アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

浪曲 女殺し油の地獄

2005年12月02日 | 狂言・能・浪曲・雅楽

浪花節
いや、浪曲ってナマで観たのはたったの1度。
でも歌謡曲として、結構楽しんで来てたみたい。
♪逃げた女房にゃ未練はないが~。
 馬鹿な男の浪花節~ひとつ聞かそか~♪(by浪曲子守唄)
え?これにピンと来ない?
じゃぁ浪曲出身の歌手を紹介する!
♪母は来ました~今日も来た♪(二葉百合子『岸壁の母』)
あ、ダメ。これは?
♪吹けば飛ぶよな将棋の駒に♪(村田英雄『王将』)
よけいにダメか。じゃぁ 
「お客様は神様です」の三波春夫は?
OH!知ってるか。
「時に元禄十五年十二月十四日、響くは山鹿流儀の陣太鼓(略)」
「先生!」
「おお、蕎麦屋か!」
忠臣蔵を描いた長篇歌謡浪曲「俵星玄蕃」
これは泣けるゾイ!

浪曲は、叙事曲としてはもっとも完成度の高い音楽だといえる。
平曲(平家琵琶)・謡曲(能楽)・浄瑠璃に次ぐ、我が国四大叙事歌曲の一つ。
説教祭文から転化したもので、大坂で生まれた。
幕末頃「浮かれ節」となり、やがて放浪の旅芸人たちによって関東にも伝わり、
明治の初め「浪花節」と名付けられた。
さらに現在の「浪曲」という呼称が一般化したのは戦後のこと。

東西浪曲大会 2005年10月 NHK総合
「女殺し油の地獄」
  近松門左衛門:原作
  大西信行:脚色
  口演:春野百合子
  曲師:一風亭初月

与兵衛は、極道者として描かれている。
両親が預けた金欲しさに、お吉の前で嘘泣き。
ところが金を手にした途端っ、

与兵衛 「たったこれだけ!これでは足りんのや!」
お吉  「そりゃお金なら奥の箪笥の引き出しにあります。
     けどなぁ与兵衛さん。
     二親が涙流して下された有難いお金やないか。
     それを、これじゃ足らんと放り出して。
     そうそうその顔。
     そんな性根の腐った与兵衛さんに、
     なんで貸したらなならん義理がおますのや。
     …それに、こんな夜遅ぉ、若い男家の中に入れて、
     不義したと疑われるかもしれん。
     用事が済んだらサッサといんどくなはれ!」
与兵衛 「…お吉さん」
お吉  「なんだんねぇな、その顔は」
与兵衛 「ものは相談やけど。不義になって金貸しとくなはれな」
お吉  「まあッ!嫌らしい!!大きい声出して人を呼びますよ!」
与兵衛 「すんまへん、すんまへん、私が悪うございました」
お吉  「悪いと判ったら、はよその金拾て、
     一時も早うここから出て行っとくなはれ!」
与兵衛 「い、い、行きますけどなぁ…お吉さん」
お吉  「まだ何ぞ用だすか」
与兵衛 「油貸して下さい。それで1から出直します」

 √ 言うて降り立つ店の間の 取る手も慣れたる生業。
   油を量るお吉の後ろを、脇差の鯉口

照明も落ちて暗くなる。
アッと言う間に肩にザックリ!お吉は顔を歪めて命乞い。
ここは、文楽や歌舞伎と同じだ。
「子供もいる!許して欲しい!」
お吉の子を思う言葉に、「俺を愛する親も同じ気持ち」そう来ると思ってたら

 √ そなたが娘を可愛いほどに、俺も我が身が可愛てならぬ。
   そなた生かせば己が罪。
   やがて世間に表れて、縄目のはじは裸馬。
   お仕置台に追い上げられて、露の命とさらし首。
   怖やの、怖や死んでくれ
   突き刺す刀お吉の胸を、グサリえぐって油の中に
   斬った与兵衛も転がって

与兵衛の息荒く、油が口の中に入ったのか、
ぷーッと吐き出す音が生々しいぞー。浪曲師・春野百合子っ。

 √ 起きては…起きては転び、また起きて
   うちまく油、流るる血潮、踏み散らかし、踏み滑り、
   上銀五百匁、箪笥の金を!南無阿弥~陀仏と掴み取るー

初めてお茶すする浪曲師・春野百合子っ。

蚊帳の中の子供の泣き声が…耳を押さえても、押さえても
与兵衛憎しと追ってくる
天満の町には掛取り達の、提灯ユラユラ揺れて、
それを追手の灯りかとビクつきながら

 √ 行くての闇は所詮この世の地獄道
   思い知る日はやがて来る。無常の風に豊島屋の
   売り場の灯消え失せて…。
   冷たい油の流れる中に、息絶えた、お吉哀れと矢車の、
   カラカラカラと、鳴っている。
   明日を節句の宵やぁ更けて行く 

