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『ちくま日本文学 泉鏡花』その2

2016年01月13日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
▼今回の『国定えがく』では次の3カ所で、末尾に私のコメントを書きました。

【36ページ】
無沙汰見舞に来ていたろう。この姿は、よそへ嫁附いて今は産んだ倅にかかっているはずだ。倅というのも、煙管、簪(かんざし)、同じ事を業とする。
【39ページ】
「何、串戯(じょうだん)なもなか。」と言う時、織次は巻莨(まきたばこ)を火鉢にさして俯向いて莞爾(にっこり)した。----
「あれ、もし、お膝に。」と、うっかり平吉の言う事も聞落としたらしかったのが、織次が膝に落ちた吸殻の灰を弾いて、はっとしたように瞼を染めた。
【40ページ】
「あなた、まだ奥様はお持ちなさりませんの。」
と女房、胸を前に、手を畳にす。
織次は巻莨を、ぐいと、さし捨てて、
「持つもんですか。」

[ken]句読点の使い方、(かっこ)の位置、七五調の言い回し、歌舞謡曲の素養、大衆で流布してた格言、たとえば、「雲泥の差」は「月とスッポン」と合わさった格言「月鼈雲泥の差」(げつべつうんでいのさ)だったなど、何とも面白きこと盛りだくさん。さても『ちくま日本文学』の良いところ数あれど、振りがな豊富、脚注も的確にて読みやすしこと太鼓判、ぜひご一読のほどつとにお勧め申し上げ奉ります。
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