
浴びているのが、
伯爵の妻・華子(中地美佐子)。
清楚な淑女だもんねぇえ。
しかぁし、彼女の視線の先には
いつもジョージ・イトウ(塩田泰久)が。
「デモクラシーを日本に根付かせたい」
理想を語るジョージに、
「デモクラシーって何ですか?」
興味津々の華子。
少しづつ二人は親しくなって… 

ジョージもいつかは祖国へ帰ってしまう…。
「連れて行って欲しい」
とうとう口にしてしまう華子。
でも、ジョージが語るアメリカは…。
自由を、平等を、民主主義を掲げる国で、
日系人がどう生きてきたのか…。
「貴女にあんな思いをして欲しくはない」 

戦争に負けて、
アメリカがやってきて、
華族制度がなくなって…
こういう輩も、
家に出入りするようになっちゃった!

権堂(岡本健一)という男。
食料の調達やなんやかや、
まあ裏の仕事を
引き受けてるんだけど、
どうもそれだけじゃぁ
なさそうなんだよね。
なぁんか怪しいムードぉお。
革ジャンなんか着ちゃってさぁああ。
カッコイイぜ!オカケン!

時代の空気が充満して、
重くるしくなりそうな舞台に
キラリと輝く一筋の光を投げ掛けて
くれるんだよねぇえ。
これぞ客演の妙だわぁあああ♪ 

浮世離れしまくってる
伯爵さま(千葉茂則)は、
事業を起こすと言って、
権堂が紹介した男に、
まんまと騙されて
財産が湯水の様に無くなっていくぅう。 

伯爵のご子息・紘一(岩谷優志)には、
危ない物を勧めたりしてるしぃ。
おかげでヒロポン中毒に
なっちゃったじゃないのよぉおお。 

令嬢の雅子(神保有輝美)の
唇を奪っちゃったりぃい。
おかげで彼女の心がユラユラぁぁ。 

何も持たない平民(権堂)が、
おっきな権力を持つ者(旧華族)に、
無法地帯と化した時代だからこそ、
ここぞとばかりに
仕返しをしているようにも
見えていたんだけど…。
そんな簡単な話しじゃ
なかったぁあああ!! 

1950年(昭和25)6月25日
朝鮮戦争が始まった!
全然元気がなかった旧華族の方々。
その中でも男性達が、
息を吹き返したぁああ。
これが軍事特需ってやつかぁあ!!
伯爵の弟は政界に復帰。
息子は警察予備隊へ入った。 

権堂は、実は在日コリアン。
今や、追われる身に…。
伯爵家に逃げ込んだぁ。
それを見たお嬢様は、
彼を助けなかったぁあ。
ウッワァア!!
人間って…複雑な生きものだよ…。
身を翻して去って行く権堂。
オカケン!カッチョイイ!
間髪入れずに銃声が鳴り響く…ぅ。 

賑やかだったダンスパーティーが終り、
再び旧華族の人々は、
母屋へお引越し。
煌びやかな時代を。
華子の幸せを象徴する白いドレスは、
タンスの奥にしまわれて…。 

ジョージは出兵し、帰らぬ人に…。 
彼女は独り、思い出に浸る…。
ダンスのステップを踏みながら、
日本国憲法を呟き続ける…。
幕 

脳みそバァアアアン!!
歴史の授業では、
足早に駆け抜けてしまうこの時代。
たった70数年前のことなのに、
知らないことがテンコ盛り!! 

『グレイクリスマス』って
どういう意味だろう。
そう思って観てたら、
シアトル出身の日系人ジョージが
「クリススには雪が降って、
あらゆるものを覆い隠してくれる。
そんな美しいクリスマスを
ホワイトクリスマス。
雪の降らない、美しくない
クリスマスのことを
”グレイクリスマス”という」
ってな事を言うのよぉお。
その時代、その風景が
ド~ンと濁って見えてくるよ…ぉ。 

斎藤憐が創ったんだって!!
あの『上海バンスキング』の人だよ。

1983年本多劇場で初演。
劇団民藝では92年に奈良岡朋子主演で
三越劇場にて幕を開け、
足かけ6年にわたり全国を巡演。
98~99年紀伊国屋サザンシアターなどで再演。

こんな懐の深い物語を、
もっと色んな人が
観ることが出来ればいいのにぃぃ。

劇団民藝 
グレイクリスマス
2018年12月7日~19日
三越劇場 

第二次世界大戦後の日本が歩んだ激動の五年間を描いた群像


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