ワ~ン。ラスト泣かされたー!!
歌舞伎なら、向こうめがけて走り去る、与兵衛に対する気持ちが残ってばかり。
ついぞ、お吉を忘れておった。
だから最後の最後に泣いっちっち~。

浪曲って、歌舞伎や文楽より、バリバリ現代言葉っ!!
めっちゃ庶民してるやんっ!!
これで、イヤホンガイド欲しいか?
「そんな奴おれへんでぇ」(by大木こだまひびき)
ほんでな、テンポがええねん!
♪怖やの、怖や死んでくれ♪って節、リズミカルやでぇ。覚えてもーたわ。

春野百合子は、去年長年コンビを組んできた曲師が突然亡くなり、お先真っ暗だった。
そこへ、歴6年という若い人と出逢ったという。
そりゃぁ差は歴然やろ。
そやけど、文楽も太夫と三味線、キャリアはデコボコの方がええらしい。

機内で聞く”JAL名人会”。落語はガハガハ。浪曲でポロポロ。
これからも泣かせてもらいまっさー。百合子さ~ん。

師走浪曲名人会 12/3(土) 14:00開演 国立文楽劇場 
 「梅川忠兵衛」(房前智光:作) 春野百合子 他
☆浪曲特選     12/17(土) 15:05~16:05 NHK総合 
 葵わか葉、玉川福太郎



4 コメント

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油地獄 (fortheday)
2005-12-02 10:45:54
浪曲でもあるんですか、

一番初めに見た歌舞伎の狂言が

油地獄なんですよ。(高校の講堂で)

歌舞伎自体に興味がなかったからなのかも知れませんが

まったく面白くなかったです。

でも仁左衛門丈の出世作なんですよね。

苦手意識が克服できるかな。



フランス映画の「灯台守」知ってます。

シャンテシネで「マザーテレサ」見たときに予告が流れていました。

「喜びも~」を見ながらフランス映画の方を思い出してましたよ。
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浪曲「油地獄」 (戸浪)
2005-12-03 06:47:08
古典めざましタイさま

初めて書き込みさせていただきます。

よろしくお願いしますm(._.)m



浪曲にも「油地獄」あったんですね!

これは聴いてみたいです!



松田優作版は私も見ました。関西出演の富岡多恵子が脚色。原作にかなり忠実でしたね。



歌舞伎・文楽版で私がチト引っ掛かった箇所:

長男が家業を継承してゆくのが当然の時代なのに何故「独立」して商売をしているのか?

そこを突いてましたね。出来の良い兄なのに。

兄弟の会話に「兄さんは何故家を出たのか?」というのがあったかと思います。



又五郎@徳兵衛は兄弟をわが子以上に大切に育てているが、それは世間から主筋の子を粗略にしていると思われては困る。子に対する愛情というより、対世間様からどう自分(徳兵衛)は思われているか?それが頭から抜けずに兄弟を養育してきた・・という面が描かれていたように感じましたが。



そんな養父の「感情」を兄弟は敏感に感じ取り兄は家を出、弟はヤンンキーに。もちろん

徳兵衛は兄弟に愛情はあったでしょうし、

与兵衛の「ヤンキー生活」もそれだけが

原因ではないと思いますが。



殺しの場面はやはり「古典組み」のダントツ

勝ち!! まぁこういう場面は仕方ないっすね。めざましタイ様の感想が楽しみですv!









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キーワードバトン (miki)
2005-12-03 16:06:36
というものが回ってきましたので、日記からTBさせていただきました。気が向いたらよろしくお願いします。スルーしていただいても構いません。



ところで[油地獄」。古典めざましタイさまの感想がおもしろくて、どんどん読み進んでしまいました。松竹座の愛ちゃんの公演まで。

ちょうど愛ちゃん与兵衛の頃に、スカパーで藤十郎さん(鴈治郎さん)の映画版が流れたのを見ました。当時の大坂はこんな景色やったんかな~と思いながら。



浪曲の大坂弁、いいですね~。
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浪花節 (古典めざましタイ)
2005-12-06 09:38:39
皆様コメント有難うございました。

浪花節だから、読んでもらえるかしらん…って、心配だったんですけど、反応して下さって嬉しいかぎりですっ!!

私も「浪曲」の事全く知らなかったので、これをTVで見てブッ飛びましたっっ!!

他にも、文楽・歌舞伎繋がりの作品がある様で、ちょっと探検してみたい国です。

松田優作の映画も早く見なくちゃねぇ~。
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