アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

中村仲蔵

2005年07月21日 | 落語・講談・漫才

大銀座落語祭2005年 
7月17日 ヤマハホール 

<長講名人会1> 前売:2000円

露の都 「青菜」
五街道雲助 「豊志賀
 仲入
三遊亭金馬 「中村仲蔵」
 仲入
桂 福団治 「しじみ売り」


中村仲蔵(なかむらなかぞう)

大部屋から伸し上がった初代中村仲蔵。
彼の『仮名手本忠臣蔵』の役が、斧定九郎。

今でこそ、なかなかイケテル役ですが、台詞はたったの一言。
それに何と言っても野暮ったかったんです。
赤黒い顔で大どてらの山賊姿なんて…。

通りすがりに男を殺し、金を手にして喜んだ途端、鉄砲で撃たれて死んでしまう。
たったそれだけの端役です。

この五段目、通称は“弁当場”。
お客が、舞台そっちのけで弁当を食べてワイワイ騒ぐ。
ってことで、四段目の厳粛さとは大違い。

仲蔵がそんな場面を「何とか出来ないものか」
と思案していたある日の事、
雨宿りをしていると、向こうから浪人風の男がひとり。
仲蔵はハッと目を輝かせました。

明和三年(1766)中村座九月興行「仮名手本忠臣蔵 五段目」

パラパラパラと雨の音。ここは夜の山崎街道。

花道からの登場は斧定九郎。
ボロボロに破れた蛇の目傘をさし、黒羽二重で全身濡れ鼠。
雫がしたたり落ちる着物の袖を絞り、垂れた髪を掻き上げる。

与市兵衛は、娘のお軽が身を売った金を持って、家路を急いでいた。
ふとした事で提灯の火が消えて、辺りは漆黒の闇となる。

定九郎は与市兵衛を刺し殺し、まんまと財布を手に入れた。
不敵な笑みで「五十両」

立ち去ろうとした矢先、ズドンッと鳴り響く鉄砲の音。
定九郎は口から血を吐いた。
真っ赤な血が真っ白な足にポタポタと落ちる。
やがてゆっくり倒れる定九郎…。

客席はおったまビックリ!場内騒然!
その反応を見た仲蔵は、失敗したと思いこみ、江戸を去る意志を固めます。

ところがそれは大違い。
大評判となり、一躍時の人となったのでありました。


ナマってスゴイっ!何がスゴイって、“声の艶”が耳に届いたぁぁぁ。

『忠臣蔵』は歌舞伎にもあるし、映画じゃぁ片岡千恵蔵の
”定九郎のモデルになった浪人が主人公”っつうのもあったしな。
※「五人のあばれ者」(1963・東映)

初めて聴く噺じゃないのに、仲蔵の気持ちに入り込んじゃって、
ついつい「ガンバレ!仲蔵」になっちゃうわけヨ。

心底スゴイもん見た時って「スゴイね~」とか「イイねぇ~」
なんて言わないもんです。
目を大きく見開いて、口ポカーンと開けて、息吸ったまんまで止まってる。
暫くして息を吐いて、ザワザワザワザワするんです。
って語るのさ。

そのとーり!今がそれじゃん。
喉カラカラになってんのに水分補給も忘れて、身を乗り出しちゃってる!
ついつい、うんうん頷いちゃってる。
1対1っつう錯覚に囚われたゼっ!500人以上も入ってんのに。

鶴瓶とか小朝、三枝などメジャーな会は即完売!
若者の支持率が高い会もすぐに完売!
それに比べてこの会は、スロースターターでありました。
が!”渋さ”を好む人って沢山いるんだっ!

年齢層高いよ~!
その何方さんも、この芸を寄席で見続けて来たのでしょーね。
そーして、ここにも当然の様にいらっしゃるのね。
演ってる方も観る方も、年季が入っているんですね。

すみません、なんせ初心者なもんで「三遊亭金馬ナマ初めて~」
ってウルウルしちゃってるわけっすm(_ _)m

高座を降りる時の笑顔がまたヨカッタ!
風格と愛嬌。どちらもあるってこりゃたまらん!

ご隠居が、縁側で喋ってるみたいな“お茶の間感覚”っ。
なのに!何十人もの人の手で創られる舞台と、同じ充実感味わっちゃった。
“個”だって広い宇宙空間。
フワフワ~っと漂いながら“笑という幸福”見つけちゃいましょー。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。