トリノオリンピックに埋もれちゃならん!オススメ番組!
”深夜劇場へようこそ” NHKBS2
2/13(月) 前0:55~3:45(12日深夜)
『天翔ける風に』(2001年)
野田秀樹作『贋作・罪と罰』のミュージカル版
奇しくも野田版が大阪で上演中。
これで、TV放送の楽しみも倍増~!
演出・振付=謝珠栄 作曲=玉麻尚一
出演=香寿たつき 立川三貴 福井貴一 畠中洋 平沢智 ほか
今回放送する2001年版を、以前TVで見てッ!
ドッキドキのウ~ルウル…。
再演の2003年版を観に劇場へ!!
「何が正義なのか?」「人生を考えろ!」
こんなテーマを堂々と出す演劇の何と少なくなってしまった事か...。
胸に突き刺さるメッセージがなくなって久しいわ。
しか~し!
割引チケット販売...。ウウウ~。
東京芸術劇場中ホール841席が埋められないとは...。
“世の中を変える”
信念を持った女性主人公と家族の生き方。
"坂本龍馬"や"ええじゃないか"
世直し運動も盛り込み激動の時代幕末を描く。
幕が簾なんだよ~。和だねぇ。
橋の下の家で何かが起こるっぽい、暗~い雰囲気…。
「人間が最も恐れていることは、新しい一歩を踏み出すことなのよ」
三条英(さんじょう・はなぶさ)は、その家で金貸しの婆さんを殺した。
事を起こす時、先頭に立つのか。口先だけの傍観者か。
歴史を刻むか。志しを飲み込むのか。
警察の取り調べをかいくぐり、親友で同じ塾生・才谷(さいたに)の目を誤魔化し、
身を削るような毎日を送る英...。
刻々と時は過ぎ、嫌疑を掛ける警官の手が伸びてくる。
才谷は、勤王と佐幕。
そのどとらにも情報を売って稼いでいた。
「彼こそ坂本龍馬ではないか?」と疑う人々。
「血の替わりに金が流れるなら、俺はそれでもいいと思うんだ。
思想なんてたかだかそれっぱかしのことじゃないか」
いよいよ追いつめられた英は、才谷に打ち明ける。
才谷 「牢が開く時を待て。俺がその牢を開けてやる。新しい時代と共に」
英 「私が...待つの」
才谷 「お前が牢の中で俺を待つんじゃない。俺が牢の外でお前を待つんだ」
英 「ありがとう。私ちょっと行ってくるわ」
才谷 「俺もちょっと行ってくる」
英 「龍馬、生きてろよ。私の彼方(かなた)で」
才谷 「彼方」
英 「彼の方角と書いて彼方と呼ぶのよ。
だからお前のいるところは、これからはいつも、あたしの彼方よ」
♪立ち上がろう。怒りの季節。長い眠りから覚めろ♪
そうして大政が奉還された。
人間の罪と罰に目覚めて、刑に服している英。
世の中が変わり、恩赦のお陰でもうすぐ出所できる。
「もう直、江戸が明治に変わるそうですね。差し入れの干し柿ありがとう。
愛しています。私の遥か彼方へ。三条英」
♪翔ける風になりたい♪
英が上手袖で、獄中から才谷に一人語り掛ける時、
舞台中央では龍馬が暗殺される。
“ミュージカルは日本人の身体から出たものじゃない。
歌舞伎こそ日本人の身体特徴に合わせて出来ている。
でも、歌舞伎も「歌舞」と書くわけだからミュージカルだろうし。
その系統だということで作れば、また違うだろうね。”と作者。
《和製ミュージカル》って有りじゃない!?
70年代~80年代は、いずみたくフォーリーズや
東京キットブラザーズなんかの大ブームもあったんだ!
再びッ!あってもイイじゃない!?
幕末、明治維新、その時代に生きた人間、思想、生活。
これって日本のオリジナルだよ。
坂本龍馬だゼ!
舞台の内容を身近に感じることで、ストンと落ちてくる何かがあるんだ。
メロディが、海外のミュージカル曲とは違ってた。
“歌詞が音楽にのる”ってこれなのね。
翻訳物を聞いた時の喉につかえる気持ち悪さが無ーい。
ホント、心に届きました。沁みました。泣きました~。
もうひとつの特徴が衣裳。
上がジャケットで下が袴。これは外国人受けしそう。
但~し、主役、脇役との生地の違いや、紐を締める位置等、
せっかく良い発想なのに勉強の余地あり。という意見に賛成-。
主役だけ背中にビロビロした鰭のような物が付いてて、
イグアナだったっス~。
トータルしたバランス感覚を養ってネ。
『演劇と舞踊と音楽の接点を探し続ける』
演出・振付の謝珠栄(しゃ・たまえ)
彼女の本領が発揮されるのは、群衆劇としてアンサンブルが踊る時。
振り付けは繊細でダイナミック。人物の動きと照明が御見事だったゾ。
思想や大義の為の犯罪から、信念も何もない犯罪へと人間は変貌。
“罪と罰”その意味を突きつけられる。
そして、三条英やラスコーリニコフが犯した人殺しの意味までも。
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