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『世界共和国へ』 (その24)

2016年11月20日 | O60→70(オーバー70歳)
【139ページ】国内市場を作った英国
イギリスで産業資本主義が起こったのは、商人とギルド的な職人がいた都市ではなく、農村の近傍に形成された新しい都市=市場です。そこに、農村からプロレタリアがつぎつぎに入ってきた。そこで、「産業家が商人となって、直接に大規模に商業のために生産する」ということがありえたのです。そして、プロレタリア自身がその生産物を買い消費した。各地にできたそうした自律的な市場圏がつながって、国内市場が作り出されたわけです。
単純化していえば、商人資本が外国(遠隔地)に向かっていたのに対して、産業資本は国内に遠隔地を見つけた。そして、それがまさに生産=消費するプロレタリアであったということです。

【140~142】剰余価値の実現
資本一般について、その増殖がどのように可能なのかを明らかにするために必要な概念です。たとえば、労働者が作ったものを買い戻すというとき、それは、自分の作ったものではなく、他の企業で労働者が作ったものを買うという意味です。だから、個々の資本のレベルだけでは、剰余価値を云々することはできません。(中略)
剰余価値は流通過程では生じないし、また、流通過程でしか実現されない、ということです。しかし、このアンチノミーはつぎのように考えれば解消されます。産業資本は、労働者が労働力を売り、そして消費者として彼らの生産物を買い戻すという広義の「流通過程」から、剰余価値を得るのだと。
資本が得る剰余価値は、労働力商品の価値と、労働者が生産した生産物の価値との差額にあります。では、どうしてここに差額が生じるのでしょうか。注意すべきなのは、この差額を労働時間の延長とか強化に求めてはならないということです。そのような見方では,資本制生産は、貢納的・封建的な収奪(経済外的強制)の変形だということになってしまう。産業資本は、それとは違った原理、つまり合意による交換にもとづくのです。もちろん、「経済的強制」が時に農奴制や奴隷制よりもひどい労働条件をもたらすことはあります。すなわち、過剰な労働人口が、賃金を下げ、労働条件の悪化を許すからです。

(ken) 私は、大企業の労働組合本部で22歳から現在に至るまで働いています。今は、広報系の仕事に再雇用パート職員として従事していますが、現役時代の大半を「業務対策部」という会社施策(合理化・技術革新)対応の交労使渉補助、事務担当をさせていただきました。自分が間接的に関わってきた仕事と、今回の抜き書きとを照らし合わせ、興味深い発見がいくつもありました。(つづく)
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